第4話 鴉の気苦労
神の世界、ファトゥールは神としての雑務を終えた所だった…
「え〜と…神託も済んで、今月最後の恩寵の付与もやったし…よぉし!
ようやくちょっと遊べるし、アイツの様子見に行こうかな…」
「クアァァッ!カァッ!」
「お?カルシノク?カラス語出てるって、どうした慌てて。」
「クァ…!
コホン…失礼致しました、ですがファトゥール様…!煌矢様への説明が殆ど不足しているではありませんか…!」
「後でやるつもりだったの〜忙しいし仕方無いじゃない?」
のらりくらりとファトゥールは答える。
「多忙なのは承知していますが、権限の付与すら行われていないとは一体どういう事なのですか!?」
「彼に会ってみて、何も感じなかった?」
「…と、言いますと?」
「彼は野良神よ」
カルシノクはそれを聞き、半信半疑という様子だ。
「野良神ですか…」
「そ、名前くらいは聞いたことあるでしょう?」
「ええ…神々が創造した生物の設計図に当てはまらぬ存在であり…神々と同様、世界の理を司る側の存在…」
ファトゥールは普段の賑やかさが消え、荘厳なる神々としての顔をしている。
「恐らく、追放され神格を失った者が魔力のない文明に遺した置き土産でしょう」
「煌矢様も何かを司る力を持っているとお考えで?」
「…未知数としか言い様が無いわ。もし能力が発現したとしても、制御は不可能…」
「…ならば何故彼を神々の一員として迎えるのですか?」
それを聞かれたファトゥールは気まずそうに俯く。
「…そうね、真実の女神に隠し事なんて似合わないわね」
覚悟した様に顔を上げてその真実を口に出す。
「その…あまりにも…か、顔が好みだったから…つい…ね?」
「……クァ?」
「な、何よ!他の奴らはわざわざ人間の世界に直接降りて攫って侍らせる様な奴もいるのよ!?それに比べれば、漂流してた彼を保護して神格としてのチャンスまで与える私は人に寄り添う素晴らしい女神だと思わない!?」
ファトゥールは早口になって自身の事を棚に上げる。
「はい…しかし、私が見習いの頃にファトゥール様はこう言った筈です。
迷える魂は冥界に送るべきだと…」
「うぬぬ…頼むからこの事は言わないでよ〜」
「…今後はこの様な暴挙は起こさない事を祈っております。」
半ば諦めたようにカルシノクは言う。
「ありがとぉ!流石私の眷属だ!」
「…そうでした!煌矢様を待たせてしまっています」
「あぁ待って待って、私も丁度仕事に一段落したからちょっとついてくよ。」
「かしこまりました」
続




