探せお宝、あるいは決済資産の完全追跡
さてシーズン2も順調に進めていきます(* 'ᵕ' )☆
ぜひシーズン1
並びに
個人的に好きな作品
栗原様を釈放せよ。
誰も知らない僕の本当の名前。
断絶のプラットホーム〜遮断機の向こう側〜
こちらの三作品もよろしくお願いします。
あと可能であればレビューや評価 辛口でも構いませんのでよろしくお願いします。
其の一:情報の欠落
「大変! カードがないわ! さっきここで会計しようとした時に……」
レジ前で青ざめる中年女性客。田所は音もなくその背後に現れ、眼鏡の位置を静かに直しました。
「(……いけない。このタナハシカメラという巨大な販売システムにおいて、お客様の決済権限そのものである『クレジットカード』が完全にロストしている。これは店員として、案内業務における重大な瑕疵だ)」
其の二:執拗な「徹底捜索」
「お客様、ご安心ください。あなたのカードは現在、当店のどこかに隠匿されているだけです。私の誠実さが、その座標を目下捜索中でございます」
田所はそう言うと、なぜか隣の炊飯器コーナーへ向かい、展示されている全ての炊飯器の蓋を「パカッ、パカッ」と猛烈な勢いで開け始めました。
「ちょっとお兄さん! なんで炊飯器の中を見てるの!?」
「お客様、静粛に。薄いカードは気流に乗って家電の内部へと侵入するケースがあります。私は今、全ての蓋付き製品を検品しているのです」
其 三:発見と「強制決済」
「いい加減にしろバカ野郎! 足元に落ちてんだろ!」
背後から飛んできた先輩店員・貴島の蹴りを背中で受け止めながら、田所はレジ下の隙間からカードを救出しました。しかし、彼はそれを返却する前に、レジの端末に無言でカードを叩き込みました。
「……ピピッ。はい、決済完了です」
「えっ、ちょっと何したの!?」
田所は、山積みにされた特売の炊飯器10個をリヤカーに積み込み、深く頭を下げました。
「お客様、お待たせしました。こちらがロストから生還したカードです。つきましては、今回私が行った捜索手数料として、こちらの特売炊飯器10個、すべてこのカードで決済させていただきました。ご安心ください。これより私がリヤカーでお客様のご自宅へ全量を配達させていただきます」
其 四:座標のロスト
田所は猛然とリヤカーを引き、店の自動ドアを突破して夜の街へと消えていきました。呆然と見送るお客様がつぶやきます。
「……あの、ちょっと待って。あの人、私の住所知らないわよね?」
一時間後。田所は街灯もない見知らぬ路地の行き止まりで、リヤカーを引いたまま立ち尽くしていました。
「(……いけない。お届け先という重要データを入手する前に、配送という実行フェーズに移行してしまった。現在、私の誠実さがお客様のご自宅を目下捜索中でございますが、周囲の風景が完全にロストしております)」
其 五:強制キャンセル
その時、田所のポケットでスマホが爆発せんばかりの勢いで鳴り響きました。
『田所ぉぉぉ!! お前今どこにいるんだ!!』
長谷川店長の怒声が鼓膜を突き破ります。
『勝手にやった炊飯器の決済は、こっちで全部返金処理した! お客様もカンカンだ! いいから今すぐそのリヤカーごと店に帰ってこい!!』
「……店長、承知いたしました。ですが現在、このリヤカーという資産を店へ戻すためのルートが、闇夜の中にロストしておりまして……」
『いいからGPS使って這ってでも戻ってこい!!』
今回のリザルト:信用と在庫の同時全損
結局、田所は「勝手に決済した上に、住所も知らない客の家を探してリヤカーで徘徊した不審者」として警察に通報されかけ、長谷川店長から「お前は明日から一歩も外に出るな! バックヤードの段ボールの数を一生数えてろ!」と厳命されました。
「長谷川店長……。紛失防止のために、お客様のカードをすべてチップ化して体内に埋め込む管理システムを導入してよろしいでしょうか……?」
長谷川「お前の存在を今すぐこの店から抹消してやろうか!!」




