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「時空の交差点を護る女神たち」(セーラー服と雪女 第24巻)  作者: サナダムシオ


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⑥ カグヤと成雪

 翌日の木曜日は、カグヤ・イシュタルと成雪の担当日だった。二人は、徒歩での見廻りをしていた。


 彼等は護身用に、色々とガジェットの詰まったブリーフケースと、黒いブレスレット、それにオリハルコンの剣をひと振り持っていた。


「昨日はナチス軍がやって来て、大変だったみたいよ?」

 歩きながら、カグヤが成雪に話し掛ける。

「そうらしいですね。でも上手い具合に、帰って貰えたとか?」


「流石は、サン・ジェルマン伯爵よねえ。」

「そうですねえ。僕なんか、何のチカラも無いから……。」


「……そんなモノ、無い方が幸せかもしれないわよ。」

「でもせめて、カグヤや自分自身の事ぐらいは、守れるようになりたいなあ。」

「うふふ、ありがとう。」


 そんな話をしながら、カグヤはふと周りの風景に目をやる。それは、見れば見る程不思議な光景だった。



 マスター・ウアジェトの城をほぼ中心にして、半径10km程の遠方の周りを、壁がすっかり取り囲んでいる。

 そしてその壁という壁には、大小様々なサイズの穴が、無数に開いていた。 


 その穴のほぼ全てが、ポータルとして稼働しているというから驚きだ。今まで犬王と黒猫だけで、よく管理出来ていたものだと思う。


 一番不思議なのは、壁から上に視線を移すと、シームレスに空に繋がっている事だった。ソレはまるで…プラネタリウムのようであった。


 空の天頂部には、例の人工太陽が輝いている。

 長時間その光を浴び続けると、皮膚が赤くなるというアレだ。 


 まるでクリスタルで出来ているような城といい、ニンゲンから見れば、爬虫類族の造り出したモノ全ては、オーバーテクノロジーであった。


 その時、何となく一緒に空を見上げていた成雪が、異変に気がついた。

「カグヤさん、アレは……何でしょうか?」

 彼が指差す先を、彼女も見つめる。

 ソレは、小さな帆船のようなシルエットだった。


 人工太陽の向こう側から、プラネタリウムのような空に、逆さまに張り付いた状態でこちらへ降りて来る。アレは空であり、海でもあるのだ!


 ソレが近づくにつれて、二人の人物が乗って居るのが見えて来た。つまり、空のてっぺんにも、ポータルとなる穴が開いているらしい。


 カグヤは早速、腕のブレスレットで、城内に常駐している女王の部下に連絡をとった。


 彼等は直ぐに葉巻き型の船で飛んで来ると、牽引ビームを使って、件の帆船……多分漁船だろう……を城に曳航して行った。


 これは後で聞いた話だが、その船には、ノルウェー人の、オラフ・ヤンセンとその父親の二名が、乗っていたという事だ。好人物であり、衰弱も著しい様子だったため、女王は彼等を、二年程城内に滞在させたらしい。


 もちろんその際には、金髪高身長の、北欧人の変装をして、謁見したという。賢明な判断である。ヘビのような顔でナニを言われても、我々のように人外の存在に慣れた者とは違って、一般市民には説得力が無いであろう。


 しかし、マスターも気まぐれな事をするものである。

 カグヤは、そう思った。


 彼女は未だに、爬虫類族の事が信用出来ない。

 長年の間、故郷で代々敵対関係にあったのだから、それは仕方のない事なのである。

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