帰還
魔道具も完成してチャドさんもパーティに加わったこともあり、僕たちは一度シン・ド・ジュクに帰ることになった。
「こ、これが魔道具・・・」
冒険者ギルド長「よーし、これで魔王の野郎にも一撃食らわせられるぞ」
おじさんたちと僕はメリケンサックに宝石がついたものを眺めていた。
警備隊長「やったな」
商工会議所長「オークションもよかったな」
建築ギルド長「ああ、オークションもたまに行きたいな」
「チャドさん、シン・ド・ジュクは初めてですか?」
チャド「・・・ああ」
冒険者ギルド長「(ちっ、辛気くせえ野郎だな)」
警備隊長「(このまま数日我慢するのか!?)」
商工会議所長「(ちっ、酒飲むしかねえ)」
建築ギルド長「はっはっは、緊張してるんだろ」
「大きな街ですよ、気に入ってもらえるといいのですが」
チャド「・・・ああ」
お前よく話せるなというおじさんたちの視線の元、僕たちは帰路に着いた。
シスター「お帰りなさい」
「ただいま、シスター、魔道具科を設立するにあたって新しい人をスカウトしてきました、チャドさんです」
シスター「まあ素晴らしい、実は生徒もとても増えてきて講師が足りなくなってきたんですの」
チャド「・・・よろしく」
シスター「よろしくお願いいたします」
僕ははさっそくチャドさんが魔道具科で働くために住むところを斡旋するための手続きをするのだった。
「他の科はどんな様子ですか?」
シスター「みんな大変優秀ですわ」
「魔王の侵攻に備えられますね」
シスター「そう、でも魔法が使える人が少なくて人材不足ですわ」
「なるほど、魔法科ですね、しばらくは魔道具科でカバーしましょう」
シスター「それはいい考えですわ」
シスターはすっかり学校運営に協力してくれているようだった。
クブロ・ヴェイからノウェル、ガワ・シーナからキバ・アへの街道工事は刻一刻と進んでいった。
魔王の噂があるとは言え、周辺諸国からの人の流れは留まるところを知らなかった。
入国税を徴収しても人が流れてくるほどの人気ぶりだった。
力が沸き上がっているのを感じる。
でもだめだ。
あいつを倒すにはまだ足りない。
僕はいてもたってもいられなかった。
【風水レベルが6に上昇しました】
【新規スキル解放:龍脈レベル5 地震レベル5 地形攻撃レベル4】
気づいたらスキルがレベルアップしていた。
どうやら街道が繋がったようだ。
あとは仲の悪いキバ・ア市長とノウェル市長を説得するだけだ。
山手線を模した環状の物流ラインがもうすぐ完成する。
しかしスキルだけではだめだ。
僕自身がパワーアップしないと。
ところで魔王はどこでどうしているのだろう。
一つだけ疑問が残った。
某所。
オークとドラゴンの亡骸の山の上に魔王はいた。
魔王「まだ足りない、あの能力者を倒すためには・・・」
魔王は倒したモンスター達の死肉を食らっていた。
僕たちがシン・ド・ジュクに戻って数日、内政の会議をしたり学校の運営の会議をしたり仲の悪いノウェル市長とキバ・ア市長をどうするかなど酒を飲みながら話し合っていた。
冒険者ギルド長「ノウェルとキバ・アなんて強引に繋いじまえばいいのよ」
警備隊長「そうだそうだ」
「え、でも一応筋は通しておかないと・・・」
商工会議所長「律儀な奴だなあ、俺ら元々スラムだぜ」
建築ギルド長「スラムなんて適当よ」
「そうですかね・・・」
スラムだから大丈夫というおじさんたちの理論に僕は呆れ通り越していた。
はあ、相変わらず忙しい・・・
学校はたくさんの人材を送ってくれるものの、市長と校長を兼ね備えた僕の後進はなかなか育たずにいた。
むしろその人材たちをまとめるのに仕事が増えている感じだ。
シスターも協会の活動と学校の運営と空いた時間で寺子屋と大忙しだった。
定例会議という名の飲みの席。
冒険者ギルド長「ぼちぼちあれだな、こっちの仕事が落ち着いたところでノウェルとキバ・アを説得しに行くか?」
警備隊長「そうだな、あいつらが仲が悪いとかは俺らには関係ないしな」
商工会議所長「ちげえねえ」
建築ギルド長「タイマン張らすのはどうだ?」
「タイマン・・・!?」
建築ギルド長「ああ、男同士だからな、殴り合ったらわだかまりがとけたりするんだよ」
なんだそのスラム理論・・・
冒険者ギルド長「決まりだな、あいつらにタイマン張らせよう」
警備隊長「いい考えだな」
商工会議所長「男はやっぱり拳よ」
謎の理論で市長同士の決闘が決まった。




