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「時空の交差点を護る女神たち」(セーラー服と雪女 第24巻)  作者: サナダムシオ


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⑤ ポータル封印

 サン・ジェルマンは咄嗟に、ビートルの電磁防壁を作動させた。

 ナチスの機銃掃射が始まったが、全ての銃弾は跳ね返されてしまった。


 そして自らの銃弾が、自分たちに当たり、倒れるナチス兵が多数現れた。

 やがて誰か上官らしき者が「撃ち方、やめ!」と声を上げた。


 ソレはアドルフ・ヒトラーその人であった。

 銃撃の音が一斉に止み、辺りは静まり返った。


 ヒトラーは、ナチス兵の前に出て来てこう言った。

「黒いビートルの運転席の者、折り入って話が有る。出て来なさい。」


 サン・ジェルマンは、素直にドアを開けて外に出た。もちろん、右腕のガジェットで、個人用の電磁防壁は張ったままだった。


 大胆にも、ヒトラー自らが、こちらに歩み寄って来る。恐らくは影武者だろうが、伯爵も礼を尽くすべく、歩み寄って行った。


 ナチスの軍勢と京子の乗るビートルの、ちょうど中央辺りで、二人は顔を突き合わす形になり、何やらボソボソ話し合いをしていたが、やがて二人とも回れ右をすると、元の場所へ戻った。


 そして、ナチスの軍勢は全てそこから引き揚げて行ったのだった。

「さて、この南極点の出入り口は、我々が電磁防壁で封鎖して、光学迷彩を掛けてから帰りましょうか?」


「……うん。でも彼と、どんな話をしたんの?」

 京子は興味津々だ。


「私はまず、サン・ジェルマン伯爵だと名乗りました。」

「うん、うん。」

「簡単に言うと、ソレで充分でした。」

「えっ!?」


「どうやら、彼の世界線でも、少年時代に私の同位体が、関わっていたようです。」(第19巻 参照)

「……つまり?」


「つまり、私は彼の最初の理解者であり、恩人でもある訳なんです。そんな私が、このポータルにはもう関わらない方が良い。それより南米辺りの方が、潜伏しやすい旨、アドバイスをして差し上げたのです。」


「そう……なのね?」

「ですから、この世界線のヒトラーは、戦後は南米に行く事になるでしょうね。」

「……成る程。」


「もちろん、彼が影武者だった場合は、ホンモノに叱られて、また軍団を率いてがやって来るでしょうから、対策は必要ですがね?」

「……そうね。」


「地下世界に戻ったら、マスター・ウアジェトに相談しましょう。」

 伯爵はそう言うと、直ちにビートルを穴の中に戻した。


 南極のポータルは目立つので、地上の大国に狙われやすい。だから本音としては、直ぐにでも穴を潰したいところだ。 


 しかし、マスターの許可無しに勝手な事は、もうしない方が良かろう。サン・ジェルマンはそう思ったのだった。


挿絵(By みてみん)

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