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「時空の交差点を護る女神たち」(セーラー服と雪女 第24巻)  作者: サナダムシオ


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㉕ しぶとい男

「……ああ、不本意だ。」

 痙攣しながら、アポピスが呟いた。

「まさか、こんなモノに頼る羽目になるとはな……。」


 そう言いながら彼は、右の腰のアーマーの下から、何やら青白い、マジックペンのようなモノを取り出し、自らの首筋に突き立てた。


 恐らくソレは、解毒剤か血清のようなモノだろう。

 彼の状態は、見る見る回復して行った。


「さて、第2ラウンドと行こうか?女王。」

 アポピスが不敵に笑った。

 万事窮すだ。


 しかしまさに、その時だった。

 彼等の頭上に、突如円盤型宇宙船が現れたのだ。

 ソレはオレンジ色でソロバンの珠の形をした…ご存じミケーネ王子の船だったのだ!


 円盤は、アポピスとウアジェト女王の間に、割って入るような場所に着陸し、中からミケーネ王子、カグヤ・イシュタル、成雪の順に出て来た。


「あれっ?ひょっとして、お取り込み中でしたか?」

 ミケーネが出て来るなり、緊張感の無い事を言う。

「なんか、どうしても成雪君が行きたいって……ねえ、カグヤさん?」


「そうなんです。皆さん、お邪魔してごめんなさい。」

 カグヤもそんな風に謝る。

 しかし成雪だけは、真剣な表情だ。そして何かを捜しているようだった。


 そんな成雪とアポピスの、視線が絡み合う。

「あっ、貴様は……セト!?」

 アポピスが叫んだ。


「そう言うお前は、アポピスか!?」

 何故か成雪も、初見のはずの相手の事を、認識出来ているようだった。

 因みにウアジェト女王も、成雪の事を認識出来ているようだった。


「伯爵、どういう事ですか?コレは!」

 カグヤが、サン・ジェルマンに詰め寄る。


「……多分、成雪君が出来たてホヤホヤの頃に、中身がまだブランク状態で…そこに何処かの時空から、セト神の精神体のようなモノが、紛れ込んだのでは?或いは四次元からかも…?」

 それが伯爵なりの、精一杯の推察だった。


「キサマまで、何だ?そんなニンゲンの皮を被りおって!」

 アポピスが、セト神の成雪を叱責する。


「ああ、これかい?今はこの姿で、恋人に愛されているのだが……キミにはコチラの方が馴染み深いよね?」

 そう言うと成雪は、自分の姿を瞬時に変化させた。


 ソレは不思議な生き物の姿だった。

 顔の色は黒く、垂れた鼻先はキツネのように長い。

 細く長い耳は、何故か先端が四角い。

 細い尻尾も生えており、先端が枝分かれしている。

 そしてカラダはニンゲンだ。


 そして同時に、右腕に持った、まるで鍬のように先の曲がった細い杖も、出現した。


「いやあ、以前、無理やり兄を、アチラの世界に連れ帰ったからねえ……コチラへの時空干渉を、太陽神ラーに赦されるまでに、千年もかかってしまったよ。待たせたねえ。」

 笑顔の彼は、アポピスにそんな事を言うのであった。


挿絵(By みてみん)

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