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「時空の交差点を護る女神たち」(セーラー服と雪女 第24巻)  作者: サナダムシオ


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㉔ フィメール

 恐らくアポピスの言葉は、ただの強がりや、ハッタリでは無かろう。ガジェットを利用しなくとも、自らの内なるチカラで、結界を張り巡らせる事は、容易いように見えた。


 それでも彼が、ガジェットを使用していたのは、単に自らのチカラの、省エネが目的だったのだろう。

 雪子はそう思った。


「ねえ、伯爵。」

 彼女はおもむろに、後ろに居るサン・ジェルマンに話し掛ける。

「何です?雪子さん。」

 返事をする伯爵。


「今日も何時ものように、"こんな事もあろうかと"とか言いながら、奥の手を出すのよねえ?」

「いや、特にコレと言って、奥の手らしきモノは有りませんね。」


「え〜、コレ、勝てそうな気がしないんだけど。」

「天下の真田雪子さんが、そんな弱気でどうするんですか。貴女は、超時空の魔女なんでしょ?」


「おい、おい。後ろで、ナニをゴチャゴチャ喋って居るのかな?大人しく降参して、この地下世界を、私の一派に明け渡すと言うなら、悪いようにはしないぞ。」

 勝ち誇ったようにアポピスが言った。


 そこへ、ウアジェト女王がやって来た。

「ココは私の国です。ですから最後は、私がお相手致しましょう。」


「おお、ウアジェトか。キサマもフィメールとは言え、多少はデキるのだろう?……せいぜい楽しませてくれよ。」


 今やすっかり、ニンゲンの擬装を取り払った彼女のその姿は、緑色の頭をした、身長2mほどのコブラ女だった。


 彼女は槍を手に取ると、一直線にアポピスに向かって行く。それは誰の目にも、余りにも無謀な戦術に見えた。


 アポピスは槍を難なく避け、すかさずクロスカウンターパンチの要領で、自らの剣を容赦なく、彼女の左胸に突き刺した。


「キサマは、我が爬虫類族の裏切り者だ。従って、この場で息の根を、止めておくとしよう。」

 彼はそう言ってほくそ笑んだ。


 女王の心臓から流れ出た血が、剣を伝ってアポピスの手まで滴る。しかし彼女は、自らの心臓を刺されたまま、勝ち誇る彼を抱き寄せて、その耳に静かに囁いた。


「私の血に触れましたね?」

「な……に!?」

「あなたは今、私の血を通じて、私の毒に触れました。あなたはもう、おしまいです。」


 やがてアポピスのカラダが、ビクビクと痙攣し始めた。

 神経が麻痺し、呼吸困難になり始めたのだ。


 それを見届けたウアジェト女王は、ゆっくりと彼から離れる。彼女の心臓のキズは、もう塞がり始めている。


「確かに私たち爬虫類族は、不老不死です。けれど、流石に呼吸が出来なければ、生きてはいられないものね……。」

 そう言う彼女の笑顔にも、毒が有るようだった。



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