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ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


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111/122

第111話 竜の神殿にて

 真っ暗な通路を抜けると、不思議な部屋に出た。

 床一面が草に覆われていて、ところどころに光る鉱石が覗いている。

 壁は石で出来ているようだが、そこにも光る鉱石が生えていた。

 光の届かない四隅に生えている鉱石が、ぼんやり光っていて幻想的だ。

 ぽっかりと穴の開いた天井からは陽の光が差し込み、部屋の中央にぽつんと置かれている椅子を照らしていた。


「ここ……は……?」

 俺は入口で立ち尽くしていた。

「ここは精霊竜の庭と呼ばれている部屋じゃ。代々司祭の引き継ぎをする時に使われておる」

「えっ……?俺、もう司祭になるのか?」

「そんな訳なかろう、まだ勉強すら始めておらんのに」

 じいちゃんはため息をついた。


「実はな、お前がベヒモス様に運んで来られた日の夜……儂の夢にサラマンダー様が現れて、こう言った。“時は満ちた。ライトを目覚めさせて欲しい”と」

「俺……を?」

「そうじゃ。……サラマンダー様はそれしか言われなかったから、儂は書物を調べた。目覚めさせるとはどういうことなのか、それからその方法をな」

 じいちゃんは俺をじっと見ている。


「分かったんだな……?だから俺をここに連れて来た……」

「そうじゃ。……目覚めれば、お前は精霊竜に近い存在となるじゃろう。サラマンダー様のご希望じゃ、儂は叶えたいと思うが、お前はどうしたい?今ならば……まだ引き返すこともできる」

 俺は顎に手を当てて考えた。

「その……精霊竜に近い存在っていうのは何なんだ?俺……竜になるのか?」


〝いや、姿は変わらぬ〟

 突然、ベヒモスが目の前に現れた。

「ベヒモス様……!」

 じいちゃんがびっくりしている。

〝人の身のまま……そうだな、精神力が増えると考えれば良い〟

「えっ……!? ほんとに!?」

 それは願ったり叶ったりというか……。

 精神力が増えれば、精霊竜の剣(ドラゴニックブレード)の使用時間が伸びる。そうすれば今よりもっと戦えるはずだ。

「そういうことなら……お願いしたいな」

「わかった。……では、あの椅子に掛けるがよい」

 じいちゃんはぽつんと置かれている椅子を差した。


 じいちゃんと一緒に近くまで寄ると、椅子は陽の光を受けて青銀色に輝いていた。

「凄いな……全部魔法銀(ミスリル)で出来てるのか……」

 細かく模様のようなものが彫られて……これ、魔法文字だ!

「……これを見るたび、先人への畏怖の念を抱かずにはおれんな……」

 じいちゃんがぽつりと漏らした。

 難しいことはよく分からないけど、とにかく凄いのは分かる。

「……座っていいんだよな?」

 なんとなく躊躇われたが、俺は椅子に座った。


 俺が椅子に座ったのを確認すると、じいちゃんは透き通った水色の牙を取り出した。

「これを……お前に取り込んでもらうぞ」

「えっ?どうやって……?」

 じいちゃんの手の中にある透き通った水色の牙は、光を受けて輝いており、とても美しい。

 俺はふと、その尖った先端に目がいった。

 ま、まさか……。


「少し驚くだろうが、痛いのは最初だけらしい」

 そう言って俺の胸……心臓のあるあたりにその先端を当てた。

 俺の想像はどうやら当たってるっぽい。

「ちょっと待って、心の準備が……」

 俺は一度、深呼吸をした。


「……ん。……いいよ」

 じいちゃんはうなずくと、透き通った水色の牙を押した。

「痛(つ)っ……」

 それは服をすり抜け、肌に触れたかと思ったら俺の身体に入っていく。

 本当に痛いのは最初だけで……それは不思議な感覚だった。

 するすると溶けるように除々に短くなり、牙の全てが俺の中に消えていった。


「……大丈夫か?」

 じいちゃんが確認してきた。

「うん、大丈夫……」

 言いかけたが、突然、心臓が跳ねた。

「う……うあ……」

〝ライト?〟

 俺の異変に気付いたベヒモスが、近寄ってきた。

 だめだっ……力が溢れて……!

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