56話 スキルと称号
とりあえず進めないなら仕方ない、と今回は諦めて帰ることにした。
ただ、このカウントダウンが終わったらどうなるのか気になるところなので、また終わる頃に来ようと思う。
88時間だから……あと3日と16時間?
今日は日曜で今何時かはわかんないけどたぶん木曜の9時に終わるかな。
新ダンジョンができて3日と少し。カウントダウンの残り時間も3日と少し。合わせてピッタリ1週間になりそうじゃん?
だとすると残り時間から今の時間も割り出せそうだけど……面倒なので辞めた。
マップを見ながら来た道を戻る。
2階層には全然人いなかったし、もしかしたら最奥に行ったの俺だけかもなぁ、なんて思いつつ、たぶん1時間もしないうちに最初の部屋に戻って来れた。
雑面を外して、行きと同じく周囲に人がいないか気にして外に出る。
少し空がオレンジがかっていて、スマホで時間を見ると17時を少し過ぎていた。思ってたより長くダンジョンに居たみたいだ。
まだこの近くには特殊素材の取扱店がないので、ここで得た魔核は町田にある店で売ろうと思う。
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自分の家まで帰ってきた。
魔核は1つ2200円で売れ、今日の利益は3万7400円になった。かなりの稼ぎだ。2階層のモンスターを独占できたのと、他のダンジョンではあまり出ないゴーレムの魔核だったのが良かったと思う。これがスライムの魔核なら1000円前後の買取りになるし。
さて。改めてスキルについて検証しようか。
今までポイントもったいなくてとっていなかったけど、スキル取ることによって称号がもらえるのが分かったので。
とりあえず火魔法を初級から上級まで取った。
『称号:火魔法使いを獲得。獲得特典として1万のダンジョンポイントが付与されます。また、獲得可能なスキルが追加されました』
やっぱり魔法系のスキルは3種類取得すると〇〇使いの称号を貰えるみたいだ。
次にナイフ術のスキルを取ってみた。
称号獲得のアナウンスは流れない。
魔法系のスキルに倣うなら、ナイフに関わりそうなスキルを取ればいいのだろうか?
投擲とかナイフ投げるのに使いそう。ナイフで武器を弾くって事でパリィもか?あとは全ての刃物の攻撃に補正がかかる斬撃術とか……斬撃を飛ばす系のスキルは流石にナイフには関係ないと信じたい。
結局、投擲とパリィと斬撃術の3つを取ってみた。しかし称号は獲得できない。まだ何か足りないのか。
これ以上は無駄にスキル取って終わる気がするなぁ……確実に称号獲得できるってわかってる魔法系のスキル取りまくった方がまだマシな気がする。
土魔法と水魔法のスキルも取ったらエレメント魔法使いみたいな称号貰えないかな。
ここら辺は魔法系のスキルの中だと必要ポイント低いし取っちゃおう。ポイント合計が雷魔法をとうに超えていることは気づかなかったことにする。
スキルの購入を決定した瞬間。その使い方が一気に頭の中に入ってくる。3つ同時に取った時は少し気持ち悪いと思う程度だったが、今は頭が割れるように痛い。
やば、これ無理かも。
頭を抱えて部屋の床にうずくまる。
AIがなにか喋っている気がするが聞き取れない。
目をつぶっている筈なのになにかが見えるような気がする。
……数分経つとようやく痛みが引いてきた。
まじで痛かった。いややっぱりまだ痛いかも。これ頭痛薬飲んで治る?
そりゃ自分の知らない力の使い方を強制的に教えて能力名さえ言えば発動できるようになるまでになるんだから、脳に負担はあるだろうけどさ。3つで少し気持ち悪いで6つになると激痛ってどうなってるんだよ。
今後はスキルを同時に取るの3つまでにしよう。
で、AIなんか言ってたよな?
久々に歯車マーク押して、ログを確認する。
無事に土魔法使いと水魔法使いの称号は取れて、もう一つ基礎魔法使いという称号が取れてた。
4種類の魔法を初級から上級まで取ってようやく基礎なのかよ。どこの世界線基準での基礎なのか。
まぁ種類で言ったら雷、氷、光、闇、時空、空間、天空、治癒、変わったところだと血魔法とか音魔法とかまだまだたくさんある。ちなみに上級まで取った奴は超級と天級と神級が増えてた。必要ポイントはありえないくらい高い。
……スキル取り疲れたから今日はもう取るのやめよ。
そんなことより、あの頭痛の中でぼんやりと文字のような羅列が見えた気がしたけど、俺の幻覚だろうか。幻覚じゃないとしたら今までもスキル取る時に流れてたんだろうか。スキル1個なら一瞬しか流れてなくて気づかなかったけど今回は6個同時だったから気づいた、みたいな?
文字のような羅列って言っても、どういう形があったとかは全く覚えてない。
研究者さんにスキル取る時になんか見えなかったか聞いておこう。
連絡を送ってからすぐにベッドに寝っ転がる。今は何も考えずに休みたい。
ピコンとスマホの通知音が鳴る。たぶん研究者さんからの返信なので無視した。また通知音が鳴る。引き続き無視してると通知音が追い打ちで何回も鳴った。
多い多い。
仕方なくスマホを見たらやっぱり通知は全部研究者さんからで、なんだか長々とした文章がいくつも送られて来ていた。
この量をあのスピードで……?
文字打つの早すぎるだろ。
肝心の内容はと言うと、俺が聞いたスキルを取得する際に見えたものについてだ。
簡単にまとめると、見えたことはないがその現象に興味を持ち改めてスキル取ってみたが、やっぱり何も見えなかった。詳しい状況を教えてくれ、って感じだ。
状況と言っても普通にスキルを同時に複数取った時だけど、人類ってスキル同時に取るみたいな事できるのだろうか。
まぁこの辺のやり方考えるのは研究者さんに任せるか。あの人ならどんな手を使ってでも俺が見たものを見ようとするだろう。
簡単に状況を説明したメッセージを送った30分くらいした後。
またスマホの通知音が鳴り始めた。
確認するとやっぱりあの人からで、どうやったのかわからないがスキルを大量に取った時の成果を教えてくれていた。
“僅かだが読み取れたものを送ろう”……って、いやいやいや。おかしくない?
あの頭痛の中で一瞬だけ見えるものをなんで読み取れるんだよ。
添付されていた画像を見ると、手書きの文字っぽいものが載っていた。
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ካረጻ
መሦ
ኮቶባ
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……なるほど?
なんのことだか全くわからないや。これがあってるのかも不明だし。
でもこれを読み解けたらさ、わんちゃんポイントを使わずにスキルを創作できるようになったりしないかな。
だとしたら夢が広がるけど、これを見るにはスキルを大量に取らなきゃいけないし、見えたとしても覚えられるかわからない。
……うん、しばらくは研究者さんに丸投げしよう。




