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第二十八話 終わらない刃

「下の方に巨大な・・・あれは・・・竜?ドラゴンが出現しました!」


「何!?」


「ドラゴンです!二つの首がある、それが攻撃目標位置に出現しました!!」


「班長、どうします!?」


「リーダーからここの防衛は預かった。何が何でも守る。あのドラゴンが何かしら良からぬ物をもたらすかもしれない、その前に攻撃する。」


「待ってください、アレは敵を攻撃しています!」


「近くにいたプレイヤーを攻撃しているだけだろう、いつ俺達が標的になるかわかったもんじゃない。」


「あっ!!」


「今度は何だ!?」


「あの・・・リーダーです、間違いありません。京極寺慧香さん、徹獅さん、それに聖慈さん、あれは人数は減っていますが一班です!一班の人達がどういうわけか、ドラゴンと一緒に・・・戦っている?」


「何!? 攻撃準備やめ!!!!」


「一体どういうことだ・・・」


「どうします?」


少し、班長が考え込む。

すると例の竜は突如として消えた。


「え?」


あのでかいのが一瞬で?ますますわからない。

だが、ならばやることはさっきと同じだ。


「味方が駆けつけた!これより敵のみを攻撃するようにしてリーダー達の援護をする。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あんなに大きいと上の人達が攻撃しにくいだろう。それにやっぱりまだ扱いにくい。

だから双剣に戻した。


突然の強襲、そして現れては消えた竜、それによって受けた損害。

敵陣営は一気に崩れ出した。


さらにすぐさま皆が後ろに続いて攻撃に入る。

花耶は相変わらず流れるような剣撃を見せる。

アキラちゃんは地面を大きく盛り上げてまとめて敵の足場の意味を無くし、そのまま接近戦に持ち込む。

水面ちゃんの方からは色彩豊かな魔法が飛び交う。


戦闘中に戦いながら他の人もサポートする、ここ最近特に身についた視点だった。

流石にまじまじと見るわけにはいかないがチラッと映る彼女達は持ち味を活かしている。


ここでの数の不利が覆されるのに時間はかからなかった。

このまま押し切れる、そう思った時、


???「リーダー!!」

誰かが京極寺さんに駆け寄りながらをそう呼ぶ。


「あなたは!?」


一瞬の混乱なのか立ち止まってしまった。


と、次の瞬間彼女を狙って二つの剣が襲い掛かった。



何回も自分がやってきた、その度に聞こえたはずなのに、その位置から離れているはずなのに、その時の音はやけに耳に残ってしまう。


時が止まったような感じ。

目を思わず見開く。


「聖、慈さん・・・、どうして・・・」


彼女を庇うように聖慈さんが立ちふさがった。

一瞬の事だから防御もシールドも間に合わなかったのだろう。

自らの体をとっさに盾にしてその攻撃を防いだ。



「チィッ!!」

反撃を入れようとするがその前に後ろに下がられてしまう。

いつものキレじゃない。


「情を見せるな、」

京極寺さんに語り掛けるように言う。


「あいつらはもう仲間じゃない。そのことは分かっただろ。」




先ほど京極寺さんを襲いかけたのは元十二班の班長だった。



大人数対抗戦では体力の回復が大きく制限される。

そうしないといつまで経っても終わらないからだ。

だから、聖慈さんのこのダメージは相当深刻だ。



「リーダー、おとなしく倒れてください。」


「あなた!!自分が何をしているかわかっているの?」


「ええ、わかっていますとも。これはあなた達の為を想ってやっているんです。」


「何を・・・」

「耳を貸すな!」

聖慈さんが攻撃を繰り出すが外れた。

ダメージはそのまま体の動かしにくさにつながっているようだ。



戦闘はまだ続いている。

だから他の敵に攻撃はする。

だが、どうしても会話が気になってしまう。


「今回の対抗戦で向こうのギルドに吸収されれば巨大なギルドの仲間入りができる。

そうすれば今よりももっと効率良く治安を守ることができる。すなわち、市を超えた新たな大きな自治体として皆を守ることができる。それが何故わからないんですか。」


「そのギルドがどういったやり方で傘下に就いた人達から搾取しているか知っているの?」


「ええ、知っていますとも。でもその代わり恩恵だってある。第一、もうあなたのギルドはやるべきことに対して人員の能力が追い付きにくくなっているじゃないですか。」


「クッ・・・!」


「ここで言い返せないということは自覚はあったんですね。」



「少し黙ってろ!!」

聖慈さんが斬りかかる。

だが、向こうの双剣にあっけなく防がれてしまった。


「あなたも大変ですね。リーダーを庇ったばかりにギルドの大きな戦力をそぐことになってしまったんですから。」


「もうお前に彼女をリーダーって呼ぶ資格は無い!!」


「遅かれ早かれまた同じギルドに所属することになりますよ。まあ待遇に差はあるでしょうが。」


「何!?」


「それにいいんですか、彼女、ガラ空きですよ。」


裏切った人物は十二班の班長だけではない。

副班長の女性もだった。俺達が進んできた道の後ろから彼女が迫る。

扱う武器は鎌状の物。

それが京極寺さんに襲い掛かる。




ガチィィィン


鈍い金属音、

とは少し違う。不思議な音が鳴った。

これがこの双剣か。やっぱり変わっているな。


「同じ手は二度も喰らわないよ。」


「八雲君!?」


「京極寺さん、逃げて!」


「あんたは?」


「始めまして、一班の新人の八雲龍馬です。」


「へーあんたが。会ったばかりで申し訳ないけれどどいてくれない?」


「それはできない。」


「あっ、そ。」


向こうが再び攻撃するために距離を取った、その瞬間俺の横を誰かが通り過ぎる。


「あれ?」


思わず驚いてしまった。


「あら、リーダー。」

「あなた達、あなた達はっ・・・!!!」


鎌と京極寺さんの剣がぶつかる。


「京極寺さん、逃げてって・・・」


「我儘言ってごめんなさい。でも、もう逃げてばかりでみんなが傷つくのは嫌なの。」


マジか。

でも多分、引いてはくれない。

なら俺がすべきことは・・・




「そういうところが甘い!!」


聖慈さんを振り切り元十二班の班長が再び京極寺さんに襲い来る。


「おっと!」


自分の右手に持つ剣を小さく、でも確実に、力を入れるべきタイミングで力を入れて振るう。

そして、斬撃が飛ぶ。

彼女を狙う刺客に向かって。


「どわっ!!!なんだこれは・・・!?」


咄嗟に防いだか。

でも微妙に当たった。



(他の皆はまだ戦っているな。)

あたりを一瞬見渡す。

拮抗しているとはいえ多少有利になった。

上からの援護射撃もある。

それに花耶達がいてくれる。


(じゃあこの人の相手は・・・俺か。)


双剣を構える。


「次のナイトはあなたですか?」


「いや、俺は冒険者だ。」


「最近入ったばかりってことですがそうまでしてこのギルドに尽くす理由はありますか?」


「家や大事な人達の帰る場所を守ってくれた。それで十分。」


「面白いですね。」


「それに・・・」


「それに?」


「敵のギルドもあんたもなんだかいけ好かない。」


「フン・・・



それはこっちも同感だ!!!」



瞬間、二人はぶつかる。


「互いに双剣使いのようだ!!でも僕は・・・この、いや、以前のギルドではトップの双剣使いだった。」


「ならちょうどいい。」


「何!?」


「そういう相手じゃないとな!!」


まだ使い慣れていないこの双剣。

どうやら試すには絶好の相手のようだ。


早いな・・・

確かに斬撃が早い。縦横無尽にこっちに迫ってくるし変化もフェイントも多彩だ。

武器の性能もあるがこれが熟練の双剣使いって言ったところか。

今は防ぐので精一杯。

それに、この双剣は・・・


バチバチバチバチ


まずい!!


すぐに距離を取る。


「良い反応だな。いきなり一班に入るだけはある。」


相手は強力な雷も纏う。

切れ味抜群、周囲に発生した雷撃も脅威だ。


そして、こっちに向けて再び迫ってくる。



(今だ!!)

地面に向けて斬撃を放つ。

砂が舞い、一瞬の目隠しになる。


隙ができた。

踏み込んで連撃を当てる。


今度は向こうが防御に回った。

再び攻撃に転じる機会を待つのだろう。




だが、その時は永遠に来させない。


まだ全身強化が続いている。これなら・・・


普通に切りかかるだけではない。

1回振るうごとに斬撃が飛ぶ。

それが何回も何回も。

ようやくイメージがこのスピードに追い付いてきた。


相手のサブは腕輪か。

剣士のオーソドックスにして上位に行けば行くほど結局これに行きつくことも珍しくない。

だが、魔法を発動する隙なんて与えない。


双剣使い同士は特に接近戦時の互いの距離が近いらしい。

だからギリギリで刃で防ぐことも多いがこの攻撃はそんな距離感などお構いなしだ。


「・・・このスキルが終われば・・・」


どうやら向こうはこの攻撃がスキルによるものだと思っているらしい。


でもなおも攻撃の手は緩めない。

相手は受身がさらにきつくなっていく。



そうして・・・


「いつまで続くんだよ!これは!!!」



「あんたが倒れるまで。」



そうして、攻撃をまだ繰り出そうと思っていた途中に相手は離脱した。

いつの間にかHPが底をついたようだ。

決め技とかで終わったわけではないからあっけなかった。


いや、向こうからしたらこの攻撃一つ一つがスキルみたいなものか。


両手に握った双剣。

最初は地味だと思っていたが、どうやらこれはとんでもない武器のようだ。改めてそう実感した。

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