60話 シャドウ系モンスター
散々悩んだ結果、階層の作りは今までとあまり変わらない作りにすることにした。
要するに基本迷路でモンスタースポナーと罠を配置する作りだ。もちろん全部が全部一緒だとつまらないので、たまに8階層の謎解きフロアとか今作った21階層の広々空間を入れようと思う。
ボスっぽい階層は5階層ごとから10階層ごとに減らすつもりだ。いやだってそんなにボスっぽいモンスターいないからさ。今後を考えると5階層ごとじゃネタ切れしそう。
ということで、いつも通り四角をうまく組み合わせて迷路を作った。ただし、今までだったら1〜2万ポイントくらいで作っていたところを5万ポイント使って今回は作る。単純に広さを倍以上にしたということだ。
割とこれだけで探索者は大変なんじゃないかなぁと思ってる。
階層を広くした分、スポナーは6個置く。
モンスターは3種類で、シャドウスライム、ゴブリンシャドウ、シャドウスパイダーのシャドウセットだ。どれも闇魔法を使え、影に隠れることができ、奇襲に特化したモンスターである。
特にスライムなんかは天井とかに居ても気づかれないんじゃないだろうか。松戸ダンジョンをちょっと参考にしてる。
今回罠は置かず、かわりに奇襲が活かせるように岩を多めに配置した。ここまでやって環境を洞窟にした方が手っ取り早かったんじゃないかと思ったが、もうすでに岩を配置した後なので諦める。
今回はこの階層で累計99匹のモンスターを倒したら進めるようにしている。この数も設定できる最大の数だ。
今後しばらくはこんな感じに条件達成したら進めるようにしようと思っている。
入り口の看板には【闇に潜むモンスターを頑張って倒してください】と書いた。
……ヒント与えすぎかな?まぁ99匹倒すの相当大変だろうしいいか。
続いての23階層も同じく迷路の構造だ。せっかくなので今回は三角を使って構成してみる。
三角の中に三角を置き、その中にさらに三角を置いて、その中にさらに三角を置くという作業をひたすら続ける。間隔はだいたい2mごとだ。内側に置けなくなったら今度は外側に三角を重ねて置く。
ちょっと途中で面倒になったので、AIに5万ポイント分の消費になるまで三角を置くよう頼んだ。
これだけだと自由に動けないので三角と三角の間を道を繋いで内側から外側まで行き来できるようにした。そこから至る所に壁を置いて迷路を完成させる。
始まりは1番内側にして、1番外側のところに先に行く魔法陣を置こうかな。
モンスターはシャドウホーンラビット、シャドウバード、シャドウウルフの闇×動物セットだ。シャドウと付くモンスターはだいたい同じ性能である。今回は岩じゃなくて木をたくさん置いて影になる部分を増やした。
今回の魔法陣の条件は……累計20万歩歩いたらとかでいいや。上限は99万9999歩だったけど流石に100万歩近くは多すぎる気がしたので、一旦20万歩にしておく。
歩幅は人によって違うから、魔法陣に辿り着いた時にパーティ内で進める人と条件未達成で進めない人が居そうだな。
探索者の様子次第では必要歩数もうちょい増やそうと思う。
看板は【闇に潜むモンスターに気をつけながら進み続けましょう】にした。
24階層は丸を重ねて迷路を作ってみた。やり方は三角の時と同じだ。
重ねて配置し続けるのは大変だとさっき知ったので、最初から配置するのをAIにお願いした。
ぶっちゃけどのモンスターを置くかまだ考えてないから今回は魔法陣の条件を先に考えようかな。
時間経過、討伐数、歩数と来たら、防御した回数とか攻撃した回数あたりが妥当だろうか。
うーん……攻撃は討伐と若干被ってるし防御にしよう。
あ、待って防御は設定できないんだ。攻撃を受けた回数なら行けるかな?……いけたわ。
ただ、普通パーティ内では役割が分かれていて、後衛は攻撃を受けないだろう。その前に前衛が防ぐからだ。
マメカラスみたいに群れで攻撃するモンスターを配置すれば、後衛にも攻撃が行くかな?
群れというと蜂系のモンスターが思いつく。シャドウビー(女王種)とかどうだろうか。ビーと付くモンスターの女王種はいるだけで勝手に配下としてノーマル種のシャドウビーを召喚してくれる便利なやつである。まぁその分ポイントはかかるが、女王種が倒されない限りは配下を増やし続けてくれるので、かかる分のポイントは回収できる見込みだ。
一応この階層のスポナーは1種類×3つにして消費を抑えよ。
今まで連続で3種類ずつモンスターを配置してたけど、別に揃える意味ないしシャドウビーだけでも問題ないだろう。
内装には蜂らしく花と低木を置いた。
攻撃を受けてもらう回数は50回くらいでいいかな。
最後に【闇に潜むモンスターの攻撃を防ぎましょう】という看板を設置して終わりだ。
25階層を作るだけのポイントはあるけど、一旦階層の更新はここまでにしよう。
ポイントは常に余裕のある状態でいたい。
24階層まで探索者が足を踏み入れたらまた作ろう。
ダンジョンの運営画面を閉じて、スマホの通知を確認した。
あ、瑛士からメッセージ来てる。
今日おれんち来れない?……って急すぎでは。メッセージ来た時間30分前の15時なんだけど。
そもそも要件ある時は手っ取り早いからという理由で電話かけてくる奴なのになんでメッセージ?何かあるとしか思えない。
……一応詳細聞いておくか。本人確認の意味合いも込めて電話で。
『もっしもーし。どしたの?』
「どうしたのはこっちのセリフだわ。家来てほしいってなんの用?」
『あー、あれね。俺も詳しいこと言いたいけど説明するのが難しくてさ!えっとね、なるべく急ぎで直接会って相談したいことがあるってことまでは言えるんだけど』
電話の声は間違いなく瑛士だ。誰かに脅される様子もなく、メッセージ送ってきたのも間違いなく本人っぽい。
にしても直接会わないと相談出来ないことってなんだろうか。
……もしかしてダンジョンについてか?
前にダンジョンに関することは電話やメッセージじゃなくて直接会って話せと伝えてたし。だとしても急ぎでって言うのがわからないけど。
「それ、ダンジョンの攻略関係か?」
『えっ、ちが……あ、そう!それ!』
だいぶぼやかして伝えてみると、一瞬で否定された。その後に俺の意図に気づいて同意したようだけど、だいぶ手遅れじゃないか。
まぁこれくらいはいいけどさ。
「前にお前だけ所沢ダンジョンに行けなかったもんな。わかった。今から向かうからだいたい1時間後に到着するわ」
『わかった!ありがとう!』
本当に急ぎならやっぱり電話かけてくるだろうから、要件は大したことないんだろうと思うが、何をしでかすか分からないのが瑛士だからちゃんと話を聞きに行こう。
俺は財布とスマホだけ持って家を出た。




