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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season10 ― 言わなかった後悔、言わなくてよかった光 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season10 ― 言わなかった後悔、言わなくてよかった光 ―
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第12章 狙われた影

■ 背後から忍び寄る気配



カフェテリア。

夕方の柔らかい光が差し込む中、

(なぎ)(たまき)はコーヒーを買いに並んでいた。


(なぎ)が財布を出しているわずかな隙――


(たまき)の背後に、

気配が立った。


振り返ると、

そこには 中原(なかはら)裕也(ゆうや) が立っていた。


目は笑っていない。


顔だけが薄い笑みを浮かべている。


如月(きさらぎ)さん……だよね?」


(たまき)は息を()む。


声が出ない。


その瞬間――


(たまき)さん!」


(なぎ)の声。


(なぎ)はコーヒーを落としそうな勢いで駆け戻り、

中原(なかはら)の前に立ちはだかった。


中原(なかはら)さん、何してるんですか?

 (たまき)さんに用なら、僕を通してください」


中原(なかはら)は肩をすくめ、

すっと後ずさった。


「いや……ちょっと挨拶しただけだよ」


そのまま足早に立ち去る。


残された(たまき)の手はぎゅっと震えていた。


「……(たまき)さん、大丈夫ですか」


「……うん……でも……怖かった……」


(なぎ)はすぐに(しゅう)へ電話した。


(しゅう)先輩。(たまき)さんが……中原(なかはら)裕也(ゆうや)に接触されました」


電話の向こうで(しゅう)の声が低くなる。


「……わかった。すぐ戻る」



◇◇◇



■ 標的は“(たまき)



会議室に戻ると、(しゅう)(たまき)を抱くように迎えた。


(たまき)……大丈夫か」


「……(しゅう)……」


中原(なかはら)裕也(ゆうや)……か」


(しゅう)の目が鋭く細まる。


徳山(とくやま)が“次の一手”を打ったな」


(なぎ)も険しい顔で言う。


(たまき)さん、やっぱり狙われてます。

 坂井(さかい)の次は中原(なかはら)……

 残るのは徳山(とくやま)だけです」



◇◇◇



(たまき)を守るための決意



(しゅう)は即座に宣言した。


「今日から(たまき)を絶対に1人にしない。

 トイレ、コピー、カフェテリア……全部俺か(なぎ)が同行する」


「僕も守ります。

 (たまき)さんを危険にさらすわけにはいかない」


(たまき)は胸がいっぱいになり、

2人の優しさに涙が浮かんだ。


「……ありがとうございます……」



◇◇◇



■ そして、その時は来た



それから数日後。


たまたま会議室での資料作成を

(たまき)が“ひとり”でしていた時だった。


(しゅう)(なぎ)は別の会議へ。

(たまき)は鍵を閉めて作業を続けていた。


その時――


コン、コン、コン。


ドアを叩く音。


(たまき)は息を()む。


(しゅう)(なぎ)も、ノックはしない。

必ず声をかける。


(……誰?)


返事をせずに様子を伺う。


数秒後――


コン、コン、コン。


また3回。


(たまき)は少しずつ後ずさり、

会議室の奥へ身を引いた。


やがて、


コン!コン!コン!


強くなるノック。


ガタガタッ!


ドアノブが激しく揺れた。


(やめて……やめて……)


(たまき)の呼吸が浅くなる。

足が震える。


ガン!ガン!ガン!


ドアを殴る音。

金属のきしむ音。


(しゅう)……(なぎ)くん……)


(たまき)は机の影にしゃがみ込み、

耳を塞いだ。


どれくらい時間が経ったかわからない。


すると――


(たまき)(しゅう)だ。開けて」


(……(しゅう)……!!)


(たまき)は走ってドアを開ける。


(しゅう)が勢いよく入り、

(たまき)を抱きしめた。


(たまき)……!震えてる……どうした……!」


「こわ……かった……ずっと……ノックされて……

ドア……ガタガタって……」


(しゅう)は背中をさすりながら言った。


「大丈夫だ。

 もう誰にも触れさせない」


少し遅れて(なぎ)も駆け込んでくる。


(たまき)さん!無事でよかった……!」



◇◇◇



■ 犯人の正体



(なぎ)はドアのログを素早く解析した。


「……(しゅう)先輩。

 やっぱり“中原(なかはら)裕也(ゆうや)”です。

 ドアの前に立ったIDが残ってます」


(しゅう)の目が鋭く光る。


徳山(とくやま)……追い詰められて焦ってるな」


その時――

(たまき)の涙を拭きながら、(しゅう)は静かに言った。


(たまき)……怖かったな。

 でも……これで確信した。

 徳山(とくやま)は、(たまき)を“揺らす”ことで俺たちを潰そうとしている。

 だからもう……一歩も近づけさせない」


(たまき)(しゅう)の胸に顔をうずめて、

かすかに頷いた。


「……(しゅう)……ありがとう……」

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