夢
夢を見ていた。
前世のころの夢だ。
?「ボスボース」
「やめてよお」
僕は誰かに殴られていた。
高校は進学校に行ったからそういうことはなかったが、中学は地元の治安の悪い中学に行ったから不良によくいじめられた。
?「ボスボス」
「くっ」
ああ嫌だ、僕は勉強を頑張っていい会社に入るんだ。
そう思っていたのにあんなつまらない奴隷になってしまうなんて・・・
目が覚めるとシスターとセシルの覗き込む顔が見えた。
頭に柔らかい感触がする。
「ん?」
シスター「大丈夫ですか?」
「なんか近くないですか?え?」
セシル「そうですわ!お姉様に膝枕してもらうなんて!5000年早いですわ!」
「ひざまくら!?」
がばッと僕は起き上がった。
「すみませんすみません!」
シスター「いえ、いいのですよ、地面に寝ては危険です」
セシル「ふん、高山病なんて鍛え方が足りないのよ!」
シスター「セシル、やめなさい」
セシル「ふん」
セシルには完全に嫌われたようだ。
「さて、もう大丈夫ですよ」
僕は起き上がった。
シスター「高山病ならもう少し休んだほうがいいですわ」
「い、いえ、大丈夫です、進みましょう」
僕は歩き出した。
三人は沈黙の中歩き続けた。
ようやく頂上へたどり着くと鳥居のようなものがあった。
「あれは!?」
セシル「見たことのないモニュメントですわね」
シスター「ええ、確かに私たちの教えにはないわ」
二人は鳥居を知らないようだったが僕にははっきりわかった。
僕の中の龍が目覚める。
ー古き友よ。
あたりは沈黙に包まれている。
ーこの若者たちに力を貸してやってくれないか?
?「わかった(わかった)」
「え!?」
シスター「声が二つ!?」
セシル「男女のようですわ!」
ー魔王が現れたのだ、街道を作ったらこの者たちの街に力を送ってくれないか。
?「わかった(わかった)」
「え!?え!?」
シスター「神様が二人・・・!」
?「その者たちに力を与えん(その者たちに力を与えん)」
僕とシスターは光に包まれた。
僕・シスター「え!?」
?「若者たちよ、スキルを授けよう、『双刻印』だ、二人で力をあわせるのだ」
ーさらばだ友よ、また会う日まで。
光は消えて元の風景に戻った。
「なんだったんでしょう・・・」
シスター「双刻印・・・?」
セシル「ガタガタ・・・」
「二人で力を・・・」
僕とシスターは顔を見合わせた。
「なんなんでしょうね」
シスター「魔王戦で試してみるしかないですわ」
「そうですね」
僕たちは決意を新たに下山することにした。
「(今回は送ってくれないのか・・・)」
三人はまた無言で下山し続けた。
ひたすら霧の中をかき分けて歩いていたら前回の野営ポイントに辿り着いた。
「どうします?休みます?」
シスター「いえ、この調子で下山してしまいましょう」
セシル「えー、休もうよう、お姉様」
シスター「我慢しなさい」
セシル「ちぇっ」
こんなに厳しいシスターは初めて見た。
優しいだけではなく厳しさも持ってるなんてすばらしい女性だと思った。
僕たちはシスターに従って歩き続けた。
呼吸もだいぶしやすくなったころ、ふもとの町が見えてきた。
セシル「やったー!」
「やりましたね」
シスター「二人ともよく頑張りましたね」
セシルはどこにそんな元気があったのかってくらいの勢いで駆けだした。
シスター「こらこら、焦ると転ぶわよ」
「大丈夫かな」
ずべっ
セシルが転んだ。
セシル「いたたたた・・・」
シスター「下りのほうが油断したら危ないのよ、ヒール!」
セシル「ありがとうお姉様」
ようやくふもとの町に着いた僕たちは安堵した。
セシル「温泉温泉♪」
シスター「そうね、ゆっくりしましょうか」
「いいですね」
僕たちは温泉でゆっくりすることにした。
シスター「温泉でゆっくりしたら西のタオカ山に行きますわよ、二人とも」
僕・セシル「いやです!」
珍しく僕とセシルの息が合ったのだった。




