↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
50/64

第二王子アランジール様……ちょっと謎過ぎませんか!?

 町はずれの喫茶店に入ると、二階の個室に通される。

 秘密の話し合いの場にしては窓もあり、テーブルの上にはアフタヌーンティーのセットが並ぶ。

 リーゼルト、リンデール、アンベルは当たり前のように茶会を楽しみ、エンデとローゼリアは茫然としていた。


 (な、なんでこんな状況で優雅にされてらっしゃるのかしら……)


「……ところで、エンディミオン様は何故こんな状況に戻ってこられたのですか?」

「はっ……?国の危機だと聞き、リンデール嬢に帰国を迫られたからですが」

「リーゼルト様が国外逃亡をしているこの状況で?」

「兄上はただの外遊だと……」

「そうだぞアンベル。私は国がこんなひどい状況だと知らずにただ外遊に出たのだ。逃亡じゃない!」


 頬を膨らませ、リーゼルトは紅茶を一口飲むと満面の笑みを浮かべた。


「やはり紅茶はサイディリアが一番だな」

「……リーゼルト様、あなたは今反王政派に見つかったら真っ先に抹殺されますよ」

「えっ!?なんで私が殺されなければならないんだ、答えろアンベル!」

「あなたが第一王子だからです。それに、国王に一番似ていらっしゃる。私は国王の教育係も務めておりましたが、幼少期からリーゼルト様に顔も言動もそっくりでございます」


 アンベルはスコーンを一口齧ると、淡々と述べる。

 その様子を見て、リーゼルトは慌ててスコーンを何個も口に入れ、アンベルに頭を叩かれた。


「……、アンベル様は、この国の正確な状況をご存じなのですか」

「アンベル、で構いませんよ。ローゼリア様。ええ、内部に潜伏している者がおりますので」

「潜伏……?」

「今は表向き、城内での勤めを辞めたことになっておりますが、私はその裏で、城下の動きを探る密偵として密命を受けていたのです。そのため、城内にも王の密命を受けた密偵がおりまして、謀反が起こった後、その者から情報を得ていたのです」


 リーゼルトのカップに紅茶を注ぐ姿は、普通の上級執事でしかなかったが、ふと手元にあるカップに視線を落とすと、紅茶はまるで一口も口をつけていないように、熱々のまま満杯に注がれていた。


 (な、何者なんですのこの方……!)


「で、お前が得ている正確な情報とはなんだ」

「リーゼルト様たちはどのような情報をご存じですか」

「父上が母上に構ってほしくて仮病を使い寝込んでいるふりをして、その代わりに叔父上が執政した結果、厳しすぎて兵士が叔父上を捕らえて、父上を閉じ込めていると」


 アンベルはスコーンで汚れたリーゼルトの口元をナプキンでふき取ると、耳元で囁いた。


「その通りでございます」


 その吐息にリーゼルトは驚き椅子から転げ落ちた。


「正確には、話の前半部としては、ですが」


 (……前半部……?)


「最初はただの愚かな謀反でした。兵たちも本気で王に歯向かうつもりはありませんでした。ちょっとハンドレット公爵に怒りをぶつけたかっただけ……しかし、それに乗じて本物の謀反を企てた者がいたのです」

「……誰だ、それは」


 リーゼルトが真剣に問うと、アンベルは紅茶にミルクを足し、スプーンでかき混ぜる。


「アランジール第二王子様……リーゼルト様の弟君、そして、エンディミオン様の兄君でございます」


 (エンデのお兄様……!?)


「アランジールが!?何故あいつが」

「さぁ……真意のほどはわかりませんが、アランジール様は昔から繊細なお方……何かご両親に思う所があったのかもしれません」


 たくらむように笑うと、アンベルはリーゼルトを見る。

 珍しく真剣な表情をして、リーゼルトは俯く。


「アランジール……って、誰でしたっけ」


 エンデの爆弾発言に、皆一斉に視線を向ける。


「お前……!兄上のことを忘れたのか!」

「いや、一応存在は知っていますが、あの人、ほとんど引きこもっていましたし、それに私は8歳で国を出たので、兄上よりもアランジール兄様の記憶などないに等しいです」

「何!?もう一度言ってくれ!リーゼルト兄様と!」

「あなたのことは兄様などと呼んでおりません」


 (……確かに、エンデが我が家に来たのは幼い頃……もしアランジール様が引きこもりだとしたら、記憶にないのも頷けますわ)


「……というか、引きこもるような方が……謀反を企てたのですか?」


 ローゼリアの一言に、一斉に騒ぎが止む。


「確かに。アランジールは大人しい奴だぞ。食事も部屋に運ばせるくらい部屋から出ない」

「家臣たちにも王子として認識されていないので、廊下をアランジール様が歩いていても、誰も気づいていないこともございます」

「なんならしばらく城からいなくてもだれも気づいていないぞ」


 (……それって、逆にどうなんですの……)


 アランジールの正体がつかめず、ローゼリアは理解することを放棄した。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。