王子と結ばれるのは私ではありませんわ!
(とは言いましても、学年も違いますし、接点なども早々作れませんわ……)
ローゼリアは悩んでいた。ラスティとアイレリアを合わせるだけならば自分が紹介すればいいだけ。しかし、乙女ゲー脳のローゼリアはそんなことは許せない。
(絶っっっ対に運命的な出会いをさせて見せますわ……!)
今までプレイしてきた乙女ゲームのスチルが脳内を駆け巡る。
不敵な笑みを浮かべると、隣にいたアイレリアに腕を小突かれた。
「ローゼリア!ローゼリア・アレクシュタイン!」
「はいっ!」
「君の晩だ。魔法力を見る。現時点でできる最大魔法を見せなさい」
そういえば授業中ということを忘れていた。理想の悪役令嬢を目指す身としては授業もおろそかにしてはならない。ローゼリアは頬を叩くと凛々しく立ち上がった。
両手を広げ、集中し、魔力を籠める。両手の間に小さな水の球が現れ、それはすぐさまクラスメイト全員を包むほどの大きな水疱となった。
「もういい、わかった!君の魔法力はA+だ。下がってよい」
そう告げられると、クラスメイトから歓声が上がる。
「さすがローゼリア様ですわ。最初からあのような巨大な水疱を瞬時に作り上げるなんて」
「魔力量もおそらくけた違いなのでしょうね。王室の未来も明るいわ」
次々とかけられる賞賛の嵐に、ローゼリアは鼻高々で列へ戻っていく。
(まぁ、ラスティさまと結ばれるのはアイレリア様ですけれども)
悦に入っていると、ローゼリアとは違う歓声が上がった。
「え、なにあれ……」
「誰よ、無能な庶民なんか入れたのは」
クラスが騒めきに包まれる。ローゼリアは現実に戻ると検査台を見る。そこには必要以上に力むアイレリアの姿があった。
「むむむ、出でよ光の玉……!」
小刻みに震え、脂汗をかいている。クラスメイトの視線が集中する中、アイレリアは懸命に力を籠める。する。しかしアイレリアの手からは昨日ローゼリアに見せた光の球は出ていなかった。
「もうよい、アイレリア・バーンスタイン。下がってよい」
教官が呆れた方に言い放つと、アイレリアは落ち込んだ様子でローゼリアの元に戻ってきた。
「どうしたの、緊張でもなさって?」
「なんか、わからないんですけど、頑張ろうと思うと出せなくて……」
落ち込むアイレリアにかける言葉が見つからなかった。
ローゼリアはずっと理想の悪役令嬢を目指して研鑽を積んでいた。たとえ挫折しようとも、理想の悪役令嬢になるという強い思いがローゼリアを突き動かしていた。
「アイレリア様……」
「力が出ないのはきっとお腹が減っているせいですわ!よし、授業が終わったら早パンにしましょう」
なんとまぁ変わり身の早い……ローゼリアは呆れつつも、アイレリアに感服せざるを得なかった。
その後、剣術の授業でも検査を受け、ローゼリアは魔術同様A+の判定を受け、アイレリアは剣すら持ったことない様子で、判定外となった。




