吾輩は猫である。だされる。
さて、話を戻そう。
我輩はいまだにこの長靴の中である。
……うむ。
犬に振り回されたが、奇跡的に生きている。
しかし状況は変わらない。
みにょ〜んパコ。
抜けない。
最悪である。
その時である。
ガチャ。
扉が開いた。
コツ。
コツ。
コツ。
足音。
この足音――
ご主人である。
天の声
「帰ってきたね」
今それ言うな。
足音が近づく。
そして。
我輩の目の前に
人間の足が現れた。
ご主人。
長靴を見る。
そして
我輩を見る。
なぜなら
つま先から我輩の顔が出ているからである。
沈黙。
ご主人
「……」
我輩
「……」
天の声
「目合ったね」
やめろ。
その実況やめろ。
ご主人
「……おまえ、なにしてんの?」
我輩
「ぐるなーご」
ご主人、
長靴を持ち上げる。
我輩、ぶら下がる。
ぷらん。
ぷらん。
ご主人
「……ぶほっ!」
我輩
「……」
天の声
「猫の王」
我輩
「……泣いていい?」
ご主人、
長靴を逆さにする。
世界が回る。
「ぎにゃああああああ!?」
そして
ブンッ!!
振った。
ブンッ!!
ブンッ!!
「やめろぉぉぉ!!」
「三半規管がぁぁぁ!!」
天の声
「シェイクされてるね」
黙れ。
さらに振る。
ブンブンブン。
我輩
みにょ〜んパコ。
みにょ〜んパコ。
みにょ〜んパコ。
抜けない。
ご主人
「……」
そして一言。
「ちょっと外で反省しようか」
やめて。
その判断やめて。
「にゃああああああっ!!」
こうして我輩は
春先の庭に放置される。
みにょ〜んパコ。
抜けない。
おわり。
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