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宣誓!人類の味方となるダンジョンにする事を誓います! 〜チュートリアルを装った攻略させないダンジョン作り〜  作者: 天沢与一


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78話 攻撃する

 飛翔スキルは蹴った時の強さによってジャンプの高さが変わるスキルである。

 一度飛んだ後はその場に少しだけ滞在でき、あとは滑空するように地面に落ちていく。


 1人抱えているから強めに地面を蹴ったけど、まさかこんなに飛ぶとは……初めてのスキルをこんな場面で使うもんじゃないな。


 流石にドラゴンは俺らの存在に気付いたのか、こちらに向かって来ている気がする。



「すみません、飛びすぎました」


「問題ない。“氷槍(ひょうそう)の乱”」



 氷の槍が空中で現れて、飛んできたドラゴンの上でちょうど降り注いだ。


 動いているのによく当てられたな。


 奈那さんの攻撃はそれに留まらず、火、水、風、雷といろんな属性の魔法スキルを発動していった。



「そろそろ落ちます」


「了解。色々撃ったがまともに効いたのは氷と水だけだな。やはり属性相性というのがあるのだろう。次は攻撃属性を絞って撃つ」


「わかりました。居場所バレてるので一旦動いて巻きましょう」



 向かってきたドラゴンを暴風を発生させる風魔法を使ってなんとか避けながら、地面に降りた。すぐに瓦礫の陰に隠れて移動する。


 あれだけの魔法スキルを当てていたのに、ドラゴンは今も問題なく飛んでいる。見たところ鱗の部分はあまり攻撃が通っておらず、羽の薄い部分のみかろうじて傷がついている。落下させるにはまだまだ時間かかりそう。



「奈那さんって投擲系のスキルは持ってますか?」


「あるぞ」


「毒瓶渡すのでドラゴンに向かって投げてくれません?」



 毒の種類は神経毒、麻痺毒、腐食毒、幻覚毒と色々ある。この中で一番効きそうなのは腐食毒か?


 瓶を出して奈那さんに渡した。



「わかった。タイミングを見て投げよう」



 ドラゴンは俺らを探しているのか、地面に向かって炎を吐いている。居場所はバレてなさそうだ。



「そろそろ飛びますか?」


「そうだな。ドラゴンが向こう側に行ったタイミングで飛んで欲しい」


「もしかして正面から向かって来させる為とかですか?」


「その通りだ。毒瓶を食べさせた方が効果的だろう?」


「外すくらいなら無理に口の中狙わなくていいんですけど」


「外さないさ」



 言い切るほど自信あるって事か。


 一般的に広まってる投擲スキルは命中率の補助をしてくれるのだが、それは絶対当たる訳じゃない。でも奈那さんなら本当に外さなそうなんだよなぁ。



「……では、飛ぶ前にあえて姿を隠すスキルを切ります。もし火を吹いてきたら全力で避けますね。あとこれ最初に渡すべきでした。ポケットにでも入れててください」


「これは?」


「身代わりの石です。どんな攻撃でも1回だけ防いでくれます。いっぱい持ってても意味ないので、割れたら言ってください。新しいの渡します。あ、マジックバッグの中には入れないでくださいね。効果がなくなるので」


「ありがとう。なら多少の無理はしてよさそうだな」



 いや無理してもらうために渡した訳じゃないんだけど。


 ……奈那さんがドラゴンを倒そうと言い出したのは俺が決断できなかったからだという自覚はある。ここで奈那さんに怪我されるのは流石に目覚めが悪い。



「無理せずできる範囲でやりましょう。……そろそろですね。飛びます」


「いつでもいいぞ」



 さっきは飛びすぎたと思ったが、意外と悪くなかった。今回はドラゴンがこっちに来る秒数を考えると、もっと強く蹴り上げた方がいいだろう。



「行きます。隠遁者解除。“飛翔”」



 ドラゴンが飛んでいる高さより少し上まで来た。


 俺らの存在に気付いたドラゴンはまっすぐこちらに飛んでくる。


 すぐに奈那さんは氷系と水系のスキルを交互に撃ち始めた。まだドラゴンと距離があるのに、全部当てている。右の羽を重点的に狙っているようだ。水の刃で斬られ、氷でできている槍がいくつも刺さっている。


 てか普通魔法系のスキルって自分の目の前から発生するはずなのに、なんで自身から離れた上空から発生してるんだろう。これも認識の問題でなんとかなる話なのだろうか?


 続く奈那さんの攻撃でドラゴンは体勢をようやく崩した。けれどもまだ飛び続けている。


 まだ距離はあるが、ドラゴンは大きく口を開けた。火を吹くつもりなのだろう。


 俺の方はそろそろ落ちるな。声をかけたら邪魔しそうなので今回は黙ってる。


 というかもう落ち始めている。



「“凝視”“観察眼”“精神統一”“狙撃補助”“投擲”“一球入魂”」



 落ちながらも奈那さんはスキルを唱え続けて、最後に瓶を投げた。


 やっば。いよいよ火を吹いてきそう。



「“嵐旋風(らんせんふう)”」


「“嵐旋風(らんせんふう)”」



 声が被った。


 俺は火から避けるために。奈那さんは瓶を口の中に入れるのを補助するためにスキルを使った。


 なんとか避けられたが、ちょっと必死で瓶が最終的にどうなったか見えなかったな。



「毒瓶最後どうなったか見えました?」


「ああ。炎を吹く寸前で喉の奥に消えていったのが見えた。ドラゴンの炎がどこから発生しているかわからないが、おそらく燃える前に飲み込んでいるだろう」



 ドラゴンは確かにフラフラしている。でもそれは奈那さんの攻撃によってなのか、毒によってなのかわからない。


 このまま攻撃を続けていれば、いずれ地に落とすことはできそうだ。


 ドラゴンの追撃を頑張って避けながら、地面に降りる。すぐに俺はまた隠遁者スキルを使い、走って場所を変えた。


 さっきまで1箇所に火を吹いては飛んで移動してまた別の1箇所に火を吹くという行動を取っていたのに、今は回りながら火を吹き、1回で広い範囲に攻撃している。先ほどまでのやり方じゃダメだって学習したようだ。


 これじゃ今いる場所も危ないな。



「少し離れようか」


「そうですね」



 奈那さんが先導して走り、20mほど後退した。これでもドラゴンの攻撃範囲内だが、今は見当違いの場所に攻撃してるのでまぁ大丈夫だろう。


 俺も奈那さんも一旦回復薬を飲んで魔力を回復させて、今度はドラゴンがこちらを向いていないタイミングで空へ飛んだ。


 何回か攻撃が当たったタイミングで俺らの居場所に気づき、こっちに向かって飛んでくる。


 口を大きく開けているが、なんかさっきまでと様子が違う……?



「耳を塞げ!」



 そうか、火を吹くために口を開けたんじゃなくて咆哮するために開けたのか。


 けど奈那さん抱えながら耳を塞ぐとか器用なこと出来ない。


 どうするか迷っている間にドラゴンは叫んだ。



《GAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!》



 うるさいどころじゃない。

 耳がキーンとする。


 まだ滞空時間は残ってたけど、このままじゃ危ないと判断して、風魔法スキルを使って下に降りる。


 ドラゴンは咆哮を上げながらこちらに向かってきていたので、良い判断だったと思う。


 そのままスキルを使い続けて地面に着いたが、まっすぐ立てなかった。フラフラしながらその場を離れる。


 あの咆哮、うるさい以外にも何か効果あったのか?


 10秒ほどで感覚が戻り、ちゃんと走れるようになった。



「身代わりの石が割れている。これが無かったらあの場から動けなかったかもしれないな。もっとあの咆哮を警戒するべきだった」


「あの場面で叫ぶと思ってなかったのは俺も同じです。とりあえず次の石をどうぞ」



 身代わりの石が無かったら鼓膜破れていたかな。


 直前で奈那さんにも渡しておいて良かった。

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