脅威は去って
休憩した後は、恒例になってしまったお風呂タイム。穴の空いた服も洗濯機に放り込み、お風呂場へ。
体を流しつつ、突かれた部分を丁寧に確認する。傷どころか跡すら無いつるつるのお肌。内臓の損傷が恐いけれど、肌だけでもこんなに綺麗に元通りになっているし、たぶん内臓も大丈夫なんだろう、と自分を納得させる。
お湯につかり、なびく髪の毛を指でもてあそびながら、ぼーっと考える。この世界の人はみんなこうなのだろうか、と。
いやいや…… と首を振る。あのイノシシの驚いた顔を見るに、そんなことはないだろう。少なくとも普通の生物はそんなことはないはず。人だけが特殊という可能性も無くは無いけれど、そればっかりは人に会ってみないとわからない。
だいたいこの体は神様が授けてくれたもの。あの食い意地の張った…… げふんげふん、食べることが大好きそうな神様のことだから、せっかく召喚した人が簡単に死んでは大損だと大幅強化しているだけかもしれない。この体も見た目に似合わず体力はあるみたいだし。
人里に行けばわかるか~ と結論づけて、目をつぶってリラックス。
そんな風にのんびりしていると、遠くからピピピ……とタイマーが鳴る音。それを聞いたスーちゃんにほっぺをつんつんされる。あぁ…… そろそろ時間かぁ……
名残惜しいけれど、神域にいられる時間は決まっている。なのであらかじめ台所に行き、30分のタイマーを設定していたのだけれど、さすがに短くて欲求不満。この髪、長いから洗うのに時間が掛かるんだよね…… だからといってこんな綺麗な髪を切るのはもったいないし。こんどはタイマーをもう少し長くしておこうかな。
時間を教えてくれてありがとね、と撫でると気持ちよさそうに揺れるスーちゃん。
そんなスーちゃんを抱きかかえお風呂を出る。体を拭こうとスーちゃんを下ろし、タオルを取ろうとする。と、スーちゃんに足下をつんつんされた。
なーに? とスーちゃんを見ると、いつも掃除してくれている感じで体に取り付き、足から順に腰、胸と上ってくる。動くときの感触がくすぐったい。
愛情表現? くすぐったいよぉ。と肩まで上ってきたスーちゃんをつんつん。なんだか自慢げなスーちゃん。どうしたのかなと体を見ると、そこにあったのはお風呂上がりにもかかわらず、水滴一つ無いさらさらな肌。水気を吸い取りながら上ってくれたみたいだ。
ありがとねーとスーちゃんを捕まえて頬ずりすりすり。まんざらでもなさそうに、ぷるぷる揺れている。
そうだ! と髪の水気取りもスーちゃんにお願いする。するとあら不思議、スーちゃんが通っただけで水気を吸っていた重い髪があっという間にさらさらヘアーに! スーちゃんすごい! これは一家に一スーちゃんと言わず、 一人に一スーちゃん必要だね!
頬ずりしてかわいがっていると、ぴしぴしと弱い打撃。照れるな照れるな! とすりすりしていると、スーちゃんの突起が壁に向けてぴしっと伸びている。その指さす先を見ると時計。この時計は一見普通に見えるが、入ってからの時間を表している便利な時計だ。
それをみると、もう45分…… ってもう15分たってる!
あまり長居すると夜寝るときに時間制限で入れなくなってしまう。
急いで下着を身につけ…… もちろんブラも付けたよ? 新しいワンピースを羽織って外に出るのだった。
お風呂ですっきりしたので昼食タイム。
いつものように机と椅子を出し、冷ぶっかけを二つにじゃが天を召喚。さすがにあんなことがあった直後では、試行錯誤する元気は無いよ……
ぞぞーと食べてお片付け。そして祭壇を呼び出して、無事ピンチを脱出できたことに感謝しながら捧げ物。
……2日目にして3回も捧げ物しているけれど、他にも捧げ物してくれる人はいるだろうし、週に1回とか間隔開けるべきかな?
そんなことを考えていると、背筋に冷たいものが。慌てて振り返るも、そこには何も無い。これはつまり。
とりあえず毎日捧げ物しようかな、と考えると悪寒は止まった。やれやれ、食い意地…… じゃない、食べるのが好きな神様だぜ。
でも確かにまだ3回目。最初にはまってしまったとするならば、まだまだ食べたい期間かも。元の世界には一日に何件も行くくらいにはまる人だっていたんだし。
もう少しの間は頻繁にお供えしよう。そう誓いながら祭壇を片付けた。
さて、まだ太陽は真上で明るい。ちょっと蒸し暑くはあるけれど、昨日もそうだったしそれは仕方ない。今日も散策としゃれ込もう。
ふと思いつき、手近な木の枝を手折り、地面に突き立てる。せっかく神様がいるのだから、散策する方向を神様に聞いてみるのも良いかもしれない。
手を離すと、倒れたのは太陽とは反対の方向。ここが地球で言う北半球ならば、北の方向、といったところか。
さっそく太陽に背を向け、散策を始めることにした。
次回は7/4の20時過ぎ予定




