↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
華 -ibara-  作者: 霧島葵
PR
12/20

第12話「支部大会開幕」

支部大会当日。

蒼陵南高校の一行が会場に到着すると、

空気が一気に変わった。


体育館の一角に設けられた対局スペースは、

静寂と熱気が同居している。

卓の配置、点棒の音、選手たちの影──

すべてが“勝負の場”の匂いを放っていた。


紗佳は会場に足を踏み入れた瞬間、

胸の奥がざわついた。


(影が……多い……

 重い影……軽い影……

 揺れてる影……

 全部違う……)


影の深度を知ったばかりの紗佳には、

この空気はあまりにも濃かった。


京一郎が隣で言う。


「紗佳。

 影を軽くして、深度を意識して歩け。」


紗佳は小さく頷き、

呼吸を整えながら会場を見渡した。


◆ 各校の影

真田がタブレットを開き、

対戦校の情報を確認しながら説明する。


「まず霧谷総合。

 “変則の迷宮”と呼ばれる学校だ。

 打ち筋が読めない。

 影が乱される。」


紗佳は霧谷総合の選手を見る。

彼らは静かに卓を見つめているが、

影が常に揺れているように見えた。


(迷宮……

 影が乱される……)


真田は続ける。


「次に無音寺高校。

 “影ゼロ”。

 影を消す打ち方をする。」


紗佳は息を飲む。

影を読む自分にとって、

影がゼロの相手は最悪の相性だ。


(影が……ない……

 どうやって読むの……)


真田はさらに言う。


「蒼陵中央。

 “実戦派”。

 影を揺らすというより、

 流れを掴むタイプだ。」


紗佳は蒼陵中央の選手を見る。

彼らは落ち着いていて、

影が一定のリズムで揺れている。


(流れ……

 影とは違う揺れ……)


京一郎が紗佳の肩に手を置く。


「紗佳。

 影の深度を意識して見ろ。

 揺れを怖がるな。」


紗佳は深呼吸した。


◆ 蒼陵南の影

蒼陵南高校の控え席に着くと、

章仁が静かに言った。


「霧島。

 お前の影は深い。

 深度がある影は、揺れやすい。

 だが揺れは“記録”だ。

 揺れを抱えたまま打て。」


紗佳は頷く。


(揺れても……

 負けない……)


武流が横から言う。


「霧島。

 茨は使うな。

 お前は茨じゃない。

 影と華だ。」


紗佳は拳を握る。


(茨は使わない……

 影と華で……)


玲央が笑う。


「紗佳。

 支部大会は怖いけど、

 怖いからこそ面白いんだよ。」


紗佳は少しだけ笑った。


◆ 開会式

開会式が始まると、

会場全体の影が一斉に揺れた。


選手たちの影が重なり、

深度の違いがぶつかり合う。


紗佳はその中で、

自分の影の揺れを感じていた。


(揺れてる……

 でも……逃げない……)


京一郎が小声で言う。


「紗佳。

 影を軽くして、深度を抱えろ。

 それが……お前の麻雀だ。」


紗佳は静かに目を閉じた。


影が揺れる。

深度が震える。

だが──逃げない。


(揺れてる……

 でも……これが私の影……)


開会式が終わり、

いよいよ一回戦が始まる。

インターハイ編スタートこれからさらに盛り上げていこうと思います

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。