7話
「お前ら、誰だっ...!」
ただ事ではない雰囲気に、警戒態勢をとったルイが叫ぶ。
そしてルイの言葉を聞いた5人の男達は、お互いに顔を見合わせて吹き出しそうな顔をしていた。
「誰だって言われてもなぁ〜」
「・・・こんなガキに言ってもわかんねーよ。なぁ?」
「ギャハハッ!・・・随分震えてるみてーだけど、怖いんでちゅかー?」
プッ、アハハハハ
1人の男が言った言葉に全員が笑い始めた。
誰もルイのことを警戒している様子もなく、舐めているようだ。
(今なら逃げられるかもっ・・・!)
さっき1人の男が、ルイのことを見失ったと話していた。
それなら男達がルイのことを見ていない隙に逃げられるかもしれない。
・・・しかし、先ほどから体が震えて止まらないのだ。
いきなり訪れたこの状況に、戸惑い、恐怖し、さらに安否のわからないガイとジンのことが心配で堪らなかった。
しかし今のこのチャンスを逃したら、逃げられないかもしれない。
(・・・今までの特訓を思い出せっ!俺ならできるっ!動けっ!動けっー!動けぇーーー!!!)
やっと動いた体に安堵しつつ、身を翻しすぐにこの場から逃げ出す。
ひとまずここから逃げなくては。
ジンとガイは無事なんだろうか・・・。
とにかく2人のことが心配だ。
「ぐぇっ・・・!!!」
「バカだなー。逃げられると思ってんの?」
男達の隙をついて逃げ出していたルイだが、すぐに追いかけてきた男に取り押さえられてしまった。
頭にバンダナを巻いている、ひょろっとした男に後ろから飛び蹴りを食らいそのまま地面へと倒れてしまったのだ。
一瞬何がおきたかわからなかった。
ルイの自慢は逃げ足の速さだ。
自分が出せる最高速度で逃げていたはず。
それなのに、あっさりと捕まってしまった。
ルイは悔しさで地面に伏せながら、ギュッと拳を握りしめる。
「さっきお前のことを見失ったやつは、1番下っ端ね。そもそも、それ以外のやつだったら最初から見失ってなかったわけ。」
・・・毎日特訓して、少しずつでも成長できたと思っていた。
・・・強くなれたと思っていたのだ。
その努力がこんなにもアッサリと無駄だと思わされるなんて。
(......悔しいっ......!)
「ダイキさん。こいつ、どうします?」
悔しがって震えているルイのことを興味なさそうに見下ろし、先ほど頭と呼ばれていた男に向かって話しかける。
「あ"ー。こいつは別にいらねーんだよな。上のヤツらはすぐに使えそうな駒が欲しーんだよ。こんなガキじゃ使いもんになんねーんだってよ。」
「まぁ・・・そうっすね。」
「それならお頭!アニキ!オレに名案がありますぜ!そいつはあそこに捨てちまう・・・・・・なんてのはどうですぜ?」
「ギャハハッ!おめー下っ端のくせしていい案出すじゃねーかよ!ハチぃ」
「ハッ。ありがとうごぜーやす!ギンのアニキ!」
「決まりだな。メイ。そいつのことしっかり押さえとけよ。」
「了解。」
男達の話を聞くに、このままではどこかに連れて行かれて捨てられてしまうようだ。
逃げなくては——
「ッはなせよっ!このやろー!」
なんとかルイの上に乗っている男から逃げ出そうともがいてみるが、びくともしない。
「クソッ!・・・ガイッ、・・・ジンッ!」
どうにもならないこの状況に、ただただ虚しくなるばかりで。
ここにいない大切な仲間、ガイとジンへ思いを馳せる。
(ガイとジンに会いたいっ・・・無事でいてくれっ)
何もできないもどかしさに、歯をぎりッと噛み締める。
地面にはルイの口から流れた血が色づいている。
倒された時に顔を打ちつけてしまい出血し、砂も入ってしまったようだ。口の中は血と砂の味がする。
しかしそれも今は、全然気にならなかった。
「プッ、お前のお仲間なら今ごろ、船の中だぜ〜」
「おい、バン余計なことを話すなよ。」
「いいじゃねーか。メイ〜、どうせ何もできることはないんだし〜。」
ルイの背中に乗っている男、メイの静止の声も聞かずにバンと呼ばれた男が話し始める。
ガイとジンの話題に、地面についていた顔を上げてバンと呼ばれた男の方をみる。
猫目で背が高く、ルイのことを見ている瞳の奥からは酷く残酷な冷めた目が見えた。
「お前と一緒にいた2人もアッサリ、俺らに捕まったんだよ〜」
「ウソだっ!あいつらは俺より強いんだからなっ!捕まるわけねー!」
「へ〜?でも随分バテバテだったぜ?抵抗してきたらボコボコにしてやろうかと思ってたのに。アッサリすぎてつまんなかったわ〜。」
「そんなのウソだっ!...ウソつくなっっ!」
「ま〜お前が信じようが信じまいが、どっちでもいいんだけどね〜。」
「バン。それくらいにしておけ。これから地獄に落ちるんだ。少しくらい夢をみさせてやれよ。」
「ダイキさん〜。でも天国から地獄に落とす方が酷でしょ〜」
「まあな」
ハハハハ
この男達は、ルイのことなどどうとも思っていないのだ。
まるで道端のアリを踏み殺すかのように
先ほどまでの日常から一転、ルイにどうしようもない絶望が、波のように押し寄せてきていた。
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