③ 訪問者対応
「地下世界そのモノは、みんな平和的に暮らしているのよね?」
京子が尋ねる。
ネアンデルタール人やモヘンジョダロの生き残り、それに爬虫類族たちが、何の問題も無く共存している事が、彼女には不思議に思えるようだった。
「ええ、つい最近まで、トカゲの女王が暗躍していたようですが、雪子さんのおかげで、今は大丈夫なようですね。」
伯爵が、答えた。
「本当に?ニワカには信じられないわ。」
「カグヤさんも、同意見のようでした。でもトカゲの女王はアラハバキの一派で、好戦的かつ、征服欲に溢れていましたが、同じ爬虫類族でも、ウアジェト女王は、平和的なビジネスがお好きなようです。」
「ふ〜ん。」
「それにここのハダカ猿族……つまりニンゲンたちも、地上人よりずっと、平和的思考の持主みたいですね。」
「なら、私たち地上人は、一体何処で、生き方を間違えたのかしらね?」
「……私が見たところ、産業革命辺りの時代から、怪しいですね。」
「……ああ。」
「あの辺から、"自然破壊無くして文明の発展無し"みたいな流れになりましたね。」
「そのウチに、地球から大きなしっぺ返しを喰らいそうよね?」
「時々起こる大きな地震や台風なんかが、ソレなんじゃありませんか?」
「そうね。それにしても、どうして人類だけが、大人しく地球環境に馴染んで、暮らせないのかしら?」
「鳥族や爬虫類族が、かつてクロマニョン人をイジッた時に、何かバグでも生まれたのでは?」
「……やっぱり、貴方もそう思うのね?」
二人が、そんな話を続けていた時だった。
サン・ジェルマンの左腕のガジェットから、アラーム音が鳴り出したのだ。
「お客様みたいですね?」
伯爵が、黒いビートルの運転席から身を起こす。
「……そうみたいね。」
助手席の京子も、異変を目視で確認した。
何処の時間軸から来たのかは不明だが、機関銃で武装した一個中隊が、とある穴から、出て来るところだった。軍服のソデに"かぎ十字のマーク"。ナチスだ。
彼等は、あらゆる時間軸からやって来る。
余程、地下世界に御執心のようだった。
多分、例の南極点のポータルから入って来たのだろう。
伯爵と京子は、直ちにビートルを現場に飛ばした。
丁重にお帰り願うつもりだが、相手が聞き入れない場合は、戦闘もやむ無しだ。
その場合は、サン・ジェルマンの各種戦闘用ガジェットと、京子の氷雪系の能力の出番である。




