② チーム・サン・ジェルマン
「それでは、地下世界の管理担当曜日を発表しますね?一応、皆さんの都合を訊いて、オーダーを組んだので、問題無い筈ですが、都合が悪い時は、すぐ申し出て下さい。」
サン・ジェルマンがそう言った。
「は〜い。」
真田由理子が、皆を代表して返事をした。
今日は西暦1992年7月24日金曜日。
公立の小中学校は、終業式の日だ。
そんな訳で、時刻は17時ジャストの今、真田香子までの全員が揃って居た。
伯爵から発表された担当日は、以下の通りだった。
月曜日 犬王アヌビスと黒猫バステト
火曜日 女王ウアジェトとその部下
水曜日 伯爵と村田京子
木曜日 カグヤと成雪
金曜日 ジャンヌと雪子
土曜日 杉浦鷹志と由理子
日曜日 雪村と酒井弓子または香子
ジャンヌ・ダルクは、「そろそろ皆さんのお役に立ちたい。」という、本人からのたっての希望で、仲間入りしたのだった。
業務内容は、各ポータル穴のパトロール。
それに、何処に繋がっているのか確認が出来たら、穴のナンバリングだ。
実のところ、今まで爬虫類族の女王…つまり地下世界のマスターは、それに関しては無頓着で、ただ自分の世界の平和の維持だけに、腐心していたらしい。
「チベットのダライ・ラマとも話がついていて、この地下世界を天国にするべく、地上のニンゲンは、限られた者しか、入れないようにしてもらっているのよ。」
ある時女王は、そんな事を自慢気に言っていた。
因みに、この仕事はボランティアではなく、サン・ジェルマンを通じて、皆にキチンとギャラが支払われる事になっていた。
カネの出処は女王ウアジェトだった。
「大蛇のエサ代程度ですけどね。」
そう言って、決して少なくはない額相当の、砂金を提示したのだ。
どうやら彼女は、ビジネスに特化した、珍しいタイプの爬虫類族らしい。
何にせよ、平和的に事が解決するなら、それに越した事は無いのだ。
メンバーは皆、快くそれを受け取る事にした。
さて、実際の勤務は翌週の月曜日から…つまり犬王と黒猫から始まった。
火曜日までは、特に問題も無く過ぎたようだった。
業務日誌をつける事になっていたので、読めば分かる。
全く、徹底してビジネスライクな事だな。
サン・ジェルマンはそう思った。
今日は水曜日。
隣には京子が居る。
「ここの人工太陽の光を長時間浴びると、皮膚が赤くなるのよね?」
彼女がそう言った。
「そうですよ。でも週に一度程度なら、大丈夫です。」
伯爵が答えた。




