23話
朝食後、ガリュウ、リョウガ、ルイの3人は家を出て広場へ向かう。
いつも通り道中は一切話さず、静かに向かう。
そして自分たちの持ち場に着いたところでほっ、と一息ついた。
「早速だがリョウガ、ルイ、話がある」
持ち場に着いたところで「今日も競争だっ!」と意気込んで目を合わせていた二人だったが、ガリュウの真剣な声がしたのでそちらに目をやる。
ガリュウはゴミ山の側でしゃがみ、リョウガとルイにこっちに来いと手を振っていた。
「ルイ。上を目指すと言ったな?」
「おう!どうしたんだ?」
「・・・上って何だよ?」
「・・・ルイはここを出て、壁の向こう側【ストラタス】へ戻るんだ」
「・・・は?っんだよそれ!・・・ルイお前・・・出てくのか・・・?」
「そうだ!」
「っ・・・このやろっ「それでリョウガはどうする?」・・・・・・・・・はっ?」
ルイが出ていくという話を聞いて飛びかかりそうだったリョウガだが、ガリュウの問いかけに固まってしまう。
(いまおやじはなんて言った・・・?)
「・・・どうするだと?」
「ああ。お前はどうする?」
「・・・どうするもこうするもねーだろっ!俺が居なくてどうやってアイツらを食わせてくんだっ!」
「あいつらを言い訳に使うな。それがお前の本心か?」
「・・・っ!」
「リョウガ、お前の本心を聞かせてほしい」
「・・・ルイは、向こう側から来たんだろ。それでまた向こう側に戻るんだな。俺は・・・ここでの生活が嫌なわけじゃねー。でも、ルイが行くなら俺も行きてぇ・・・」
「そうか」
「ん?・・・何言ってんだ?俺が行くときはみんな一緒だろ?俺は最初からそのつもりだったけど」
リョウガとガリュウが真剣に話していたとき、ルイは話の内容がよく分かっていなかった。
みんなで【ストラタス】に戻るのに、なぜそんな話をしているのか理解できなかったのだ。
「はぁ?」
「みんなって・・・俺たちもか・・・?」
ルイの言葉にリョウガは怪訝な顔をし、ガリュウは目を見開いている。
「おう!俺が帰るときは連れて行ってやるってサナとも約束してたしな!当然みんなも一緒に行くだろ?」
「ハハハッ!・・・リョウガ、置いていかれる心配はなさそうだな」
「っるっせぇ」
(6人でここを出られるなんて・・・夢物語だと分かっている・・・でもその夢に掛けてみたくなるんだよな・・・)
ガリュウはルイが語った夢物語を叶えることがどれほど難しいことかを、よく分かっている。
本来ならそんな危険な賭けにはでない。
しかし、その夢物語に乗ってみたくなったのだ。
「じゃあ"それ"(夢物語)を叶えるための作戦を立てないとな」
「作戦かー!面白そー!」
「まずここの仕事をこれからは午前中で終わらせるんだ——」
ガリュウの作戦はこうだ。
1.仕事を午前中で終わらせる
そして稼ぐのは今の半分以下にすること
2.午後からは家で修行
戦闘力を身につけること
3.夜に森の中で魔物と戦う
夜になると活発になる魔物と戦うこと
4.脱出する機会を窺う
これが1番難しい(無謀な賭け)こと
「これから変に目立つのはまずい。多少生活が厳しくなっても目立たないようにすべきだ。ボビー達に目をつけられて【ストラタス】に送られるのはまずい」
「なんで?」
「簡単に言うなら、人身売買だな。使えると思ったやつらを外の連中に売ってるんだ。」
「は?・・・じゃあアイツらがいつも言ってる天国にいけるってのは・・・?」
「・・・間違いではない。ただ行き先がここの"地獄"から外の"地獄"に変わるだけだ・・・」
「っんだよそれ!」
「ここではボビー達のルールが絶対だ。逆らってもいいことはないし、目立たないようにお前達と暮らしていけるだけでよかったんだ。・・・だがここを出るとなれば話は変わってくる・・・万が一のために、戦闘能力を上げておきたい。・・・ガリュウ、ルイ、これから厳しく指導するが、覚悟はあるか?」
「おう!修行だなっ!」
「・・・ったりめぇだ」
「よし、そうと決まれば早速今から行動に移す。まずはここを片付けよう」
それからの行動は早かった。
ルイとリョウガが2人で稼いでいた半分を、3人で稼ぐのだ。
午前中だけでも簡単な作業だった。
まだボビー達に目をつけられているわけではない。
だからたとえ昼前に集めたものを持っていき、帰っても特に目立つことはないと踏んだのだ。
実際に、昼で切り上げて帰る者も多いからだ。
そしてその後は素早く帰宅し、3人で話し合ったことを家で待っているサナ、カンナ、サンに伝えた。
3人ともかなり驚いていたが、最終的にはみんなが【ストラタス】へ行くことに同意した。
ガリュウは午後からの修行を、サナ、カンナ、サンの3人にも課すことにしたようで、それぞれが家でできる筋力トレーニングをガリュウが一通り教えた。
そしてガリュウ、リョウガ、ルイは家での訓練だけでは不十分だと、午後から森に籠ることとなった。
そうして、ルイ達の特訓の日々が始まろうとしていたのだ—
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