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ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


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114/122

第114話 新しき精霊竜の目覚め

〝その通りだ〟

 突然聞こえてきた声の方を向くと、そこには炎の翼を持った赤い竜、サラマンダーがいた。

〝新たな精霊竜の誕生を言祝(ことほ)ごう。……司祭よ、よく導いてくれた〟

「サラマンダー様……!」

 じいちゃんが頭を垂れた。

〝楽にして良い。……我は確信していた。ライト、そなたが我を刃と変えた時から……〟


 そのサラマンダーの言葉に、じいちゃんとベヒモスが驚いている。

「お、お前……」

〝サラマンダーを刃と成したのか……!〟

 別に悪いことはしてないはずなのに、二人からの圧が凄い。

〝……久方振りに竜の御子が精霊竜として目覚めたのだ、素直に祝ってやって欲しいが……〟

 サラマンダーも若干引き気味だ。


 俺は圧から逃げるように、サラマンダーの前に移動した。

「な、なぁサラマンダー、聞いてもいいか?」

〝うむ〟

「俺は……どうなったんだ?別に変わったところはないし、竜にもなってないけど……」

 翼がどうとか言ってたような気もするが、今のところ何もないみたいだ。


〝今、そなたは人の身に精霊竜の精神を宿している状態だ。そなたがその命を全うした時、魂は世界へと還るが、そなたの肉体は精霊竜として覚醒……つまり竜の姿を得ることになる〟

「そうなのか」

〝それと他の精霊竜との契約も、そなた自身で行えるから心配はいらぬ〟

「良かった、あの牙が無くなったから、どうしようかと思ってたんだ。……じゃあ、今までとあまり変わらない感じなんだな」

〝そうだな……精霊竜の精神を宿せるよう、幾分身体の構造が変化しているが、基本的には人と変わらん。ただ、精神力が増えたことと、敏感な者はお前の中に精霊竜の気配を感じられるかもしれぬから……気を付けるがよい〟

「うん、わかった」

 サラマンダーは気遣うように俺を見た。

〝また様子を見に来よう。……ではな、ライトよ〟

 そう言うと、サラマンダーは空気に溶けるように消えていった。


 入れ替わりにどこからか竜の宝玉が飛んできて、俺の頭の上に乗った。

「……これで、じいちゃんの用事も終わったんだよな?……じゃあ俺たちも帰ろうぜ」

「お前……実はだいぶ肝がすわっとったんじゃな……」

 何故か、じいちゃんが感心したように俺を見た。


 まぁちょっとひどい目にあったけど、今までとあまり変わらないなら、別に気にする程のことじゃないしな。


 そうして俺たちは竜の神殿を後にしたのだった。



 村に着いたのは、その日の夕方だった。

 ベヒモスは竜の神殿を出たところで、空気に溶けるように消えていき、俺はじいちゃんと徒歩で村まで帰ってきた。

「さすがに腹が減ったわい。帰ったらすぐ飯にしよう」

「さんせーだ」


 村の見張り番から結構心配されてたみたいだけど、じいちゃんが適当に誤魔化してくれた。

 もう夕食の時間になっているからか、通りに出ている人はまばらだ。

 俺たちも足早に家へと向かった。


「さてと、リナベル殿は無事かの?」

 言いながら、じいちゃんが家のドアを開けて中に入っていく。

 いやいや、リナベルはそんな簡単にくたばらないから、ブックデーモンが100体いたって無事に決まってるだろ。


 じいちゃんに続いて家に入ったとたん、いい匂いが漂っていた。

 どうやらリナベルが夕食を作ってくれているようだった。

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