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目下捜索中でございます。〜家電販売員編  作者: ユタカ
目下捜索中でございます〜シーズン2~

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エネルギー体の消失、あるいは「タナハシカメラ」迷宮の捜索

田所 健介(28)は盆栽を破壊して前職を解雇され、家賃を払うため切実に職を探していました。

大量の在庫を「管理」できる環境に惹かれ、タナハシカメラの面接へ。

店長が彼の異常なこだわりを「凄まじい販売意欲」と勘違いし、即採用されました。

後日、田所は超大型家電量販店**「タナハシカメラ」**赤いベストに身を包んでいました。彼は今日も広大な店内のどこかで「完璧な管理」を追求しています。

其の一:情報の欠落

「……あの、すみません。電池はどこにあるかしら? 広すぎて全然見当たらないのよ」

売場の端で途方に暮れる高齢の女性客。田所は無表情のまま、音もなく彼女の背後に現れ、深く首を傾げました。

「(……いけない。この『タナハシカメラ』という巨大な機能体において、最小単位の駆動源である『乾電池』が、お客様の視界から完全にロストしている。これは販売員として、配置および誘導の瑕疵と言わざるを得ない)」

其の二:執拗な「追跡調査」

田所は女性客に深々と頭を下げ、胸ポケットからピンセットとペンライトを取り出しました。

「お客様、ご安心ください。現在、当店のエネルギー在庫が、不当に空間へ隠れ潜んでいる可能性があります。現在、その正確な座標については私の誠実さが目下捜索中でございます。……私についてきてください」

田所はスタスタと歩き出しましたが、案内板を完全に無視。なぜか「大型テレビの裏側」や「空気清浄機のフィルターの隙間」をペンライトで照らし、一点一点確認し始めました。

「お兄さん、電池はそんなところにあるの?」

「お客様、静粛に。電池というものは、往々にして物理的な隙間へと逃げ出す性質ロストを持っています。私は今、空気の振動からマンガンとアルカリの気配を特定しているのです」

其 三:全館放送による「全量点検」

ついに田所は、売場のレジ横にあるごく普通の「電池コーナー」を自ら通り過ぎ、店員専用の配電盤室のドアをこじ開けようとしました。

「……おかしい。データ上はこのフロア内に数千個の円柱形ユニットが存在しているはずですが、私の目には一粒も映りません。……いけない。これは在庫による一斉逃走、あるいは組織的な隠匿だ」

田所は近くの内線電話を掴み、店内の全スピーカーをジャックしました。


『……業務連絡、業務連絡。担当の田所です。現在、単三および単四電池が店舗からの脱走ロストを試みています。全スタッフは接客を中止し、レジ下の隙間から展示品の炊飯器の中までを目下捜索してください。なお、捜索中に発生する混乱は、私の誠実さが一括して保証します』


其 四:供給過多な「ホールド」

「いい加減にしろバカ野郎!」

背後から鋭い怒声と共に、先輩店員の**貴島きじま**が田所の背中を全力で蹴り飛ばしました。

「そこにあるだろ、節穴か! お客様、すみません、こいつちょっと頭のシステムがバグってるんです!」

貴島にレジ横の電池コーナーへ突き飛ばされ、ようやく在庫に気づいた田所。しかし彼は、反省するどころか女性客の手を引き、棚にある電池をすべて買い物カゴに叩き込み始めました。

「お客様、お待たせしました。こちらが当店の『心臓部』でございます。……おや。単三の在庫が残りわずか50パックしかありません。これは将来的な供給断絶リスクを孕んでいます。紛失防止のため、この棚の全てを、お客様のカゴへ**一括ホールド(全量購入)**させましょう」

「えっ、一個でいいのよ! なんで全部なの、なんでそうなるの!?」

「いいえ。一粒でも残せば、それはまた『ロスト』の対象となります。さあ、今すぐこれら全てをご自宅へ移動させてください。私が玄関までお運びいたします」

今回のリザルト:店舗機能の全損

結局、田所は「電池1個」の案内のために全館放送をジャックし、営業を混乱させたとして、長谷川店長から「お前をバックヤードのダンボール箱に永続的にホールドしてやろうか」と激怒されました。

「長谷川店長……。紛失防止のために、電池一粒一粒に私の指紋を刻印し、店舗から1ミリでも動いたらアラートが鳴る『精密管理システム』を導入してよろしいでしょうか……?」

「二度と喋るな! 表に出てろ!」

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