第二十四話 戦場に降り注ぐ光
目的地に出現し、周りを見る。
花耶、水面ちゃん、そしてアキラちゃんも少し調子が悪そうだがしっかりと来てくれた。
第一班のメンバーもいるな、って少し安心したのも束の間。
ビーーーーーーン!!!
「うわあああ!!」
どこからともなく音がしたと思ったら続けざまに一班の一人が集中攻撃を受けて離脱してしまった。
遠距離の射撃武器による奇襲攻撃!?
方向はあっちか!!
するとさらに実弾、魔弾問わず射撃の攻撃が続けられた。
「クッソ!」
咄嗟にシールドを展開して防ぐがいつまで持つかわからない。
ここから向こうまで届く武器は今の俺には無い。
「おわっ!!」
「嘘!?」
「キャアッ!!!」
一班が次第にパニックになっていく。
最悪の流れだ。
岩場だから遠くから狙われにくいなんてことはなかった。
むしろこちらの逃げ道を狭めている地形だ。
陣形がバラバラになる、そんな予感がした時、
「皆、こっちよ。急いで!!」
「範囲防御武器がある人はあっちに向けて展開してくれ!」
京極寺兄妹がパニックになるメンバーを落ち着かせるために、そして状況を打開するために指示を出した。
指示された方に急いで移動しながらアキラちゃんに頼みごとをした。
その間にも一人、また一人と離脱していく。
「アキラちゃん、例の杖って使えるかな?」
「はい!やってみます!!」
【森羅万象の杖】
ここ最近、アキラちゃんが入手・練習した武器だ。
格闘以外に攻撃方法を持ちたかった彼女は先日のイベントで入手したアイテムを使って合成した。
これは地形変化に特化した魔法杖でその効果はVR空間で真価を発揮する。
「ではいきます!」
すると巨大な岩が地面からせりあがる。
先日のオーガの攻撃の比ではない。
まさに岩の壁が新たに作られたのだ。
とりあえず攻撃方向に対して大きな盾になった。
だが、いつ突破されるかわからないから俺達はそのまま進み続けた。
「ねえリョーマ、これって・・・」
花耶は無事だったようだ。
「ああ、こっちの出現位置が完全に読まれている。あの時、京極寺さん達が言っていたことは・・・」
「残念ながら事実のようね。」
「京極寺さん!?」
いつの間にか彼女も並走していた。
「ごめんなさい、私の作戦が筒抜けだったようね。こちらの配置を徹底的に対策されてしまったわ。おそらく他の班も・・・」
「謝ることないわ。」
「水鳥川さん?」
「こうなってしまったのはしょうがない。だから、これからどうするか考えるべきよ。」
「だな、人数は減ってしまったけれどもまだ大勢残っている。先にやられた人達の分まで無念をはらそう!」
「八雲君!」
「ははは、慰められちゃったね、慧香。」
「お兄さん!?そんなことは・・・、いえ、確かに勇気づけられました。私がしっかりしなければいけないわ。」
ーーーー敵のリーダー達の陣営ではーーーー
「ボス!何やら障害物ができたらしく、射撃部隊の攻撃は通用しません。」
「ふん、まあいい。これで相手は散り散りになっただろう。それにまだ攻撃は終わっていない。」
「それにしても、本当にあの情報通りなんてね。」
「ああ、向こうのリーダーが間抜けで助かったぜ。まずはそのリーダーを叩く。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
もうすぐ岩場から出て開けた草原に出る。
そこまで行けばまず射撃圏外になるはずだ。
「皆攻撃の準備をしておくんだ。」
「聖慈さん!?」
「聖慈?どうしたんだい?」
「これで攻撃が終わるなんて考えられにくい。向こうのリーダーはやっていることは褒められたもんじゃないが慎重な上に頭もそれなりに切れるらしい。
かつて戦って完膚なきまでに敗北した他のギルドのはぐれがそんなことを言っていた。」
マジか!?
でもあの射撃の用意周到さ。
確実にこちらを射程圏内にとらえるために編成された部隊だ。
用心しすぎることはないのは嫌でもわかってしまう。
速度+5
すぐに動けるように速度スキルバフを使っておこう。
そして、出口が見えた、その瞬間!
「慧香!危ない!!」
「え!?」
彼女の上の方から人が降ってきた。
そのまま剣で斬りつけるような姿勢で。
「させるか!!!」
速度バフを使っておいてよかった。視力補正無しでも落下スピードにある程度対応できる。
彼女の頭上に迫る敵を横からの薙ぎ払いで迎撃する。ちょうどオーガの攻撃を防ぐような感じだ。
でもオーガの腕よりもずっと軽い。
「八雲君!!」「リョーマ!!!」
「大丈夫、大将はそう簡単に落とすわけにはいかないさ。」
どうやら最後の岩場の上にて待機していたようだ。
ということは・・・こちらの動きも読まれていたんだ。
「まだ来るよ!!」
水面ちゃんがさらに降ってくる敵を確認したのと同時に魔法攻撃で対抗する。
他の人も応戦する。
このままでは消耗戦だ。
それでも倒さなくてはならない。
大水量を使うと味方も巻き込んでしまうからもっと細く、水のレーザーのようにして攻撃した。
ハルバードも振り回して戦うが障害物が多いから思ったように使えない。
こんなことならもっと小回りが利く斬撃武器をたくさん集めておくべきだった。
集中しなければならないのにどうしても後悔が出てしまう。
ここで乱戦になりながらも平原に出た。
これで少しは戦いやすくなる、なんてのは幻想だった。
出た先の平原にはこちらの倍の人数はあろうかという敵が待機している。
ここまで読んでいたのか・・・!?
「あの女がリーダーだ!」
「俺が倒す!」
「喰らえ!!」
これではっきりした。
どうやら向こうの狙いは京極寺さんのようだ。
敵は一斉に彼女に向かってきた。
「こっのおおー!!」
花耶が京極寺さんに迫る敵を倒す。
それは俺も同じだった。
敵の目的が分かれば対処もある程度できる。
もちろん、自分を攻撃してくる敵もいるからそういった連中を倒しながら守った。
でもどうしてもジリ貧になる。
少しずつこっちもダメージが蓄積する。
「皆!!私の事はいいからっ!ここから逃げて!!」
「そんなこと、はあ!、できるわけ、ないでしょ!」
「こんなところで京極寺さんを、ッ、守れなきゃ、他の人に顔向けできない!」
彼女は何か言いたげだったが、そんなことを言っていられる余裕はない。
次から次に来る攻撃をしのぎながら倒すことを優先した。
「あっ!ダメ!!」
花耶が叫んだ!!
どうやら二人相手にしていたが一人が猛攻で彼女の注意を奪った隙にもう一人が京極寺さんに向かっていったようだ。
今、京極寺さんは他の敵を相手にしている。
それも向かってくるもう一方に対して背を向けながら。
しょうがない、一時的に武器は失うが確実に届かせ当てるためだ。
【ブランボルスアトラトル】
その刺客に狙いを定め一直線に投擲する。
蔓が伸び、対象を捕え、そのまま突き刺さって倒れた。
すぐに大水霊の腕輪をメイン武器に変更する。
すると、
〈アイテムを獲得しました。シークレット枠武器です。〉
ここでアナウンス!?
そういえば大規模な戦闘だと敵を倒した時にドロップすることがあるって・・・
シークレット枠武器は確か開封して中身を確認するんだったか。
本来は戦闘が終わった後に確認するべきなのだろう。
でも、このままでは遅かれ早かれ最悪は・・・
それに、なぜかこれをここで開けたくなってしまった。
京極寺さんではなく俺達を倒そうとする敵もいる。
水の収束魔法射出でそちらに対抗しながらシークレットの中身を空ける。
〈シークレット枠を開封しました。消費するアイテム10個及びガイアを選択してください。〉
【契約武器】かよ!?
契約武器は武器を手に入れる前に何かしらコストを支払うことで形・結果の定まっていない武器の卵が消費したコストに相応しい武器となる。
コスト次第じゃとんでもない武器になるがそこらへんのアイテムを使おうものなら戦力は期待できない。
しかも、何々を消費したから確実に強い武器が出るってわけではなくランダム性もある。
(クッソ!!)
敵の攻撃を防ぎながら一気に距離を取る。
アイテムボックスはすぐ取り出せるがあそこのアイテムじゃだめだ。
少し手間がかかるが仕方がない。
ガイアは上限いっぱいまで使ってやる。
そして、アイテムはこれまでに手にしてきたレアな物を手当たり次第に選択する。
これもいい!どっちみち合成先の武器なんて使わないんだ。
これも結局、倉庫番になっている。
前に壊れてそのままの八岐大蛇の破片も!
・・・
そうやって急いで選択を済ませる。
そして、10個目。【神域の花瓶】を最後の枠にしてコスト決定。
〈契約が完了しました。サブ武器として装備します。〉
〈契約結果は・・・〉
〈・・・〉
〈・・・〉
〈【機殲双竜アークアナイラレーター】〉
なんだそれは!?聞いたことが無い・・・
すると、先ほど空中に浮かんでいた光った水のようにうねうねしていた【契約武器】が形を変える。
でも、予想していなかった変化だ。
敵味方問わず、それどころか気づいた観客も目を奪われてしまう。
どんどん大きくなっていくそれは、
モンスター?
定まらぬ形はやがて固定されていき、その姿を見せた。圧倒的な存在感を放ちながら。
銀白色の鎧のような装甲が全身を覆い、太古の昔を生きた肉食恐竜を彷彿とさせる力強い足、腕は木々を切り裂きそうな爪と重厚感がある。
天を隠してしまうと錯覚させるような翼と叩きつけたら地面が震えそうな尾。
装甲の合間からは不規則に青や緑、オレンジの点滅が流れている。
高さは建造物4、5階分になるだろうか。
赤い目をした二つの長めの首を持ったお伽噺に出てくるような、でも機械的な竜。
それが俺の真後ろに出現したんだ。
「おいおい対抗戦にモンスターが出るのかよ!?」
「あんなの見たことねーよ。」
「なんていうか、まずいぞアレは!」
敵も動揺している。
でも信じられないことにその竜の攻撃方法が選択できてしまうようだ。
俺の武器として。
自分でもそうしたかったのか無意識なのかはわからないがスキルを使った。
今使わなければならない気がした。
武器スキル【ブレーザーレイ】
するとロックオン画面が自分の脳内に浮かぶ。
ロックオン[最大50]?
よくわからないが最大数分マルチロックする。
するとその竜は飛び上がり地面に向けて二つの口から光を放つ。
さっきロックオン画面にて選択できたのは全員相手のギルドのメンバーだった。
太い光はすぐさま枝分かれし、標的めがけて地面に降り注いだ。
「わあああああ!!」
「なんだよあれ!」
「こっちくんな、ぎゃあ!!」
「いやあああ!」
そして、相手の悲鳴が上がる。
でもその声をかき消すかの如く、武器スキルを使い終わった双頭の機械竜が起動音なのかそれとも咆哮なのか、いずれにせよ大きな音を発した。
まるで自分がこの世に誕生したことを世界に知らしめるように戦場に響き渡る。
【機殲双竜アークアナイラレーター】
特殊区分:契約武器
形状:大型召喚獣(サブ形態)
スキル
・ブレーザーレイ 残り2回
・防壁の翼 残り4回
入手条件:不明
合成・入手難易度:不明(未確認のため)




