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タオカ山

魔王は侵攻の予兆を見せなくて逆に不気味だった。


僕たちは急いで次のタオカ山に急いだ。


シスター「次のタオカ山は標高600メートルくらいで登山としては手ごろですわ」


「なんだ、そんなに辛くなさそうですね」


シスター「そうですね、ちょっとしたハイキングコースとして地元の人には有名なんですよ」


セシル「ハイキングなんて悠長ですわね」


シスター「そうね、私たちは大義を背負ってるから」


大義かあ。


僕は大義に押し潰されてしまったのだろうか。


僕たちは馬車でタオカ山のふもとまで来た。


「あ、頂上が見えますね」


シスター「急ぎましょう」


セシル「はあ、また登山ですのね」


タオカ山は以前の二つの山よりもずっと楽だった。


「確かにハイキングみたいですね」


シスター「そうですわね」


セシル「あーあ、温泉ないかなあ」


シスター「温泉気に入ったのね」


しばらく歩いていたら頂上に着いた。


開けた広場に由緒正しそうなお寺があった。


「お寺だ」


シスター「見たことない建物ですわね」


ー古き友よ。


「げっ!!」


?「久しいの」


ーこの若者たちに力を貸してやって欲しい。


?「お前ほどの者がのう」


ー魔王が目覚めたのだ、この地に街道を通したら力を貸してほしいのだ。


?「わかった、その者たちにも『疾風迅雷』スキルを与えよう」


セシル「私何もしてませんわ!」


シスター「いいの、セシル、あなたも力を使う時が来る」


セシル「お姉様・・・」


ーさらばだ友よ。


?「さらばだ、若者たちよ」


声は聞こえなくなった。



下山もかなり楽だった。


この調子ならあのおじさんたちにもスキルを伝授したかった。


冒険者ギルド長あたりが「なにーっ!?お前ばっかりスキルもらいやがって!」とか言い出しそうなのが目に見えた。


それにしてもいい眺めだ、大義がなければゆっくりしたいくらいだ。


僕は何となく遠くを見ていた。


ん?


何だあの白い卵みたいなかたまりは。


「あれ?シスター、あれ何ですかね?」


シスター「さあ、何かのたまごでしょうか?」


「あれは・・・げっ!!」


僕は気づいてしまった。


あれは魔王のまゆだ。


なぜわかったのだろう。


同じ転生者だからだろうか。


その瞬間、まゆが微かに動いた。


ドクン。


「……!」


僕は思わず息を呑んだ。


シスターにそのことを言うか迷った。


シスター「カエデさん、どうしたのですか?」


「・・・なんでもありません」


言ったところでどうしようもなかった。


こっちには三人しかいないし、僕は結界から離れているから力が出ない。


ここは退却するのが一番いい。


「帰りましょう、もう山はないですよね?」


シスター「ええ、安心してください、山はこれで最後です」


「よかったです」


僕たちは急いで帰路についた。



神々の許可を取り付けた僕たちは街へ帰還した。


そこからまた街道の突貫工事が始まった。


キバ・アからバスク山、リナータ山へ。


シン・ド・ジュクからタオカ山へ。


仕事はひと段落ついたが僕には図面作りの仕事が待っていた。


学校出身の生徒が三人僕の図面を勉強しに来た。


ああ、この子たちが一人前になったら僕の仕事は一つ減る。


僕は熱心に教えた。



魔王のまゆを見つけてから魔王の思考がわかるようになってしまった。


転生者同士通じ合ったのだろうか。


あいつはきっと街道が完成してから襲ってくる気がする。


工事の途中で襲ってくることはない。


その代わりこちらも全身全霊で臨まないとやられるような準備をしてくるだろう。


そんな予感だけした。



街道作りは毎日続いた。


今回は三方向へ街道を伸ばす工事だ。


人手が三分割されたのでかなりの人手不足だった。


学校の学生や卒業生がかなりの人数動員された。



シスター「学校の生徒や卒業生もかなり参加してますわね」


シスターが作りかけの街道を見ながら話しかけてきた。


「そうですね、頼もしいかぎりです」


シスター「みんなあなたが遺したものですわ」


「・・・」


僕はなんともむずがゆい気持ちになっていた。


図面作りのために派遣された三人はめきめきと頭角を表していった。


もう少ししたら僕がいなくても街道作りは任せられる。


シスター「不動の心と疾風迅雷は戦闘力強化のようですが、双刻印とはどのようなスキルなのでしょう?」


「わかりません、試すわけにもいかないので魔王が現れたらぶっつけ本番でやってみましょう」


シスター「そうですわね」


僕たちは来たる魔王襲来を待ち構えていた。

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