帰還、そして逃避
帰った僕たちをおじさんたちや街の人たちは温かく迎えた。
三日三晩飲めや歌えやだった。
おじさんたちは飲めればいいんだろうけど僕たちは疲れてて早く休みたかった。
飲めないお酒を飲みながら考えていた。
また山を登るのか・・・
市長
校長
街道建設
魔王との戦い
神々との交渉
周囲からの期待
俺は一体いつまで頑張ればいいんだ・・・
僕はトイレに行くふりしてそそくさと逃げ出した。
冒険者ギルド長「あれ?あいつは?」
警備隊長「トイレだろ?」
商工会議所長「そのうち戻るだろ」
建築ギルド長「そうだな」
シスター「長いですわね・・・」
「簡易建築!!」
僕は公園に落ちてる段ボールでそそくさと段ボールハウスを作った。
ごそごそ。
僕は段ボールハウスで寝だした。
何もかも嫌すぎる・・・
よくよく考えたら僕ばっかり市長やったり校長やったり戦ったり不公平だ。
どう考えてもおかしすぎる。
僕はしばらく段ボールハウスで過ごした。
冒険者ギルド長「おーい!カエデー!」
警備隊長「カエデ!」
商工会議所長「どこ行きやがった」
建築ギルド長「今までそんなことなかったのに」
シスター「カエデさん・・・」
セシル「ふん!軟弱ですわ!」
冒険者ギルド長「お嬢ちゃん見ない顔だな」
セシル「お姉様の一番弟子のセシルです、お見知りおきを」
シスター「こらこら・・・」
警備隊長「それは頼もしいなあ」
商工会議所長「戦力は欲しいからなあ」
建築ギルド長「俺たちは格闘しかできないから頼むぜ」
セシル「ええ、魔法で敵を吹き飛ばしますわ」
冒険者ギルド長「お嬢ちゃん、カエデ探す魔法とかない?」
セシル「うーん、私は攻撃魔法専門で・・・」
警備隊長「シスターは?」
シスター「うーん、探索魔法はないですわね・・・」
商工会議所長「地道に探すか」
建築ギルド長「そうだな」
そうこうしているうちに雨が降ってきたので一同は解散した。
数日間段ボールハウスで過ごしていたら知り合いが出来た。
隣の段ボールハウスで寝ているおじさんだ。
おじさん「なんだよ、市長さんじゃねえか」
「僕のこと知ってるんですか?」
おじさん「知ってるも何も街の英雄だろう、魔王も来れなくなるしよお」
「そうですね、ここは安全ですね」
おじさん「街の英雄がこんなところで何やってんだよ」
「何もかも嫌になったんです」
おじさん「まあそうだろうな、若いころはいろいろあるよな」
「おじさんは何でここにいるんですか?」
おじさん「もともと冒険者やっててな、足を怪我しちまってこのざまよ」
「・・・」
おじさん「お前さんも体が動けるんなら限界まで戦うんだよ」
「そうですか」
おじさん「じゃあ俺は寝てるからまた」
おじさんは段ボールハウスに入っていった。
僕は雨の音がする中、段ボールハウスの中でいろいろ考えていた。
ああ、逃げ出してしまった・・・
今までどんな重圧にも耐えてきたのに登山のストレスだけは耐えられなかった。
嫌なんだ、足のまめも潰れるし疲れるし他の人も機嫌悪くなるし。
市長やらされたり校長やらされたり。
なんで僕ばっかり。
シスター「カエデさん」
えっ?
シスターが段ボールハウスの前にいるようだ。
僕は段ボールハウスの間から顔を出した。
「えっ、なんでここがわかったんですか」
シスター「神聖魔法の中には探索能力があるんです、みんなには内緒ですが」
「・・・なにもかも嫌になりました」
シスター「わかっています、私が少し無理をさせましたね」
「いえ、シスターのせいでは・・・」
シスター「忘れないでください、あなたが皆の縁を繋いだということを」
「縁?」
シスター「はい、今さら魔王から街を守ってなどと言うつもりはございません、ただこの結界を作って町同士のわだかまりをなくしたのはあなたです」
「・・・」
シスター「それだけは忘れないでください」
シスターはそう言うと去って行った。
それから数時間経った頃。
僕は何をしているんだろう・・・
しばらく考えているうちにここにいてはいけないと思って立ち上がった。
市庁舎に行くといつもの4人のおじさんがいて、シスターから話をしたようで苦笑いしていた。
冒険者ギルド長「お、おう」
警備隊長「げ、元気そうだな」
商工会議所長「・・・まだ若いからな」
建築ギルド長「なんだよ、話してくれてもいいだろう」
「・・・すみません」
こうして僕たちは通常営業に戻ったのだった。




