第13章 中原裕也の本当の顔
■ 中原の落とし穴
アークシステムズの会議室。
凪が中原の動きを追跡し、柊が裏付けを取り、
ついに中原を呼び出して対面の場を設けた。
中原は、不敵な笑みを浮かべていた。
「……徳山の命令で動いていた、だって?」
柊が問いかける。
中原は肩をすくめた。
「半分正解で、半分ハズレだよ。
確かに徳山の言うことは聞いてたけど……
“全部従ってたわけじゃない”」
凪が首をかしげる。
「じゃあ……環さんを狙ったのは徳山じゃなくて……あなたの意思?」
「そう。あれは徳山の命令じゃない。
ただの……腹いせだ」
「腹いせ?」
環が驚いて声をあげる。
中原は笑った。
「俺、北澤美乃に振られたんだよ。
『あなたとは無理です』ってさ。
あれは侮辱だった。
だから……ちょっと痛い目に遭わせてやりたかっただけ」
柊・凪・環
「………………」
3人の表情は“完全に呆れている”ものだった。
「そんな理由……?」
凪がぽつりとつぶやく。
「大体悪いことするやつの理由なんてくだらないものだろ」
中原はふん、と鼻で笑う。
「じゃあ徳山への攻撃は?」
柊の声は低い。
中原の笑みが歪む。
「徳山も気に食わなかったんだよ。
俺を使い捨てみたいに扱って……
だから、こいつも一緒に落とそうと思ってた」
「二重スパイみたいなものか……」
凪がメモを取りながら呟く。
「そういうこと。
あんたらも徳山も、美乃も……
全部まとめて壊せればよかった」
凪は柊を見る。
その目は“こいつ……本物の危険人物だ”と言っていた。
柊は淡々と言った。
「……ありがとう。
君が自分で罠に落ちたおかげで、全体像が見えたよ」
中原はニヤリ。
「で、どうするんだ?
俺を利用するんだろ?」
「もちろん」
柊の声は静かだが、強かった。
「君の証言と君が仕掛けたトラップ、全部逆に使う。
徳山を追い詰めるために」
中原は肩をすくめ、
「好きにしろよ」と笑った。




