タイトル未定2025/05/18 03:01
テレビの画面には、戦場の映像が流れていた。
煙が立ち込め、軍の車両が炎に包まれ、兵士たちが混乱する姿が映し出される。記者の声が震えながら状況を伝えていた。
「軍の部隊が——圧倒されています!敵の詳細は不明ですが、目撃情報によると——」
湊はぼんやりとニュースを見つめていた。興味を持つこともなく、ただ背景のように流れる映像を眺めていた——しかし。
画面が切り替わった瞬間、彼の表情が変わった。
映っていたのは、一人の男。
軍の包囲の中を駆けるその姿は、稲妻のように閃光を放ち、次々と敵を打倒していく。手が触れるたびに兵士が崩れ落ち、ミサイルが軌道を変え、戦車が沈黙していく。
その動き、その電流の閃き——湊の心臓が跳ねた。
「赤瀬——?」
音もなく呟いたその言葉が、室内に沈む。
信じられない。画面の中の光景は、彼の知る世界ではなかった。しかし、それが赤瀬であることを疑う余地はなかった。
雷と共に戦場を支配するその姿——湊は、ただ息を呑むしかなかった。
炎の揺らめきが戦場に残る中、赤瀬は静かに遠くを見つめていた。
軍を制圧し、その力を存分に解放した。だが、ここに長く留まる理由はない。
追跡が始まる前に、もっと遠くへ——この場所ではない、違う場所へ向かわなければならない。
「海を渡る。」
その言葉に、ボルは満足そうに笑みを浮かべた。
ボル「いい決断だ。ここでじっとしてるのは性に合わん。」
向かうべきは空港。飛行機を使えば、軍の追跡を一気に振り切ることができる。
赤瀬は空港に向かった。
空港の明かりが遠くに見える。舗装された滑走路、その向こうには次々と離陸する機体が並んでいる。
赤瀬は物陰に身を潜めながら、その光景を見つめていた。
ボル「軍の監視があるな。」
赤瀬は静かに目を細める。軍は当然、逃亡者がこの場所を目指すことを予想している。監視カメラ、警備兵、チェックポイント——見つかれば飛行機に乗れない。
しかし、雷翔には時間を無駄にする余裕はない。
「潜り込む。」
その言葉に、ボルは満足げに微笑む。
貨物エリア——人の目が少ないその区域を狙う。着陸したばかりの飛行機、その荷物の積み替えが行われている場所が突破口となる。 狙うは国際線。
赤瀬は一瞬、静かに呼吸を整えた。
そして、次の瞬間——彼は動く。
闇の中を疾走し、雷と共に滑走路の影へ溶け込む。目に見えない速度で進みながら、機体へと近づいていく。
機体まであと数メートル——その時、赤瀬は背筋を凍らせる感覚に襲われた。
空港の灯りの下、 かすかな圧力——静かにしかし確実に広がる山田和夫の覇気。
殺したはずだ。
「まさか……!」
彼は振り返る。
ボル「……雷翔、これは妙な事態だ。」
そこにはひ弱で痩せ型の少年が立っていた。
ボル:「あいつ何かしやがったな。」
赤瀬は目を見開く。恐れはない。むしろ心の奥底から熱がこみ上げる。
「今の俺なら——やれる。」
電気がかすかに指先を走る。
少年:「逃亡をやめて投降してほしい。戦いたくはない。言い分があるなら聞く。」




