街道
異世界に来たのにも関わらず、僕は剣と魔法で魔王を倒したりせずに日本にいたときのように建築をしていた。
日本での建築はお金を持っている人たちがもっと儲かるようにするためだったが、ここでの建築は生きるためのものだからやりがいが全然違った。
途中魔物が数匹建築現場に紛れ込んでくることがあったが、あの4人と屈強な男たちの反撃でいとも簡単にやっつけることができた。
なんだろう、このプロジェクトがわくわくするからだろうか。
胸がすごくドキドキするのを感じる。
?「シン・ド・ジュクとクブロ・ヴェイとの間で城壁つきの街道を作っている模様です」
?「ぬう、まずいぞ」
?「いかがしますか?」
?「クブロ・ヴェイが加わるとなると手を出しては厄介だ、様子を見よう」
?「かしこまりました」
数か月後、工事はかなりすすんだ。
僕は女性を買ったり贅沢するわけではないからお金もかなり貯まった。
あの無機質な生活から解放されてドキドキするようなプロジェクトをしているというだけで心が躍った。
工事がもうすぐ完成だというころ困ったことが起こった。
おじさんたちが働かなくなったのだ。
もうすぐ完成なんだから出来たも同然だろと毎日酒盛りばかりしていた。
困ったなあ・・・
僕の力では城壁の石を持てないし。
参った。
あと100個分の石が未完の状態で建築現場に置かれている。
こうなったら僕の能力でどうにかするしかない。
素材再構築!
レベル3石!
100個の石を城壁に!
石が光輝いたと思ったら未完成だった城壁が完成した。
ぐらっ
僕は意識を失いかけてひざから崩れ落ちた。
冒険者ギルド長「おい!大丈夫か!」
警備隊長「救護班!」
商工会議所長「え?街道が完成している?」
建築ギルド長「すげえなおい」
クブロ・ヴェイ市長「こ、これが小僧の能力・・・」
【建築レベルが4に上昇しました】
【新規素材解放:金属】
【新規スキル解放:範囲構築】
【風水レベルが2に上昇しました】
【新規スキル解放:龍脈】
気が付いたら現場の救護室で寝ていた。
救護班「気づきましたか!」
「ここは?」
救護班「救護室です」
「僕は・・・」
冒険者ギルド長「気が付いたか」
警備隊長「急に倒れてな」
商工会議所長「Karoushi(過労死)かと思ったぜ」
建築ギルド長「あれから城壁が完成したかと思ったら急に光り輝いてな」
そういえば・・・
僕は自分のスキルがレベルアップしたのを感じた。
実際に建築レベルと風水レベルがアップしているようだ。
龍脈?
今は体力が空っぽだけど体力が回復したら使ってみよう。
クブロ・ヴェイ市長「ゆっくり休めよ」
「はい・・・」
お言葉に甘えて僕は横になった。
その日夢を見た。
世界中の力を借りて何かに挑むような。
その何かってのはよくわからないんだけどとても邪悪な何か。
世界中の期待をしょってていつもなら押しつぶされそうになるんだけどその時は妙に気分がよかったんだ。
朝起きたらふわふわしたような気分だった。
なんだったんだろう、あの夢。
それにしても体調・・・
前よりもみなぎってる気がする。
龍脈?
後で使ってみるか。
さて、いつものおじさんたちに会いに行こう。
冒険者ギルド長「おう、目が覚めたか」
警備隊長「ずいぶん寝てたな」
商工会議所長「まあ100人分の仕事してたからな」
建築ギルド長「城壁は完成だ、あのあと三日三晩お祭り騒ぎだったぞ」
「ということは僕は三日三晩寝ていたんですね」
冒険者ギルド長「お互いのギルドの仕事のすり合わせで大忙しだ」
警備隊長「城壁にも警備つけることになったぜ」
商工会議所長「ああ、それと物流に段ボール使ってるぜ」
建築ギルド長「歴史的大工事だったな」
今回の城壁付き街道の建築の噂は各地のスラムに瞬く間に駆け巡った。
スラム同士は仲が悪いことが多く、なかなか連携出来ないのだ。
今回は市長と4人がもともと知り合いだったから出来たことだった。
二つの町を繋げたことにより町はどんどん発展していった。
元々お互いの縄張りだった資源の発掘場を譲り合ったり分け合ったりすることによって交易が盛んになった。
これまで魔物を怖がっていた商人や旅人が安全な城壁付き街道に殺到した。
人がどんどん流れ込むことによって住宅需要が増して建築ギルド長は大忙しだった。
物流も盛んになって「段ボールや資材が飛ぶように売れる」と商工会議所長はノリノリだった。
警備隊長は魔物よりも人間のスリや喧嘩などの対人トラブルに気を使う必要ができた。
冒険者ギルド長は目論見通り仕事や冒険者たちが増えたことで大忙しだった。
とにかく4人とも前よりももっと忙しくなったけど楽しそうだった。




