ガワ・シーナCEO
無機質なオフィスに通されて待っていたのは上下スーツで固めたビジネスマンだった。
CEO「初めまして、ガワ・シーナCEOだ」
「初めまして、シン・ド・ジュク市長です」
CEO「市長?この中で一番若いようだが」
「ええ、使い走りのようなものです」
CEOは一同を一瞥した。
CEO「なるほど」
冒険者ギルド長「ところで魔王が現れてな」
CEO「魔王?」
警備隊長「ああ、他人ごとではないはずだ」
CEO「確かに最近地震が多いな」
商工会議所長「うちと街道を繋げてほしいんだ」
CEO「ふむ、クブロ・ヴェイからヤブーシへの街道は噂には聞いてるぞ、しかしうちも独自ルートによって収益を上げてるからな、おたくらと街道を繋げるにもメリットがないと」
建築ギルド長「メリット?」
CEO「誠意だよ誠意」
クブロ・ヴェイ「誠意ってなんだ?」
ヤブーシ「金払えってことじゃねえの?」
CEO「そうは言ってない」
「聞いてください、魔王に対抗するには今のところ僕の能力しかないのですが、僕の能力は町を繋げるごとに強くなるんです、だからお願いします、僕たちの街と街道を繋げてください」
CEO「ふむ、にわかには信じがたいな」
冒険者ギルド長「頼むよ、物流網が活性化することによってなんだ、あれだ、サプライチェーンになるんだよ」
CEO「ほう、デメリットとメリットは」
警備隊長「メリットは人が集まることによってあらゆるものの需要が高まることだな」
商工会議所長「デメリットは人が増えすぎて大変なことだ」
建築ギルド長「まあおたくの器量なら問題ねえな」
CEO「・・・」
クブロ・ヴェイ「頼むよー、街道通そうよー」
ヤブーシ「どうだ?悪い話ではないだろ?」
CEO「ふむ、では君の能力を見せてくれ」
「能力ですか?」
CEO「そうだ」
「わかりました、地震と再構築、どちらがいいですか?」
CEO「地震?そんなもの起こせるのか?」
「そうです」
CEO「ふむ、町を壊されては困る、再構築の方でお願いしよう」
「わかりました」
僕は机の上に置いてある紙に手をかざした。
再構築!!
紙が段ボールへと変化する!
CEO「こ、これは・・・」
CEOは目を見開いた。
CEO「なるほど、街道の方で段ボールという木箱に代わる素材が発明されたと聞いたが君の能力で作っていたのか」
「はい、すでにシン・ド・ジュクのほうでは段ボールの量産体制に入っていて、僕の能力がなくても作れるようになっています」
商工会議所長「手を組んだら分けてやってもいいぞ」
CEO「なるほど・・・わかった、では、シン・ド・ジュク、ヤブーシ、ガワ・シーナの三都市で同盟を結ぼう」
「ほんとですか!?」
冒険者ギルド長「やったな!」
警備隊長「祝勝会だ!」
商工会議所長「よし、三都市で物流網を一本化するぞ!」
建築ギルド長「大忙しだな」
クブロ・ヴェイ「なかなかの男だな」
CEO「そんなに嬉しいかね?」
ヤブーシ「ああ、いろんな意味でな!」
こうしてガワ・シーナが僕たちの街の一部になることになった。
ヤブーシからガワ・シーナへの街道作りは急だったため、作業員たちの顔には疲労の色が浮かんでいた。
僕は作業員たちにコーヒーを差し入れてあげることしか出来なかった。
作業員A「おお!助かるな!」
作業員B「ありがとう市長!」
建築現場の差し入れは大体コーヒーだ。
カップに入れて休憩中の作業員に配る。
待てよ、缶に入っていたらいつでも飲めるな。
廃材の金属に手をかざす。
素材再構築!
金属が缶に変わる。
しかし・・・
水分入れて封をするのはどうやるんだ・・・?
CEO「大した能力だな」
「そ、そうですか!?」
CEOことガワ・シーナ市長に話しかけられて僕はびっくりした。
CEO「その容器に封をする技術は我々で担おう」
「はい、こうやって指で開ける仕組みがいいと思います」
CEO「なるほど、新しい流通の技術になりそうだな」
「はい、飲み物をこの容器に入れて段ボールに詰め込むと効率的に流通させられます」
CEO「なるほど、我が社の新しい製品としていいだろう、それにしても街道の設計もお前がしているのか?」
「はい、図面は僕が書いています」
CEO「お前はギフテッドかもな」
「ギフテッド?」
CEO「神から能力を授かった人間だ」
「え、神ですか!?」
CEO「ああ、そんな能力持っている人間なかなかいない」
「そ、そうですね」
CEO「ふっ、この調子でこの国を統治するといい」
「この国ですか!?」
CEO「ああ、国王からもそのうち声がかかるだろう」
国王!?
そう言えば忘れていたけど、僕をこの世界に召喚して無能だからと投げ捨てた人だ。
あの人とまた会うことになるのか・・・
僕の悩みの種は尽きなかった。




