傘下
ヤブーシを傘下に収めた僕たちはまた街道作りを始めた。
ヤブーシの売り上げは9割僕たちがいただくというほぼ脅しのような契約となった。
これを機にヤブーシの手下たちのほとんどが逃げて行った。
冒険者ギルド長「安心しろ、市長としての立場は残してやる」
ヤブーシ「ぐう」
警備隊長「統治の仕事は残っているからな」
商工会議所長「シマはいただきだぜ」
建築ギルド長「人口もどんどん増えるぞ」
クブロ・ヴェイ「恐ろしい奴らだな」
「・・・」
冒険者ギルド長「さて、シマも広がってきたしだんだん手が回らなくなってきたな」
警備隊長「そうだな、優秀な人間を増やしていかないと」
商工会議所長「優秀な人間ねえ」
建築ギルド長「なんかアイディアあるか?」
クブロ・ヴェイ「学校はどうだ?」
「学校いいですね」
冒険者ギルド長「そうだな、俺らの右腕になるような人間を育てないとな」
警備隊長「決まりだ、学校を作るぞ」
商工会議所長「誰が金出すんだ?」
建築ギルド長「いや、お前だろ」
商工会議所長「なんで俺なんだよ、ヤブーシの売り上げからでいいだろ」
クブロ・ヴェイ「うちも多少は出すぞ」
商工会議所長「じゃあ出資額が多い順に収益もらえる仕組みにするか?」
警備隊長「それじゃあお前が一番もらえる計算になるだろう」
商工会議所長「ばれたか、はっはっは」
建築ギルド長「きたねえやつだ」
クブロ・ヴェイ「待てよ、名案だぞ」
冒険者ギルド長「まあ、今のところは均等に分けるか」
お金の取り分についておじさんたちは話し合っていた。
学校か、確かに識字率や学力が上がれば犯罪率は減り、総生産も上がるだろう。
しかし誰が校長やるんだろう。
あ・・・
この質問をするとどうせ「お前しかいないだろ」とか言われてやらされるかもしれないからやめた。
シン・ド・ジュクとヤブーシを繋ぐ街道を作る工事だけで手いっぱいになるだろうに、校長までやらされたら体がもたない。
「そうですね、皆さんの部下で優秀な人はどんどん登用して出世させましょう、結果的に楽になると思います」
冒険者ギルド長「そうだな」
警備隊長「賛成だ」
商工会議所長「お前もだんだん板がついてきたな」
建築ギルド長「考えるのはお前の仕事だからな」
クブロ・ヴェイ「どんな人生歩んできたんだよ」
そう、僕の前世は中間管理職だった。
管理職とは名ばかりのまとめ役兼パシリ。
うるさい上司。
言うことを聞かない職人。
全ての勢力を凪のように受け流さないとやっていけない。
冒険者ギルド長「ところで学校やるにしても人材はどうするんだ?」
ヤブーシ「ああ、そう言えば『寺子屋』とかいう路上教室を子供相手にやっている奴がいたかな」
商工会議所長「酔狂な奴だな」
建築ギルド長「校長はお前としてそいつに話してみたらどうだ」
「ええ、そうですね、って僕が校長ですか!?」
クブロ・ヴェイ「他に誰がいるんだよにやにや」
ヤブーシ「向いてそうだな」
ああ、やっぱり・・・
仕事は川の流れのように上から下へと、弱いほうに弱いほうに流れていくのだ。
僕はヤブーシの路上教室、『寺子屋』に行ってみることにした。
「はあ、街道も作らないといけないし統治の仕事もあるのに学校の運営もしなくちゃいけないなんて・・・」
とぼとぼと歩いていると寺子屋に到着した。
「この辺か・・・」
声「・・・であるから、・・・ということなの」
「え」
僕は思わず声が出てしまった。
見たこともないくらい美しい女性が子供たちに勉強を教えている光景が目に入った。
女性「どなたですか?」
「ええ、僕はシン・ド・ジュクから来た者ですが・・・」
女性「シン・ド・ジュク・・・!?あの荒くれもの集団!?」
「え、ええ、そうなんですけど・・・」
女性「帰ってください!!私たちの生活を脅かさないで!!」
なんてことだ。
あのおじさんたちの評判が悪すぎて僕まで悪者扱いだ。
「あ、あの、今度学校を作ることになりまして・・・」
女性「帰って!!今度は何を企んでるの!?」
「はい・・・」
僕はとぼとぼと帰ったのだった。
冒険者ギルド長「おい、お前振られたんだって?」
警備隊長「そっち方面はだめそうだな」
商工会議所長「〇〇っちまえばいいんだよ」
建築ギルド長「ちげえねえ、はっはっは」
クブロ・ヴェイ「お前らが評判悪いんじゃねえの」
ヤブーシ「間違いない」
おじさんたちの評判が悪すぎて断られたのに僕が振られたことになってて、僕はさすがに怒りたくて仕方なかった。




