話し合い(物理)
おじさんたちは仲がいいのか悪いのかよくわからないけど道中よく揉めていた。
その日の夜、僕はおじさんたちが揉めている夢を見た。
夢の中でも揉めないでよ・・・
冒険者ギルド長「空気がよどんできたな」
警備隊長「ああ、魔物が現れそうだ」
商工会議所長「おお、やっと戦える」
建築ギルド長「そういや最近戦ってなかったな」
クブロ・ヴェイ「お前らついてけねえぜ」
そう言えば転生してから幸か不幸か戦闘してないな。
気づいたら市長になっていた。
冒険者ギルド長「お、あそこにオークの群れがいるぞ」
「え、どこですか?」
警備隊長「あ、あの粒みてえなのだな、双眼鏡で見てみろよ」
「あ、あれですね」
商工会議所長「ああ、やっと戦える」
建築ギルド長「よし!突撃するぞ!」
クブロ・ヴェイ「見てやがれ!」
「え、そう言えば武器はないんですか?」
冒険者ギルド長「素手だよ」
「えっ・・・」
警備隊長「俺たちは拳一つでここまで成り上がったんだよ」
商工会議所長「肩書は後付けだな」
建築ギルド長「本当は戦闘集団だからな」
クブロ・ヴェイ「けっ、バカばっかりだ」
おじさんたちは馬車を全速力でオークの群れに特攻した。
オークたちは突然の来客に驚いて散り散りになった。
「あわあわ」
冒険者ギルド長「ハイヤー!」
警備隊長「ボコボコにしてやる!」
商工会議所長「楽しみだな!」
建築ギルド長「やっと戦えるな」
クブロ・ヴェイ「誰が一番強いかな」
足の速い個体は散り散りになって逃げ、残ったのは子供みたいな足の遅い個体だけだった。
子オーク「ビエエエン」
冒険者ギルド長「おいおい、子供だけになっちまったぞ」
警備隊長「さすがに可哀そうかな」
商工会議所長「強えやつと戦いたかったのに」
建築ギルド長「弱いやつと戦ってもしょうがないわな」
クブロ・ヴェイ「先を急ぐか」
何だこの人たち・・・
勢いだけでオークの群れを蹴散らしてしまった・・・
僕たちは先を急ぐことになった。
途中何回か魔物の群れに遭遇したが、おじさんたちの勢いでほとんどが逃げて行った。
それもそのはず。
血気盛んなおじさんたちは周辺のゴブリンやオークを駆逐してしまって、強い個体はほとんど倒してしまったのだ。
残った魔物たちはおじさんたちの怖さを知っているからほとんどが逃げて行った。
数日馬車を走らせていたらヤブーシの門に着いた。
木の城壁で囲まれた町は厳かささえ感じた。
門番「止まれ」
「シン・ド・ジュクから来ました」
冒険者ギルド長「おうご苦労」
警備隊長「ヤブーシ市長に会わせてくれ」
商工会議所長「これが招待状だ」
門番「何?」
建築ギルド長「いやあ、遠かったな」
クブロ・ヴェイ「ああ、早く女と遊びてえ」
門番「はい、わかりました、お待ちください」
冒険者ギルド長「いけそうだな」
警備隊長「いやあ楽しみだな」
「(何が楽しみなんだろう・・・)」
商工会議所長「体なまっちゃうからな」
建築ギルド長「どうなるんだろうな」
クブロ・ヴェイ「あっちの出方次第だな」
「はい、なるべく揉めないように話を進めます」
僕たちはヤブーシ市長のいる建物へと向かった。
木造の立派な建物に案内されると僕たちは中に入っていった。
ヤブーシ市長「ようこそヤブーシへ」
冒険者ギルド長「おう!お前がヤブーシ市長か!」
ヤブーシ市長「おいおい、その態度失礼じゃないか?」
警備隊長「俺たちはもともとこんな感じだよ」
ヤブーシ市長「君たち手を組んだみたいだな」
商工会議所長「成り行きでな」
建築ギルド長「今は仲良くやってるぜ」
クブロ・ヴェイ「ん?そうか?」
「初めまして、シン・ド・ジュク市長です」
ヤブーシ市長「ん?君が?」
「僕としてはみなさんと和平を進め、城壁と物流網を築いて共に発展できればと思っています」
冒険者ギルド長「おお、言うようになったじゃねえか」
ヤブーシ市長「ぬぬ、物流網か、ところでシン・ド・ジュクとクブロ・ヴェイでどっちが頭なんだ?」
警備隊長「んー、今のところ対等かな」
クブロ・ヴェイ「ああ、どっちが上とかはないな」
ヤブーシ市長「なるほど・・・」
商工会議所長「こいつが仕切ってるしよ」
ヤブーシ市長「この小僧が!?」
建築ギルド長「ああ、俺たちのリーダーだぜ」
ヤブーシ市長「ふざけてんのかお前ら!!」
穏やかな口調だったのに突然攻撃的な口調になっヤブーシ市長に僕は驚いた。
冒険者ギルド長「おい、市長、見せてやれよお前の能力」
警備隊長「そうそう、一撃で黙るような奴」
「え?段ボール作ればいいんですか?」
商工会議所長「ちげえよ、あれだよ、あれ」
おじさんたちはにやにやしている。
建築ギルド長「こいつ怒らすと怖いぞ」
クブロ・ヴェイ「あれだよあれ」
ヤブーシ市長「あれってなんだよ、わかるように言え」
冒険者ギルド長「龍脈だっけ?」
「ああ、そういうことですか」
おじさんたちの言ってることがわかった。
「わかりました」
僕は深呼吸して目を見開いた。
手をかざして
「龍脈!!」
ゴゴゴゴゴゴゴ
ヤブーシ市長「なに!?」
震度3程度の地震が起きてヤブーシ市長はうろたえてるがおじさんたちはにやにやしている。
ヤブーシ市長「やめろ!!」
冒険者ギルド長「お前の町ぶっ壊されたくなかったら俺たちの傘下に入れよ」
警備隊長「悪い話じゃないと思うんだが」
商工会議所長「今まで以上に儲かるぞ?」
ヤブーシ市長「お、お前ら・・・!?」
建築ギルド長「ああ、こんな手を使いたくなかったんだがな」
クブロ・ヴェイ「お前が悪いんだぞ」
ヤブーシ市長「くそ、お前ら、やっちまえ!!」
ヤブーシの手下たち「おおおお!!」
冒険者ギルド長「オラア!!」
冒険者ギルド長がヤブーシ市長の手下の一人を蹴り飛ばす。
警備隊長「やっちまえ!!」
商工会議所長「腕が鳴るぜ!!」
建築ギルド長「おおおお!!」
クブロ・ヴェイ「久しぶりだな、ポキポキ」
おじさんたちはヤブーシ市長の手下たちをいとも簡単に次々と殴り飛ばしていった。
ヤブーシ市長「つ、強い・・・」
冒険者ギルド長「くらえ!!」
ボゴオ!!
冒険者ギルド長の重いパンチがヤブーシ市長を捉える。
ヤブーシ市長「ぐほお」
警備隊長「ほどほどにしとけよ」
商工会議所長「俺にもやらせろ!」
建築ギルド長「まあ決着はついたようなもんだな」
クブロ・ヴェイ「そのようだな」
なんてことだ。
僕の能力が脅しの材料に使われてしまった。
目の前の状況が夢や映画みたいに現実感がなかった。
妙な高揚感とともに罪の意識がちくちく痛むのであった。




