14話
・・・——・・・——!
「・・・んぁ・・・?」
ぐっすりと眠りについていたルイ。
朝の喧騒が耳に届いてきて少しずつ意識が浮上する。
「あっ・・・ルイ!おはよう!ゆっくり眠れた?」
ベッドで半身を起こした状態で寝ぼけているルイにサナが元気よく話しかけてくる。
寝ぼけた頭でここがどこで自分がどうしてここにいるのかをゆっくりと思い出す。
(・・・そうだっ!ガイとジンと秘密基地で特訓してて・・・ガイとジンがいなくなって・・・メイとバンに"壁の向こう側"に捨てられて・・・そんでサナと出会って泊めてもらったんだっ)
「っおはよう!サナ、泊めてくれてありがとなっ!」
「ふふ、ゆっくり眠れたみたいでよかった。わたしこれからちょっと出かけないといけないから、ルイはゆっくりしててね」
「えっ・・・どこ行くんだ?」
「・・・おかあさんの代わりに働きに行くの。」
「!・・・それって俺も行ってもいいのか!?」
「・・・え・・・それは大丈夫だけど、大変だよ?家でゆっくり」
「行くっ!俺っ、体力あるし、力もあるんだからなっ!サナの手伝いさせてくれよっ!」
「・・・いいの?」
「おうっ!任せろっ!」
「ふふ、それじゃあお願いしちゃおうかな。よろしくねルイ」
「おうっ!」
—
サナと連れ立って家を出てスラムの奥へと歩いていく。
並んでいる家はどの家もサナの家と同じような造りだった。
家から出てきた人たちはみんなサナたちと同じように一つの方向へ向かって歩いている。
歩いている人たちの顔を見るとみんな生気がなく、どこか虚ろな目をしている。
みんな着ている衣服も薄汚れていてつぎはぎになっている。
ルイは自分の服を見下ろす。
昨日の一件があり、ずいぶん汚れてはいるがサナや周りの人たちと比べると明らかにいい服を纏っている。
そして隣を歩いているサナは先ほどまでの笑顔はなく無表情で歩いていて、みんな挨拶をすることも喋ることもなく黙々と道沿いに歩いていくのだ。
(・・・誰も喋らねー・・・みんな暗いし・・・サナもそうしてるし俺も喋らない方がいいよな・・・?)
サナにならい黙々と歩いて行くと、目的の場所に着いたのか少しひらけた広場でみんな固まっている。
歩みが止まったところでキョロキョロと周りを見回してみる。
広場の少し奥に山が見えたのだ。
しかしよく見てみると緑色ではない。
薄汚れた色をした山が見えるのだ。
(・・・山・・・じゃないな・・・なんか鉄クズとかか・・・?)
よくみるとゴミの山がチラホラと散らばってできている。
いったいどれくらいの山があるのか数えようとしていたそのとき、
バンッ—
バンッ—
バァーーン!!!
いきなり大きな音がなり「ビクッ」としながら音の方に目を向けると—
一つのゴミ山の前に高い台があり、その上に乗っている人が3人見えた。
そしてその高台を守るように何十人もの下っ端らしき人たちが取り囲んでいる。
もう一度目線を高台の方へ移す。
(・・・!あいつらっ!昨日森で隠れた時のやつらじゃんっ・・・!)
高台にいる3人のうち2人は昨日ルイのことを探していた2人、『ボギー』と『ボミー』だったのだ。
見つかったらヤバいと思い、咄嗟にルイの前にいた男の背に少し屈んで隠れる。
この時ばかりは隠れられるような身長でよかった・・・と思うのだ。
身を隠しながらも隙間から様子を窺っていると真ん中にふんぞり返って座っていた男が立ち上がった。
ボミーのように樽のような体型でもなく、ボギーのように吹けば飛びそうな体型でもない。
街でよく見かけていた防衛隊の人たちのような・・・屈強な体をしていた。
服を着ていてもわかる見事な筋肉・・・
そのガタイの良さに「俺なんか片手で握りつぶされそう・・・」とルイが怯えるほどだ。
「お前らに報告がある」
その屈強な男が静かに話し始める。
「昨日の夜・・・"侵入者"が現れた」
ザワザワ...ガヤガヤ...
男のその言葉に静かだった住民たちが一気にざわめき出す。
「・・・どこからきたんだ?」
「騒ぎを起こしやがって・・・」
「とっ捕まえてやるか・・・」
「はぁ・・・どうでもいいから早く仕事させろよ・・・」
「黙れ」
シーン・・・
「"侵入者"が何の目的でここに来たのかはわからない。そいつは俺の許可なく勝手に入ってきたんだ。・・・この意味がわかるよな?」
先ほどまで騒いでいた住民たちが一斉に静かになり、みんな震えながら下を向いている。
・・・屈強な男に威圧され、怯えているのだ。
「ここを出て"天国"にいけるか・・・"地獄"に居続けるかは・・・俺次第だ。そのために毎日毎日お前たちには必死に働いてもらってるんだからな。・・・お前ら"天国"に行きたいよな?」
「行きたいですっ!」
男の呼びかけにみな、一斉に返答する。
「それじゃあいつも通り、一生懸命働くことだ。
・・・"侵入者"は俺の部下が探す。ないとは思うが・・・もし隠している奴がいれば・・・・・・わかるよな?」
「以上だ。それぞれ配置につけ」の一言で住民たちはそれぞれ一斉にバラけて歩いて行く。
すぐに動けなかったルイの手をサナが取り、歩いて行く。
・・・はじめて繋いだサナの手は、酷く震えていた。
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