クブロ・ヴェイ
ドキドキ・・・
ドアを開けるとそこには酒池肉林が広がっていた。
風呂をメインにした部屋にほぼ裸の女性が4人ほどいて、真ん中に太った中年の男性がいる。
ひどく換気が悪いようで部屋の空気は淀み、部屋の端の木材は傷んでいるように思える。
クブロ・ヴェイ市長「おう、お前ら、久しぶりだな」
冒険者ギルド長「久しぶりだな」
警備隊長「元気そうだな」
クブロ・ヴェイ市長「相変わらず4人でつるんでるのか?」
商工会議所長「まあな、気が合うんでな」
建築ギルド長「腐れ縁ってやつよ」
クブロ・ヴェイ市長「そっちの小僧は?」
「えっ!?僕ですか!?」
警備隊長「うちのキーマンでな」
商工会議所長「いろいろ物が作れて助かってるんだ」
クブロ・ヴェイ市長「ほう、それで一体何の用だ?」
冒険者ギルド長「実はよ、ヤブーシの奴らが襲撃してきてな」
クブロ・ヴェイ市長「あいつらか・・・血の気が荒すぎてあんまり関わりたくねえな」
警備隊長「そこで手を組もうって提案よ、悪くねえ話だと思うんだが」
クブロ・ヴェイ市長「うーむ、うちも独立独歩でやってきたからな・・・」
商工会議所長「そこでよ、この段ボールという厚紙を分けてやろうと思ってよ、いい話だと思うが」
クブロ・ヴェイ市長「ん?くれるのか?」
商工会議所長「ただじゃやらねえけどよ、物がたくさん入れられて運ぶのに便利なんだ」
クブロ・ヴェイ市長「けっ、ちゃっかりしてるな」
冒険者ギルド長「使わないときは畳めて便利だぞ」
クブロ・ヴェイ市長「んー、まあ考えてやるわ」
警備隊長「まあ商談は置いといてよ、物流、仕事、防衛面で手を組まねえか」
クブロ・ヴェイ市長「具体的にどうやって手を組むんだ?」
冒険者ギルド長「お互いのギルドで共通の仕事請け負ったりな」
建築ギルド長「まあ、昔みてえに仲良くやろうや」
クブロ・ヴェイ市長「まあ、街道に魔物が出るようになってから疎遠になったな、お前らとは」
商工会議所長「そうだったな」
「え、街道に魔物いました?」
警備隊長「運がよかったか俺たちの覇気で魔物が避けてったんだな」
なんだそりゃ、と心の中で思ったけどこの4人なら不思議じゃなかった。
クブロ・ヴェイ市長「街道が安全に渡れれば文句ないんだが」
建築ギルド長「なるほどなあ、適任がいれば・・・」
建築ギルド長がちらっと僕を見る。
「えっ、道路ですか、建物なら建てたことあるんですけど道路は専門外ですね」
建築ギルド長「大丈夫、俺が教えてやるよ、お前は城壁を建ててくれ」
「出来るかな・・・」
クブロ・ヴェイ市長「大丈夫かお前」
商工会議所長「市長よ、うちとこの町を城壁つきの街道で繋がないか?」
クブロ・ヴェイ市長「うーん、いいだろう、ちょうど暇してたしな」
暇してた・・・
そんな理由でいいのかな・・・
冒険者ギルド長「よし、善は急げだ、さっそく人員を集めるぞ」
建築ギルド長「忙しくなりそうだな」
かくしてノリと勢いだけでシン・ド・ジュクとクブロ・ヴェイを繋ぐ街道を作ることになったのだった。
工事は始まった。
レベル3になってから、素材を一度に処理できる量も増えていた。
僕は採石所から採掘した石を積み上げられるサイズに変化させた。
城壁というものは作ったことがなかったが、建築ギルド長に教えてもらいながら作っていった。
教えてもらいながら図面を作って実際に城壁を作っての繰り返し。
休憩をやたら取りたがる4人や他の人に対して10時と昼休みと15時にしか休憩を取らない僕はやたら勤勉だと褒められた。
日本企業で普通に働くことはこの世界ではエリート扱いだった。
夜も更けてきた。
商工会議所長「おい、差し当たって金が必要だろ」
建築ギルド長「ここまで働いてくれてるやつにはそれなりに払わないとな」
冒険者ギルド長「ギルドから寮と当面の生活費を払ってやるよ」
「寮ですか?」
ギルドの人に案内された僕は日本でいう1Kくらいの部屋を想像していた。
案内されたのはスラムでも煌びやかな建物だった。
「え、ここですか」
案内人「はい」
部屋にたどり着く。
鍵をもらって開ける。
ガチャ
な、なんだこりゃ・・・
そこにはホテルの高級スイートのような部屋が広がっていた。
広い・・・
そして綺麗・・・
こんなところ落ち着かなくて住めないが、そんなことを言ったら「てめー住めないってのかこの野郎」とか言われそうなので大人しく住むことにした。
ああ、いろんなことがあって疲れたなあ。
ベッドに横たわっていたら僕はいつの間にか寝てしまった。




