21話
21話
真夜中の墓前で泣き崩れているサナの前に、ルイはひとり立ちすくんでいた。
サナの死にたいという気持ちを正面からぶつけられて、無意識に体が震える。
「・・・・・・っんな、
・・・っふざけんなよっ!!!」
思ってもみなかったルイの怒声に、泣いていたサナはビクリと肩を振るわせる。
「なにが死なせてくれだっ!
・・・っそんな簡単に・・・っ死ねると思うなよっ!
俺はっ・・・お前に・・・っ
恩返しするって・・・誓ったんだっ!
途中で逃げるなんて、許さねーからなっ!」
「・・・っ・・・」
ルイのめちゃくちゃな言い分にびっくりして・・・
いつの間にか止めどなく溢れていたサナの目から、涙がピタリと止まっていた。
「・・・お前は・・・1人なのかっ!?
・・・サンのことは・・・?
アイツのこと置いてくのか?」
「・・・っ・・・」
「サナ・・・お前は大丈夫だっ!
・・・立ち上がれるだろ?
今まで、1人で家族を守ってきたんだから!」
ルイと出会った時、サナはたった1人で病気の母と弟の面倒をみていたのだ。
文句も言わずに、ただじっと過酷な労働にも耐えて。
(お前は・・・強いヤツだろ・・・!)
そして
スッ—
っとサナに右手を差し伸べる。
「サナが1人で立てないなら・・・
俺が引っ張ってやるよ!」
「・・・っルイ・・・」
「ほら・・・ちゃんと着いてこい!」
「・・・っうん・・・・・・
うん・・・
・・・ありがとう、ルイ」
「いーってことよっ!」
ニカッ—
さっきまで真っ暗闇で先の見えない霧の中にいたのに・・・。
直球で向かってくるルイに、目の前の霧がすべて一気に吹き飛ばされた。
そして晴れた霧の先には、ニコニコと笑うルイの姿がある。
久しぶりにルイの笑った顔を見た気がした。
(・・・ルイは・・・私の太陽だね)
そしてそっと・・・優しく微笑むサナだった。
サナの目に、もう絶望は映っていない。
そのキラキラした瞳には、しっかりと希望の光が灯っていた。
———
まだ誰も起きていない早朝—
いつも誰よりも早く、1番に目を覚まして活動を始めるのがガリュウだ。
今日も、朝の光が少し差し込んだところで目を覚ました。
・・・そして違和感を覚える。
誰もいないはずのキッチンから、微かに物音が聞こえるのだ。
(・・・誰だ・・・?)
ベッドから降りて警戒をしながら、キッチンへと向かう。
キッチンのシンクの中には、昨日食べた食器が汚れたまま置いてあった。
そしてその汚れた食器を、丁寧に洗っている横顔が見えた。
「・・・っ・・・サナっ?・・・」
ガリュウの声に気がついた少女がパッと振り返る。
「ガリュウさん・・・おはようございます」
「・・・っああ・・・おはよう・・・っ」
サナへと近づき、ガリュウはしっかりとサナを腕の中に抱きしめる。
「ご心配・・・おかけしました・・・っ」
「いいんだ・・・元気になってよかった・・・」
「・・・ありがとうございます」
どれくらい2人でそうしていただろうか。
サナとガリュウの静かな時間は、カンナの騒がしい声で終わりを迎えた—
「あー!!!サナ姉ー!!!元気になってるー!!!」
「!!!・・・サナッ!?・・・よかったっ・・・」
「・・・にひひっ」
「・・・っサナ姉・・・っ」
「!!!っサン・・・!ごめんねっ・・・1人にしてっ」
「サナ姉っ・・・ボク、ひとりじゃなかったよ・・・みんながいてくれたから・・・」
「・・・うんっ・・・そうだね。みんな・・・本当にありがとうっ・・・」
その日は朝からみんなで泣いて、みんなで笑った。
久しぶりにガリュウ達の家からは、明るい笑い声が絶えず聞こえてきたのだった。
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