ガワ・シーナ
南へ向かう馬車の中、珍しくおじさんたちはいつもより暗い雰囲気だった。
あんな事件があったばかりだから無理もなかった。
冒険者ギルド長「ちっ、魔王の野郎倒せるのは市長だけか、俺らの拳も通用しねえ」
警備隊長「ギルドの方で勇者募れないのか?」
冒険者ギルド長「うーん、今からだと時間はかかるだろうな」
商工会議所長「いくら金払ってもやるしかないな、俺も協力するぞ」
冒険者ギルド長「銭ゲバが協力するなんて珍しいな」
商工会議所長「茶化すんじゃねえよ、人類の危機なんだから」
建築ギルド長「勇者育てたとしても宿舎作ったりやることは山ほどあるな」
クブロ・ヴェイ「うちのギルドのほうにも頼むよ」
ヤブーシ「うちもやらないとな」
「そうですね、学校の方も早く作らないといけませんね」
共通の敵が出来たことでおじさんたちは団結しているようだった。
冒険者ギルド長「しかし俺らの拳が通じないとなると魔法しか通じないのか?」
警備隊長「そうみたいだな」
商工会議所長「参ったな、喧嘩しかしたことないぞ」
建築ギルド長「そうなんだよな」
クブロ・ヴェイ「魔法か、魔法使い育てないとな」
ヤブーシ「ちっ、急に言われてもなあ」
そうこう言っている間に町が見えた。
港町ガワ・シーナだ。
海の潮風の匂い。
バラックに交じって高い建物が点々とあるところが経済の街であることを物語った。
「町が見えましたね、いきなり交渉しに行って大丈夫でしょうか?」
冒険者ギルド長「ああ、急いだほうがいい」
警備隊長「休んでいる暇はないな」
商工会議所長「買収してでも傘下にする」
建築ギルド長「船の構造もチェックしないとな」
クブロ・ヴェイ「お前仕事好きだねえ」
ヤブーシ「誰が交渉するよ?」
「ぼぼぼぼ僕ですか?」
僕は緊張して上ずってしまった。
冒険者ギルド長「だめだこりゃ」
警備隊長「全員で行こう」
商工会議所長「そうだな」
建築ギルド長「お前強いんだから自信持てよな」
クブロ・ヴェイ「そうだよ」
ヤブーシ「まあ役割分担だよな」
町の人に聞いていくと市長は港の方にいるとのことだった。
冒険者ギルド長「潮くせえけど飯はうまそうだ」
警備隊長「潮くせえは余計だろ」
商工会議所長「高い建物結構あるな、金のにおいがするぜ」
建築ギルド長「さすが銭ゲバ」
クブロ・ヴェイ「ガワ・シーナ初めて来たな」
ヤブーシ「実は俺もだ」
そうこうしているうちに港に着いた。
「どうします?どこにトップがいるでしょうか?」
冒険者ギルド長「その辺の奴に聞いてみるか」
警備隊長「おい、俺たちはシン・ド・ジュク市長だが」
衛兵「はい?」
商工会議所長「トップはどこにいる?」
衛兵「CEOはあの建物にいますが、アポイントはありますか?」
「CEO?」
衛兵「はい、血の気の荒い先代に代わってビジネスに優れたCEOが今の市長です」
建築ギルド長「アポイント?」
クブロ・ヴェイ「なんだそれ?」
ヤブーシ「約束って意味だよ」
冒険者ギルド長「そんなものねえよ」
警備隊長「急いでるんだ」
衛兵「アポイントのない方はお通し出来ません」
商工会議所長「めんどくせえな」
建築ギルド長「強引に通るか?」
クブロ・ヴェイ「おい、魔王が復活してな、俺たちの国が滅ぼされてしまうかもしれないんだ」
ヤブーシ「緊急事態だからお前らのトップと話したいんだ」
衛兵「うーん、にわかには信じがたいですが・・・わかりました、一応聞いてみます」
衛兵は建物の中に入っていった。
「うまくいきますかねえ?」
冒険者ギルド長「やるしかないだろう」
警備隊長「最悪お前の能力使うしかないな」
商工会議所長「俺らお得意のやり方だな」
「・・・わかりました、なるべく使わない方向で」
建築ギルド長「そうだな、立て直しも大変そうだし」
クブロ・ヴェイ「おっ、戻ってきたぞ」
衛兵「CEOがお会いになるそうです」
ヤブーシ「やったな」
僕たちはガワ・シーナのCEOに会いに行くことになった。




