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ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


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101/120

第101話 禍々しい書庫の探索

 目を開けると、そこも書庫だった。

 ただ、じいちゃんの書庫と比べると、かなり禍々しい。本棚の色も黒に近いブラウンで、敷かれている絨毯はボロボロ、しかも床のいたるところに怪しげな本が散乱している。

「ふふ、上手くいったわね」

「リナベル!」

 立ち上がった俺の後ろにリナベルがいた。

「ん?上手くいった……?」

 どういうことだ?

「ええ。ブックデーモンは本に宿る実体のない悪魔系の魔物でしょ?宿る物がなくなると死んじゃうから、本を燃やそうとした私たちを自分の空間に引き込んで、殺そうとしてるってところね。きっとあなたのおじいさんもここにいるはずよ」

 そういうことか……!

「さ、早くおじいさんを探しましょ!精神力を吸われて廃人になっちゃうわ」

「わかった!」


 それから禍々しい書庫を、じいちゃんの気配を頼りに進んでいった。

 時々俺たちを排除しようと、本が襲いかかってくる。

 本が噛みついてきたり、魔法を使ってきたりとやりたい放題だ。

 本が噛みつくって何なんだよ!

 イラっとしたから左手の方ではたき落としてみたら、結構ダメージがあるみたいで、だいたい一撃で倒せたな。

 あれ?もしかして左手、意外と使える?


「ライト君、後ろ!」

 俺はリナベルの声に反応して、後ろから噛みつきにきた本に左の裏挙をヒットさせた。

 壁に激突した本は、音もなく消えていく。

 あぶね、油断してた。

「……地味に凶器よね、それ」

「同じこと考えてたよ。痛くないし金属だから結構いけそうな気がする」

  まぁいざって時用で。ただ硬そうなやつは気を付けなきゃだけど。


 禍々しい書庫は迷路のようになっているところがあって、巧妙にじいちゃんの気配を隠そうとしているのが分かる。しかも……。

「また行き止まり!」

 この棚、壊せたりしないかな……。

「……何か物騒なこと考えてない?……大丈夫よ、近くまで来てる証拠だから」

「ほんとか?」

「ええ、来てほしくないから時間かせぎをしてるのよ。案外すぐそこかも……。ほら、噂をすれば」

 突然現れたブックデーモンが、リナベルに襲いかかってきた。

「おっと。……ライト君、私がこいつを引きつけてる間におじいさんを探して!」

「分かった!」


 リナベルがあんな魔物に負ける訳がない、俺は急いでじいちゃんの気配を辿った。

「この奥か!」

 本棚の角を曲がり、辿り着いたその先にいたのは……。

「あ……れ?」


 ブックデーモンをシバいているじいちゃんだった。

 あいつ、複数いたのか!

「ふん、まだお前に喰われるほど弱っとらんわい」

 トドメとばかりに流れるような動作で魔法陣を描き「炎(フレイム)」を叩き込んだ。

 業火に焼かれたブックデーモンの断末魔の叫びが辺りに響き渡る。

 そして跡形もなく消えていった。


「……あら、もしかして私たちは必要なかったかしら?」

 本棚の角からリナベルがひょっこり現れた。

「いや、助かった。……外から攻撃を加えてくれたんじゃろ?その時に拘束から抜け出せたんじゃよ」


 その時、辺りにふわりと光の粒子が舞い始めた。

「そろそろ時間ね、急がないと空間の崩壊に巻き込まれるわ」

 リナベルは俺とじいちゃんに向けて手を差し出した。

 俺は迷わずリナベルの手を取り、それを見たじいちゃんも少し遅れて手を取った。

「いくわよ、“脱出(エスケープ)”!」

 俺たち三人の姿がその場から消えていった。

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