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目下捜索中でございます。〜家電販売員編  作者: ユタカ
目下捜索中でございます〜シーズン2~

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20/30

非正規の物流、あるいは資産の不正移動

タナハシカメラのメインエントランス。白昼堂々、男が65インチの巨大な4K液晶テレビを両手で抱え、レジをスルーして出口へ突き進むという異常事態が発生しました。

其の一:トランザクション未承認の検知

「(……いけない。当店舗の基幹システムにおいて、65インチ級の重量資産が、決済(レジ通過)という名の『承認プロセス』を完全にスキップして外部へ流出しようとしている。これは物流管理における致命的なバグ、あるいは『在庫データの強制デリート』だ)」

逃げようとする男の前に、田所は音もなく、そして正確な座標で立ち塞がりました。

其の二:搬出プロトコルの確認

「お客様、静粛に。現在、あなたの手に保持されている資産は、当店のデータベース上ではまだ『店舗所属』として登記されております。このまま屋外へ**ロスト(紛失)**させることは、管理員としての私の誠実さが許しません」

「うるせえ! どけ! これは俺のもんだ!」

男が強引に突破しようとしますが、田所は無表情のままテレビの角をそっと掴みました。

「お客様、落ち着いてください。私はあなたの『無断搬出』という名の非正規なロストを止めたいのではありません。その搬出方法があまりにも非効率であることを指摘しているのです。65インチの精密機器を裸のまま、生身の人間という不安定なキャリアで運搬するのは、故障という名の『資産全損』を招くリスクが極めて高い」

其 三:盗難資産の「最適化パッキング」

田所はどこからか取り出した「超強力な梱包用ラップ」と「緩衝材プチプチ」を使い、驚異的なスピードで男とテレビを一緒にぐるぐる巻きにし始めました。

「ちょっと! 何すんだよ! 離せ!」

「ご安心ください。これは『トランスポート・ホールド(搬送固定)』です。あなたという運搬ユニットと、テレビという資産を完全に同期シンクロさせることで、落下による破損リスクを0%へと登記いたしました。さらに、私の誠実なサービスとして、テレビの裏側に**『追跡用GPS』と『120デシベルの防犯アラーム』**を完璧にホールド(装着)いたしました。これで、あなたがこの資産をどこへロストさせようとも、管理網から逃れることは不可能です」

「余計なことすんじゃねえ! 動けねえだろうが!!」

其 四:貴島の「物理的緊急停止」

「万引きを手伝ってどうするんだバカ野郎!!」

背後から放たれた貴島のジャンピングニーが、田所の後頭部を捉え、同時にラップで固まった犯人を床に転がしました。

「お客様、じゃなかった泥棒! お縄だ! 田所! お前、なんで犯人を丁寧にパッキングして、逃走準備を完璧に整えてやってんだよ!」

「貴島さん……。私はただ、たとえ不正な持ち出しであっても、当店の大切な在庫(資産)が傷つくことを防ぎたかっただけで……。犯人さん、ご安心ください。現在、あなたの身柄は警察という名の『中央管理センター』へ目下、転送手続き中であります!」

「誰が助けてくれって言ったぁぁ!!」

今回のリザルト:店舗資産の守護および犯人の物理的ホールド

結局、テレビと一体化した犯人は身動きが取れず、そのまま現行犯逮捕されました。長谷川店長は、田所が「万引き防止のために、全商品に重量100kgの鉄球を連結し、決済が完了するまで床にボルトでホールド(固定)するシステム」を熱心に提案しているのを見て、深く溜息をつきました。

「田所……。お前、次はもっと『動かなくて、重くて、誰も盗まない』ものの担当だ。……そうだ、**『家庭用金庫』**だ。これなら最初から鉄壁のホールドだろ……」

「店長……。金庫は『隠蔽の美学』です。一度入れたら二度と取り出せないよう、鍵穴を溶接でデリートして参ります」

「……だから、勝手に機能を全損させるなと言ってるんだ!!」

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