9話
「もたもたしてねーで、さっさと歩けよ〜。」
「うわっ...!」
ルイの右後方を歩いているバンに蹴られ、緩めていた足を少し速くする。
どのタイミングで逃げようか...と考えていたら自然と足が遅くなっていたみたいだ。
そしてそれを見逃してくれるほど甘くない2人が後ろにいる。
さっきの広場から移動する時にどこから出してきたのか縄で手を後ろに組まされ、しっかりと縛られてしまった。
そしてルイが先頭を歩かされ、その少し後ろをメイとバンが左右に分かれて付いてきている。
今はさっきいたところからさらに森の奥・・・
壁へ向かって歩かされている。
広場から森の奥に進むにつれて妙な静けさが襲ってくる。
ルイたちの秘密基地は森の中だったが、まだまだ森の手前だったのだ。
しかし今向かっているのは森の奥。
暗闇に目は慣れてきたが、この森の奥は先の見えない真っ暗な地獄に続いているような気さえする...
———
どうにかして、隙をついて逃げ出せないか。
さっきからずっと機会をうかがっているものの、メイとバンの気がルイから逸れることはなかった。
しばらくの沈黙の後——
神経を尖らせながら先頭を歩いているルイに、バンが話しかけてきた。
「・・・いいこと教えてやるよ〜。俺とメイはお前が今から行くところ...『壁の向こう側』出身なんだよ〜」
「バン!」
「いいじゃねーか、今からこいつが行くとこなんだから〜。親切心だろ〜?」
「はぁ・・・お前のことは勝手にしろよ。でも俺のことまでベラベラ喋んじゃねー。」
「わり〜。これからは気をつける〜」
バンが勝手に2人の出身をバラしたことを少し揉めていたが、最終的にはメイが呆れたような諦めたような形となった。
2人の言い合いを聞きながら、ルイは心の中で怯えていた。
それを後ろの2人に悟られないようにふっ・・・と息を吐く。
この2人は『壁の向こう側』出身だと言った。
教会で聞かされていた
壁の向こう側にある『スラム』
本当にあるとは思っていなかった。
大人たちが子供を怖がらせるための作り話だと思っていたのだ。
(・・・ほんとにそこに捨てられるのかなっ・・・)
怖い・・・誰か助けてっ・・・
心の中でルイがどれだけ助けを呼んでも、それが叶うことはなかった。
————
「止まれ。」
いつまで歩くのか先の見えない森を進んでしばらくたった頃、森を抜けたと思ったら突如目の前に巨大な壁が現れた。
ルイが届かないのはもちろんのこと、大きな大人でも到底乗り越えられそうにない高い、高い
壁。
(・・・・・・これが壁・・・・・・)
目の前に見えるその壁の高さに、言い知れない絶望感が溢れ出してくる。
……ッ......ッ......
「なに〜プルプル震えてんじゃん〜」
(止まれっ!震えるなっ・・・!)
体の震えを止めようと思っても止められない。
隣でバンがニヤニヤしながらルイのことを見ているのを感じる。
さらにその横からメイが壁に向かって歩き始めた。
壁に向かっていくメイの背中を見つめる。
壁にある何かを探しながら触っているようだ。
そして——
『ガコンッ・・・』
「えっ・・・」
メイが壁を触っていたと思ったら、壁の1番下に細身の大人がギリギリ1人通れるか通れないかくらいの大きさの穴が現れたのだ。
最後まで読んでくださってありがとうございます✨
感想・レビュー・お気に入り登録、
めちゃくちゃ励みになります!
それでは、また次の話でお会いしましょう!




