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合格発表。


卒業式の翌日、ネットで先に検索しようと言うパパを押切り、玲と一緒に合否の確認に行きました。今日は自転車ではなく電車を利用しての移動です。途中の駅で香織と莉那とも合流予定。2人とは約半年ぶりの再会です。色んな意味で胸が高鳴りました。流れる景色を見ながら2人の待つ駅に着くのを今か、今かと待っていると、隣に座った玲が受験票を握り締めブツブツと呟いています。


「玲、何してるの?」


「ん、受験番号の暗記。すぐに見付けられるように。つぶちゃんは暗記しないの?」


「うん、私は大丈夫。」


『次は岩田駅~。岩田駅。』


車内アナウンスを聞いて隣に座る玲に尋ねた。


「ねぇ、玲。岩田駅ってさ、莉那と香織が乗る駅だよね?」


「うん、そうだね。ここで2人も乗ってくるはずだよ。」


「どこだろう?」


居てもたっても居られず座席から身を乗りだしプラットホームを覗き込む。たくさんの人、人、人。


「つぶちゃん、落ち着いて。岸本と飯村には最終車両に乗ってるって伝えてあるから。」


電車が岩田駅で止まり乗降客を乗り降りさせると次の駅へ向けて何事もなかったように走り出す。暫く経って前の車輌の連結扉が開き見知った顔の女の子が2人やって来た。


「香織、莉那、こっち。」


「あ~っ、まどか久し振り~。」


慌てて声を掛けるとふたりが気づいて駆け寄って来て、空いている4人がけボックス席の前の座席に座り込んだ。


「まどかぁ、元気だった?会いたかったよ~。」


「うん、私も香織と莉那にすごく会いたかった~。」


「僕は塾でいつも会ってる。」


「吉井に言ってないわよ!」


玲の一言に莉那が反応して玲の見ていた受験票を取り上げた。


「うわぁ、何するんだよ。」


「こんなの見てないで4人の再会を喜びなさいよ。」


「そうだけどさ、合格あっての4人の再結成じゃないか。」


「まぁ、そうだけど。私はたぶんみんな受かってると思うよ。それぞれ頑張ってきたと思うし。それにね、すごいの持ってきたんだ。」


そう言うと、莉那はリュックからゴソゴソとお菓子の袋を取り出し、イタズラっぽく笑いながらパッケージをみんなに見せた。


「これだよ。これ。ウカール。みんなで食べない?」


そう言うとパリッと袋を破りみんなの方に差し出した。


「こんなのあるんだ。すごいなぁ。」


玲がまじまじとパッケージを確認してから袋に手を入れ、お菓子を掴み取り口いっぱいに頬張った。それを見て私と香織と莉那の3人もお菓子を頬張り笑い合う。


「最後のおまじない。」


莉那がそう言うと、香織がもじもじとリュックから何かを取り出す。


「あのね、私も持ってきたの。きっと勝つでキットカット。」


「えーっ!すごいじゃん!!!アハハハッ。」


香織以外の3人の声がハモるように揃う。


「シッ。ここ電車の中だから。」


周りを気遣うように見渡し、人差し指を唇に当てる香織。そのしぐさでみんなが静まるのを待ってから香織が箱から出した包み紙を広げ、中のチョコレートをパキパキと4つに分け「はい」とみんなに配った。


「ウチら、無敵だね。」


莉那の言葉に無言で頷く。やがて電車は緑が丘高校の傍の緑が丘駅に辿り着いた。プシューっという音と共に車外に吐き出される。プラットホームには沢山の学生。きっとみんな合格発表を見に来たのだろう。私達は緑が丘高校へ続く緩やかな坂道を1列になって登って行った。校門をくぐると昇降口の前に大きな掲示板。


「行こうか。」


「うん。」


私達4人はそれぞれ受験票を握り締め、目の前の掲示板を確認した。私の番号は325。言い様のない緊張で体が萎縮する。怖くて怖くて全然関係ない遠い番号から確認していく。ポロポロと欠けている数字を見て余計に不安が募る。300番台へ。


319

323

324

325


自分の番号を見つけたとき、時間が止まったように動けなくなった。


「つぶちゃん、どうだった?」


不安げな玲の声で我に返る。


「あ、あった。みんなは?」


「あったよ!」


「うわぁぁぁ。やったぁ!嬉しい!!!」


みんなで互いの受験票を見せ合いながら合格を確認し合う。間違いなく4人とも合格していた。


「どっかに寄ってみんなで祝勝会しようよ!」


莉那が嬉々として言う。


「そうだね。でもその前に家に連絡しなきゃ。」


それぞれ持ってきていたスマートフォンで自宅に電話をかけた。


『もしもし』


一度のコールで電話が繋がる。パパの声だ。きっとヤキモキして待っていたのだろう。


『パパ?受かったよ。』


『おーっ、そうか。よかったぁ。ママ、まどか受かったって』


少しの間があってママに代わる。


『良かったわね、おめでとう。』


『ありがとう。あのね、これからお友達とちょっと寄り道してから帰る。』


『そう。行ってらっしゃい。楽しんできなさいね。』


『うん。』


電話を切ってみんなの連絡が終わるのを待つ。


「じゃぁ、行こっか。マックでいい?」


「いいよ。」


莉那を先頭に駅前のマックへ向かう。それぞれカウンターで注文をしてテーブルへ。ほとんど来たことがない私は若干戸惑ってしまう。


「まどか、こっちだよ。」


香織の声で誘導されテーブルへ向かう。椅子に座ってみんなの顔を見て私は言った。


「私、こういうの初めて。」


「嘘。マック来たことないの?」


「そうじゃなくてお友達とこういうのしたのが初めてなの。」


「そうなんだぁ。」


莉那と香織の驚きように恥ずかしくなって俯いた。


「つぶちゃんは、読書と本を書くのに一生懸命だったから。」


「そっか。じゃぁ、これから沢山こういうことしよう。」


玲の説明を聞いて納得したように莉那が言う。


「じゃぁ、まずは合格を祝って乾杯だね、乾杯!!」


それぞれがカップの飲み物を掲げ互いにぶつけ合い、笑った。


「緑が丘高校ってさ、制服がとっても可愛いんだよね。」


「ブレザーね、チェックスカートにあのリボン。今まで棒タイだったからさ、あれは憧れるよねぇ。まどかとかさ、似合いそうじゃん。」


「莉那と香織も似合うと思うよ。私もあの制服着れるのは嬉しいな。ちょっと大人になった気分。」


「だよね~!」


2人の声が楽しげにハモり、自分達がしている女子な会話にくすぐったくて嬉しい気持ちになった。


「ところでさ、春休みはみんなどう過ごすの?」


ポテトをパクパク食べていた玲が食べながら言う。春休み。全然何も考えてなかった。思えば私はまだ中川さんにお友達と連絡を取っていいという許可を貰っていない。突然心の中を不安が襲う。とっさに


「私は、次の小説考えてみようかな。」


と口に出していた。


「そっか、そうだよね。まどかは小説の事も考えないといけないもんね。」


香織がニコニコと言う。


「頑張ってね、じゃぁ、春休みはそれぞれ楽しんで新学期からみんなで楽しくやろうね!」


「そうだね。」


莉那の提案で私達は新学期までそれぞれの時間を過ごすことにする。楽しい時間はあっという間に過ぎ、じゃあねと岩田駅でふたりと別れた。玲は帰りの電車で寝てしまい私は起こさないように静かに過ごす。降りる駅に着いたので玲を揺り起こした。


「着いたよ。」


「えっ、あっ、ありがとう。つぶちゃん」


電車を降り並んで歩く。


「4月からが楽しみだね。」


嬉しそうに玲が言うのでつられて嬉しくなる。


「そうだね。」


「春休みは小説頑張ってね。じゃあまたね。」


「うん、またね。」


そう言って私達はお互いの家に帰った。


「ただいま。」


そう言って家の玄関を開けると「おかえり~!」っとパパとママが迎えてくれた。リビングには美味しい香りが充満していて私はとても幸せな気持ちになった。


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