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第三十二話 かつての力

アレはまずい…!!近づこうとした時に一斉に向けられる火器。


「リョーマさん!」


アキラちゃんが背中にそっと触れて水系統と魔法の強化をしてくれた。


「ありがとう!」


直後にガトリング砲、榴弾、小型の誘導弾どころか簡易電磁加速砲やレーザなどが一斉に放たれる。

全弾射出だ。

挨拶代わりにしてはえらい大層な攻撃だった。


間に合ってくれ。


全力で水を操り凍らせる。


俺含めた味方十数人ほどの目の前に巨大な氷の壁が出来上がる。


VR空間はどうやら現実世界よりもずっと自然との親和性が良いみたいだ。

池周辺にある水まで利用して思ったよりも分厚いカーテンとなる。


さらに周りにいる人たちがシールドを重ねてくれた。

重ねると言っても事前に打ち合わせしたわけではない。

それぞれが自分或いは隣あたりにいる人を守ろうとした結果、それらが複数の盾になった。


と言っても防壁の翼のような安心感は無い。

どんどんひびが入る、崩れる、厚さが足りない場所は弾が貫通する。

だからシールド展開も必須だった。


簡易電磁加速砲は終わり。

レーザーも尽きたか。

誘導弾は3発まで。


タイミングを見計らう。


双剣を手にしてからサブとメインをあわただしく変えなければいけなかったのでこの武器一つで戦っていたが今は竜に変える必要はない。

だから、大水霊の腕輪をサブにしておいた。

魔法は通用しないから乱入してくる敵ギルドへの対抗策として取っておくつもりだったがいきなり役に立つとは思わなかった。


この先制攻撃を受けてしまった人も何人かいるし離脱した人もいる。


でも、無事だった人も。


しかも氷の壁に守られない位置の人で。


あの人はサブの雷腕輪を利用したチャフか。ガトリングはシールドでうまく防いだみたいだ。

あっちは跳躍と速度に振り切った近接型で攻撃を察知した瞬間大きく横に移動して避けた。


池周辺に戦力を集めたということの意味が分かった。

あんな見たことが無い全弾射出を目の当たりにしても冷静に対処していた。

もちろん一つ一つの武器も凄いかもしれないがその臨機応変さに注目してしまう。



射出が終わったようだ。

ガトリング以外は再チャージが必要な物ばかり。そのガトリングもどうやら固定気味だから軌跡は読みやすい。


そのことを察知して狙いを定めたロボめがけてギルドメンバーが分散する。


「あいつを狙いましょ。」


「ああ。」


花耶が目を付けたのは水辺に最も近い相手。

テンペストが使いやすいからだ。

それに・・・


「はあ!!」


性懲りも無くガトリングで狙ってくるがそれを氷の壁で防ぐ。

水辺の方がSP効率がずっといい。


「お前さん、どうやって近づくつもりだ?」


走りながらそう尋ねてきたのは同じギルドメンバー、でかいハンマーを抱えているが俊敏に動いている。

狙うロボが同じのようだ。


「とりあえずあの池に引きずり込みます。」


なんのことだ?って顔をしたが、


「まあ何かしら考えがあるんだろ!わかった。状況を見てできそうなことがあれば俺も協力させてくれ!」


「お願いします、じゃあ僕らは回り込みます!」


「回り込むつったって、そっちは池だろ・・・えっ!!」


池を凍らせて足場を作る。

表面は凹凸を激しく、相当粗めにしておいた。


「アキラちゃん、できたら隙を見てあいつの足場を盛り上げてやって。」


「分かりました!!」


「ねえ、私にも足場作って。高い奴。」


「了解!」


彼女のやりたいことは何となくわかった。

その通りのものを作ってみる。


氷の岩を5つ、敵の周辺に向かって隆起させる。


それらを踏み台にして近づく花耶。

俺も後に続く。


ブレードが迫るがそれを立体的に避けた。

代わりに氷の岩が砕かれるがその破壊がロボット自身の反動にもなる。


狙うのはブレードや武器、ではなく巨大なロボットの体を支える脚、その接合部である赤と黒の装甲だ。

池周辺から逃げようとするが新たに足場も作りながら追い打ちをかけるように俺も斬撃を飛ばす。


そして、1本の脚の接合部が大きく欠け体勢を崩した。


グググググッ


その瞬間を見逃さないようにアキラちゃんが地面を盛り上げる。

今だけ杖に持ち替えてくれていた。

真っ直ぐ盛り上げるのではなく、池方向に低く、逆方向は高くして大きな傾斜をつける。


多脚は姿勢制御に優れているがそこがダメージを喰らってしまえば話は別だった。

立て直そうにも間に合わないし間に合わせない。


こっちも続けざまに攻撃を行う。


「そういうことか!やるな!」


そう言いながら俺達とは逆方向から接近していたさっきの男性。

彼が持っているのは加速可能な大槌。


思いっきり胴体に当ててさらにロボがグラつく。


続く攻撃にいよいよ地面から一つの足が離れ、それをきっかけに転がっていく、池の方向に向かって。

転がり際に最後の抵抗とばかりに重火器をひたすらぶっ放すがこっちが下手に動かなければ当たらない。


半身が池に浸かって再び陸に上がろうとするが遅い。


脚の第二関節、ガトリングと胴体、ブレードと腕、胴体と腹部、次々と接合部を近くにいたメンバーが狙う。

破壊というよりは解体だ。


砕かれた特殊な装甲で張り付けられていたそれぞれの武器は元の形に戻っていく。


「あそこね。」


一定距離から離れてはいけないのがこれらの武器の所有者だった。

新たに持ち替えられる前に倒そう、そう花耶を筆頭に他の人も狙いを定めた。

というか彼女はすでにスキル攻撃を放っていた。


水の弾丸を暴風でさらに加速させて彼らを倒していく。

これが合体兵器の弱点。それが壊された瞬間に大きく戦闘力が下がる。


残っている敵を仕留めるために俺も走り出す。



人影!?


咄嗟に双剣を目の前で構えて受け止める。



「ほぉ、よく防いだな。」


(重いな、この武器は・・・!)


「リョーマ!!」


「そのまま進んで!」


「させるか!」


瞬時に向きを変え、花耶達の方に対して攻撃の構えに入るが、


バシュン!!


斬撃を当てる。

この位置からなら届かないと思ったんだろう。

でもそうはいかない。


「ッ!!」


スキルを使われる前に攻撃して防いだ。

どうやら追いかけるのをやめたようだ。


「最初の攻撃、俺の相手をするんじゃないのか?」


「ここに居るお前ら全員を相手にするつもりだ。だが邪魔するならまずはお前から。」


最初の攻撃で見えた。

相対する敵が持っているのは・・・


【妖刀ー八岐大蛇ー】


俺が前に愛用していた武器だ。

その強さはよく知っている。


だから気になってしまう。

今の俺とこの双剣がどこまでやれるのか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「お前さん達、彼の加勢に入らなくていいのか!?」


「はい、大丈夫です。」


先ほど倒した合成兵器の持ち主達を倒しきり、他のまだ戦っている仲間の援護に向かいかけた時、そう尋ねられ、そう応えた。


「さっきの相手って強いんですか?」

アキラちゃんも気になっているようだ。


「顔を見たことがある。向こうのギルドの幹部級だ。あのでかいのがやられた時の保険みたいだな。だからまずいんじゃ・・・」


「いいえ、彼は「進んで」って言ったので。その言葉を信じます。」


頭を掻きながらこりゃ折れないわ、とでも言いたげ表情を浮かべる。


「じゃあ次の目標を倒しましょう。大体武器の可動範囲や位置は把握できたわ。」


そして、近くにいる巨大なロボットに狙いを定めた。

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