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第六十一話 変なモンスターと出くわす

「スンダマ様? 凄く強い冒険者とかですか」


「ああ、いや。スンダマ様って言うのは、」


「炎山!」


 おじいさんが遮るように彼の名前を呼んだ。


「いいだろ、どっちにしろ向こうに着いたら知ることになるよ。それに俺は認めていない、認めるわけにはいかないから」


「お前はまたそんなことを…… 彼のようになるぞ」


「むしろ一哉がああなったことがおかしいよ。祟りなんてありえない」


「あの……何かまずい事を聞いちゃいましたか?」


「あ、気にしないでくれ。一応、ここなら大丈夫だよな、よし」


 何やら一人で確認すると再び炎山は話し出した。


「スンダマ様ってのは僕達の住んでいる町にいる守り神なんだ。それがモンスターを倒してくれるからみんなはスンダマ様に感謝している、ってことになっている」


「なんだか含みがあるような言い方ね」


「はい、そうなんです。僕はスンダマ様をあまり信じていません。詳しくはごめんなさい、話すことはできませんが確かにいることは事実です。ただ、認めるわけにはいかないんです」


「「「「……」」」」

 

 沈黙することしかできなかった。


「僕の友人、藤堂一哉って奴なんですが、彼は強くて一緒にギルドを作ろうなんて言っていて仲間も集めていました。でもある日、大きな傷を負って今も意識不明のまま入院しています。それで集めた仲間も自然に解散、そのことを町の人は祟りって言いました」

 

「え? なんか急に物騒な話になっていない?」

「そうですね、ちょっと怖いような……」


「でも祟りなんておかしい、あいつは町のためを思って行動していたのに……」


「それはスンダマ様と関係無い、それでいいじゃないか、なあ炎山」


 おじいさんがたしなめるように彼に言う。


「でも……」


(あれ? なんかこれから向かう場所って思ったよりもごたごたしているんじゃないか)


 話を聞きながら少し不安が出てきた。


「藤堂君がけがをした理由って? 例えば山道で滑落したとか」


「モンスターと戦って、との事みたいです」


「そんなに強いモンスターが出るの? だってあなたよりも強いんでしょ?」


「……、一哉は強いです。町の中でも同じくらいかそれ以上に強い人もいるかもしれませんが少なくともその辺のモンスターに手こずるってことは考えられません」


「じゃあそれって……」


 花耶が話している途中だったが、


「皆掴まって!」


 キキィィーーー!!


 思わずブレーキを踏み車体を道路に対して横にする。今ならようやくモンスターに出くわした運転手の人達の焦りが分かる。


「どわ!!」

「うっ!!」

「わっ!!」


「みんなごめん、でも……」


 木が横にある道を抜け、開けた空き地が横にあるんだろうなぁと思った瞬間にその空き地からモンスターが現れた。結構デカい。のしっのしっっとその姿をゆっくり見せる。だが、驚くべきなのは大きさではなかった。


「あ、なんかヤバイね、あれ」

「戦うしかないようだけど、それにしても……」


 「異形」、って言葉が相応しいのだろう。4本足、おそらく獣関連のモンスターのようだが前足と後ろ脚で種類が違う。

 前足は巨大犬だと思うが後ろ脚は類人猿型に思える。なにより胸部分から上が哺乳類のそれではない。ついさっきまで戦っていたモンスター、ブラッドワイバーンのものだった。頭から尻尾に至るまでちぐはぐなそのモンスターがこっちを確認した。


「またか……」


(?)


 炎山がボソッとつぶやいたのが気になったが、


「行くわよ!」

「ああ」

「はい」

「うん」


 だが、今はこいつを倒さなければならないみたいだ。


 ドアから出た時には俺達4人、そして炎山も武器を構えていた。


 ドテッ!! ドテッ!!


(なんだ? 変な走り方だな)


 ただ、相手は得体のしれないモンスターってことはよくわかる。ブラッドワイバーンのさらに上位種ならなおさらまずい。なので久々に使うがシールドを展開しつつ、斬撃を飛ばし水魔法の準備もする。


 ブレイクザウラーほどでもないが向こうも火を吐いてきた。それを向かい撃つように水面ちゃんの炎の旋風がぶつかり、続いて他の4人が接近する。


(今だ!)


 距離を掴み、水を放出、凍らせ足止めする。力が強ければすぐに逃れられてしまうかもしれないからそのまま一気に斬りかかった。花耶も炎山も同様、水面ちゃんも思いっきり拳を撃ちつける。


 ギュゥゥォォォ!!


 ブラッドワイバーンの鳴き声に近いが少し違和感のある声が上がる。でもダメージが通っているってのは分かった。


 俺の方に顔を向け、噛みつこうとしたがシールドで歯が当たるタイミングをずらす。その間にばらけながら囲った他の4人が攻撃し、あっという間に倒すことができた。


「あっ倒れた」


「意外とあっけなかったですね」


「ええ、最初はどんなモンスターかと思ったけど」


「カテゴリーも3だしブラッドワイバーンと変わらないな」



《カテゴリー3 ブラッドワイバーンを倒しました》


「え?」


 花耶が驚いたがそれは俺も同じだった。


「こうやって表示されるってことはやっぱりブラッドワイバーンなのか」


 ゲーム内の表示ではそうなっている。ただ、見た目はツッコミどころ満載だった。


「んーーー」


 水面ちゃんが昨夜見せたような渋い顔をまた見せる。


「ねえ、さっきのモンスターさ、戦いながら確認したけど確かにブラッドワイバーンなの」


「まあそう表示されたし。だけどこれをブラッドワイバーンて言うのは……」


「でもね、他のモンスターの特徴と一致する体の部分もあって例えば前足はケルベロスⅢのものだったの」


「え?」


 確かに前足は明らかにおかしかったけどワイバーン系統とケルベロス系統は全く別物だぞ。


「そんなことってあるんですかね」

「いやー私も聞いたことがないよ。この装置が狂っちゃったのかな?」


「……多分その見立ては正しいと思います」


「炎山君?」


 彼は何か複雑な思いが見えないようにしたいのか視線を下に向け、こう続けた。


「最近、この辺りに出るんです。こういったモンスターを合成したようなものが……」

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