リナータ山
おじさんたちや役所の人や魔道科の人たちやその他多くの人に見送られながら僕とシスターは旅に出た。
さすがに二人旅はまずいということで魔道科のシスターの弟子のセシルが同伴した。
セシル「山の神々については魔道科でも研究されていますから、私も同行しますわ!」
キバ・アから東へ数週間かけてリナータ山に到着する予定だ。
「いやあ、さすがに二人はまずいですよねえ、はははは」
セシル「そうですわ!不潔です!」
シスター「まあまあ、大義があるのですから」
セシル「お姉様は甘いのです!」
セシルとシスターは血は繋がってないがセシルはシスターのことをお姉様と言って慕ってたのであった。
「セシルさんは魔道科長いんですか?」
セシル「セシルでいいですわ、設立からいますのよ」
「ごほん、設立からねえ」
セシル「元校長はお急がしそうでしたわね」
「ああ、色々やることが多すぎて…」
セシル「魔法のことはほとんどお姉様に習いましたわ」
「そ、そうなんだ…」
シスター「こらこら、カエデさんを責めないの」
馬車でそうこうしてたらドラゴンの群れがやってきた。
「げっ、ドラゴンの群れだ」
セシル「見せてあげます、お姉様から習った超絶魔法」
シスター「こらこら…」
セシル「ホーリーアロー!」
セシルがかざした指から光の矢が放たれてドラゴンを1匹撃ち落とした。
「す、すごい」
セシル「ほら、元校長も!」
「はあ…」
僕は仕方なく戦うことになった。
馬車から出ると数匹のドラゴンが僕に向かってきた。
「仕事したくないなあ…最近疲れてるんだよなあ…」
あの魔王との激戦でキャパ以上の力を使った僕は街の布陣や龍の力をもってしても疲労が残っていた。
セシル「実力見せてください!」
「はあ、仕方ない…」
僕は手をかざした。
「竜巻!」
ぶおおっ!!
数匹のドラゴンが竜巻に巻き込まれて上昇する。
セシル「すごい…!」
シスター「カエデさん!飛ばしすぎないでください!」
「重力攻撃!」
数匹のドラゴンが数十メートル上空から地面に叩き落とされる。
どごおおっ!!
まずい…疲れてる上に街から離れてるからからかスタミナが持たない…
僕の能力の欠点が1つ見つかった。
街から離れると強化能力が弱まるようだ。
まずい…
今魔王や強敵に来られたらやられる…
僕はシスターと話し合うことにした。
「シスター、僕の能力なんですけど」
シスター「はい」
「街から離れるほど力が弱くなるみたいなんです」
シスター「なんですって…」
セシル「えっ!?」
「だからお二人の力に頼るかもしれません」
シスター「わかりました、セシルと二人でメインで戦います」
セシル「お姉様!?」
シスター「カエデさんは休んでてください」
「いえ、そうもいかないと思うのですが」
セシル「…わかりました、カエデさんは私たちがピンチのときに駆け付けてください」
「…わかりました」
かくして二人がメインで戦って僕はサブなのだった。
「(まずいなあ、他に誰か来てもらえば良かった)」
シスターとセシルは見事な連携で力を温存しながら敵と遭遇する度に戦った。
ときどき僕は手を出したが、激戦しかして来なかったので力の加減がわからずに大技を使いすぐに疲れ果てた。
セシル「カエデさん!力温存して!」
シスター「そうですわ、力を収束する方法教えますわ」
「力を収束?」
シスター「集中して力を矢のように細く、そして放つ!」
パシュッ!
「おお」
シスター「やってみてください」
「集中して矢のように細く…」
力が圧縮されてバチバチと火の粉が散っていた。
「放つ…うわっ!」
バシュッ!
圧縮された僕の力は僕の顔をかすめて飛んで行った。
セシル「あぶなーい!」
シスター「あらあら、ヒール!」
セシル「跡残っちゃったみたいですね」
シスターがヒールをしてくれたが僕の顔には跡が残ったようだ。
「力もコントロールできないと危ないんですね」
シスター「そう、魔道科では力のコントロールから学びます」
セシル「我流でやってたなんて恐ろしい…!」
ますます落ち込む僕だった。
敵の来ない日が何日も続き、暇を持て余してたらリナータ山が見えてきた。
シスター「あれがリナータ山ですわ!」
「あれが…」
険しい山々は連なって群れをなしていた。
山の頂上は雲を貫いていた。
シスター「馬車はここまでですわ」
「えっ、徒歩ですか?」
シスター「ええ、そうですわ」
「…(トホホ)」
僕はシスターとセシルに悟られないように心の中でがっかりした。
セシル「魔道科では卒業最終試練としてリナータ山の頂上まで行脚するんですのよ!」
セシルがビシィっと人差し指を出した。
「わかりました…」
僕たちは馬車を置いて山を歩き出した。
何時間歩いただろう。
途中ドラゴンが出てきたがシスターとセシルがほぼ倒してくれた。
僕はピンチヒッターということで力を温存していた。
セシル「はあ、はあ、久しぶりとは言えなかなか堪えますわねお姉様」
シスター「はあ、はあ、あまり喋らないほうがいいんじゃないかしら」
「…」
僕たち三人はだんだん無言になった。
途中非常食を食べたり休憩したりしながら山を登っていたら霧が立ち込めてきた。
正確に言うと雲に差し掛かった。
「うわ、呼吸がしづらい…」
シスター「標高もかなり高くなってきましたわ…」
セシル「…(口数がだいぶ減る)」
「道わかるんですか?」
シスター「ええ、こっちのはずですわ」
何時間か歩いていたら暗くなってきた。
まずい…
シスター「セシル、ライティングの魔法は使えまして?」
セシル「はい、お姉様」
そう言うとセシルさんは指に光を灯しだした。
これを頼りに三人は歩いた。
一同不安な中、かすかに空が明るくなって来るのを感じた。
シスター「朝日ですわ!」
セシル「この調子ですわ!」
「ちょっと希望が見えましたね」
雲の霧を抜けたら頂上が見えた。
「やった!」
頂上には年季の入った建物があった。
「ここですか?」
シスター「はい、ここでお祈りしていくのが卒業最終試練なんです」
「はっ!」
僕の体から龍の化身が現れる。
ー古き友よ。
「えっ!?」
ーこの若者たちに力を貸してやってくれないか?
?「お主か、わかった、何をすればいいのだ?」
ーこの地に街道を通してそなたの力をあの街へ送るのだ
?「ぬぬ…お主ほどの者がそこまで言うとは…何事だ?」
ー魔王と呼ばれる転生者が現れたのだ、もはや他人事ではあるまい
?「なるほど…わかった、好きにするがいい」
ーありがとう友よ
「えっ!?えっ!?」
僕は周りを見渡した。
シスター「も、もしかして、今のは神々の会話…!?」
セシル「お姉様…!」
「あわあわ」
?「若者たちよ、スキルを授けよう、『不動の心』を」
「ああああありがとうございます…」
?「気をつけて帰るがいい、ぬん!」
僕たちは光に包まれた…!
気付いたら山のふもとの馬車の近くにいた。
「えっ!?えっ!?」
シスター「リナータ山の神様が送ってくれたようですわ」
セシル「ドキドキ」
「あ、街に帰るのは自分たちで!?」
セシル「当たり前でしょ!?」
セシルは呆れたように言った。
シスター「さてと、次の山行きましょうか」
僕・セシル「ええっ!?」
シスターの発言に僕たち二人は驚いた。




