↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
108/122

第108話 また一難?

 いったい、どうやったら逃げられる?

 この状態じゃ抵抗すら出来ない。


「そんなに構えることはない。今回は良き戦いを行ったそなたに免じて……見逃してやろう」

 なん……だって……?

 俺は疑うようにアクセラバードを見上げた。

「本当は連れて行きたい所だが……やはりそなたと戦ってからの方が楽しみがあって良い。ただ……」

 アクセラバードは屈み込み、俺の左腕に触れた。

「何故そなたの機化が進んでいないかを知りたい」


「触るな……!」

 力を振り絞って上体を起こそうとしたが、簡単に手で制され再び地面に倒された。

「もう力が残されてはいまい?大人しくしていろ」

 そう言うと、手袋をそっと剥ぎ取った。

「これはいったい……」

 アクセラバードは俺の腕に嵌められた腕輪を凝視している。

「……この腕輪が……機化を阻止しているというのか……」

 アクセラバードはためしに腕輪を外そうと引っ張ってみたが、外れなかった。

「ふむ……そなたの腕を千切ってしまいそうだな。……しかし、時間停止とは……如何なる原理か……。この世界は分からぬ事だらけで興味が尽きぬ」

 そう言うと、俺の腕から手を放した。


「そういえば、そなた……カードを使わずに術を行使していたな」

 見られてたか……。次にこいつと戦う時にと思って、意図的に攻撃系は魔法陣符(マジックカード)を使ってたのに。


「いつから見てたんだ……?」

「最初からだ」

 アクセラバードは空を指差した。

「あれがそなたを見付けたと連絡してきた」

 見ると、巨大な鳥型の機神が舞っていた。

 あいつ……ほんとにどこにでもいるな……!


 だけど、俺はそこではっと気付いた。

 もし、あいつが俺を見付けてなかったら、俺は今頃……。


「我がここに着いた時、そなたと紅い奴が対峙していた……。すぐに戦いが始まったため、待機し見守ることにしたのだ。あの紅い奴……グラナギアに捕まる前に出会えていれば、楽しめたかもしれんな……。そなたの師と言っていたな、惜しいことをした……。だが、良い戦いであった」

 アクセラバードは立ち上がった。

「そなたは会うたびに強くなっている……片腕でもあれほど戦えるのだ、次に会う時が楽しみだ」


 その時だった。

 いきなり黒い火球がアクセラバードに襲いかかってきた。

 アクセラバードは突き立ててあった柄の長い斧を引き抜くと、一振りで黒い火球を薙ぎ払った。

「無粋な奴がやってきたか。仕方あるまい、ライトよ、また会おう」

 アクセラバードが指笛のような音を出すと、巨大な鳥型の機神が降下してきた。

 ひらりとその背に跨り、アクセラバードはあっという間に去っていった。


〝大丈夫か!? ライト!〟

 見なれた黒紫の獣のように見える竜が、空から舞い下りてきた。

「ベヒモス……」

〝怪我はないか?〟

 ベヒモスは鼻先を俺に近付けて、状態を確認している。

「う……うん」

 ここに来る前のこともあって、まともにベヒモスの顔を見ることが出来ない。

 一方のベヒモスは満足したのか、俺の顔を覗き込んできた。


 ……やっぱり居心地が悪いから、早く言ってしまおう。

「ベヒモス……ごめんな。……えっ?」

〝ライト、すまなかった。……ん?〟

 見事に声が重なった。

「ええと……怒鳴ってしまったのは俺の方で……、何でベヒモスが謝るんだ?」

〝……リナベルに言われたのだ。いくら正論でも、ライトはまだ年若いから、感情を整理する時間が必要だと。……急かすなど以ての外だと〟

 リナベル……。

〝二千を超える年月を数えた自分でも躊躇すると言っていた〟

 い、今のは聞かなかったことにした方がいいのかな……。

〝だから……お互い様だ。……仲直りをしよう、ライト〟

「うん、もちろんだよ、ベヒモス。……ほんとごめんな」

〝構わぬ〟

 そう言って、ベヒモスも俺の隣で横になった。


〝良い……景色だ〟

 ベヒモスは花畑を見ながら呟いた。

「師匠にも、喜んでもらえたよ」

 不意にまた一粒、涙が溢れた。

「……サラマンダーに……送ってもらったんだ。……師匠、精霊竜が大好きで……、サラマンダーを信仰してたから……」

〝そうか……〟

「満足そう……だった……」

 死の間際の、穏やかな様子を思い出したとたん、涙が溢れてきた。

〝よく……頑張ったな、ライト〟

「うぅ……うわあぁぁ……!」

 ベヒモスの労いに感情を抑えられなくなり、俺はずいぶん久しぶりに声を上げて泣いた。

 そのままベヒモスにしがみつき、しばらく泣き続けたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。