吾輩は猫である。いぬきた。
さて、話を戻そう。
我輩はいまだにこの長靴の中である。
……うむ。
少し冷静になって考えてみよう。
まず、状況を整理する。
一、我輩は猫である。
二、長靴の中にいる。
三、出られない。
……うむ。
最悪である。
いやしかし、猫とは本来、狭い場所を好む生き物。
これはむしろ――
猫としての本能的選択!
とも言えるのではないか。
そう、つまりこれは失敗ではない。
戦略的休憩だ。
うむ、そういうことにしておこう。
さて――
ん?
……なんだ?
この振動は。
ドドドドドド……
……地面が揺れておる。
おい。
ちょっと待て。
この振動……
ドドドドドドドドドド!!
荒い息。
重い足音。
そして……
ワンッ!!!
「来たぁぁぁぁぁぁ!!」
犬である。
しかも――
でかいやつ!!
ワンワンワンワン!!
我輩、今まさに――
完全防御形態。
——なお、破けたつま先から顔は出ている。
しかし問題がある。
動けない。
全然動けない。
みにょ〜んパコ。
みにょ〜んパコ。
みにょ〜んパコ。
「進まん!!」
長靴ごと、ぴょこぴょこ動くだけである。
犬の鼻が近づく。
フンフンフン……
ちょっ! ぉま! どこ嗅いでる!!
……ちょっと待て。
今の我輩、犬から見たら
動く長靴ではないか?
……謎生物?
天の声。
「うん、そう見える」
やめて?
その客観的評価やめて?
犬。
ワンッ!!
ドンッ!!
にゃはぁあーーん!?
鼻で押された。
長靴ごと転がる。
ゴロン。
ゴロン。
ゴロン。
やめろ! さ、三半規管が、三半規管がぁぁぁ!!
犬。
フンフンフン……
長靴を嗅いでいる。
……うむ。
どうやら、我輩は今、
謎の生き物。
として認識されているらしい。
天の声。
「未知の生物」
やめろ。
それ以上の分類はやめろ。
犬。
カプッ。
「にゃほぉぉぉぉ!?」
噛んだ!!
長靴を!!
やめろぉぉ!!
それ我輩の家だから!!
犬、ぶんぶん振る。
ブンッ
ブンッ
ブンッ
世界が回るぅぅぅ!!
天の声。
「 やっぱり新 種 誕 生 」
違う!!
今それどころじゃない!!
犬、ふと止まる。
そして。
ポイッ。
長靴を投げた。
ズサァァ。
……静寂。
……。
……。
「ぐふぅ」……生きておるか?
我輩……
生きておるか?
天の声。
「たぶん」
雑!!
その判定、雑!!
……ふむ。
しかし、今ので理解した。
この長靴。
危険である。
我輩は、今この瞬間をもって――
長靴生活をやめる!!
そう決意し、全力で体をねじる。
みにょ〜んパコ。
……。
……。
抜けない。
「にゃ(誰か)ぁぁぁぁぁ!!」
おわり。
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