① 超時空犬猫会議
「…という訳なんです。」
犬王アヌビスは、惑星ガイア…つまり地球の地下に、並行世界をつなぐ役目をする場所が有る、という話を簡潔に述べた。
ここは例によって、広い宇宙のどこかの亜空間。
超時空犬猫会議の現場である。
「つまり、キミとバステト嬢が、その場所で失策を起こしたために、時空の交差点とでも言うべき、そこの管理を任されたと?」
本日の議長の狼王ウルフィが尋ねる。
「…はい。そうなんですが、決して悪気が有った訳では…あの場合、仕方が無かったというか…。」
「なんだ?歯切れが悪い言い方をして…。」
「何しろ、各ポータルになっていた穴の守護者が、トンデモないサイズの大蛇でして。それが皆、問答無用で襲って来るので、仕方無く対応した結果…。」
「…バステト嬢が、皆殺しにしたのだな?」
「いや、決して彼女一人のせいでは…鈍くさい私を、助けようと行動してくれた事も、数知れずなのです。ハイ。」
犬王は、黒猫嬢を、欠席裁判のような吊るし上げにする事は、出来れば避けたかった。
「…まあ、私の不徳と致すところです。」
「…それで、昭和の時間軸の、サン・ジェルマンのチームにも、その管理を手伝って貰う事になったとか?」
「はい。例の真田雪子にも、現状を見られてしまったたので、秘密にする事も出来ず、仕方無く…。」
「まあ、穴の数も半端ないのだから、助かると言えば助かるが…。」
「議長!」
そこで獅子王レオンが手を挙げた。
「獅子王、発言を許す。」
「我ら議会メンバーとしても、是非、視察に行きたいのですが?」
「うむ。ソレについても、犬王に腹案が有るのだな?」
議長に尋ねられたアヌビスが答える。
「はい。各週に、この議会のメンバーから一名ずつ、その地下世界を視察に訪れる、というモノです。」
「…随分控え目なのだな?」
不満気な獅子王。
「本来の管理者は、地球由来の爬虫類族たちなので…正直な話、余り彼女たちを刺激したくないのです。」
「何だと?」
「ソレは初耳だぞ!」
「大丈夫なのか?」
「信用できんぞ!」
とたんに、そんな不規則発言が飛び交う。
(だから、言いたく無かったんだよなあ。)
犬王は困ってしまった。
「あのう、少なくとも今のところは、彼女たち…女王ウアジェト率いる一派は、アラハバキのような好戦的な様子は有りませんので、どうか皆さんご安心下さい。、」
取り敢えず犬王は、そう言っておいた。
「静粛に!それでは、犬王の原案を採用する事に、異議の有る者は挙手を!」
議長の言葉に対して、誰も異議を主張する者は無かった。
「それでは計画の詳細についてだが…。」
会議はその後も続いたが、概ね犬王の思い通りになって、彼はホッと胸を撫で下ろしたのだった。




