⑳ 襲撃と応戦
連絡を受けて、女王の城から、すぐに応戦部隊がやって来た。コチラは、赤っぽい色のソロバンの珠に近い形の円盤群だ。
そして後方には、更に大きな戦艦群まで居る。タケノコのような形のソレはまるで、古代インドの神話に出て来る、ビィマーナのようだ。
ホバーバイクに乗った、陸戦部隊もやって来た。その後から、サン・ジェルマンの黒いビートルも、走って来るのが見える。
「どうやら、役者が揃ったようね。」
ウアジェト女王は呟いた。
ただ、集結した敵の宇宙船団から、何故か未だに攻撃の気配が無い。コチラ方が首を捻っていると、やがて中央先頭の、一際大きな黄金色の円盤の上に、立ち上がる者が見えた。
そして、その甲冑に身を固めた大きなトカゲが、剣を振りかざしながら、大声で語り掛けて来たのだ。
「女王よ。例えフィメールと言えども、キサマも我が誇り高き、爬虫類族の一員であろう。何故こんな地下世界の片田舎で、平和的に馴れ合いながら、他の種族とともに暮らしているのだ?しかもそんな、偽りのニンゲンの皮など被りおって。恥を知れ!」
「その声は……アポピス!」
ウアジェトにとっては、ある意味、懐かしい声だった。それは、遥か昔にパートナーだった男。お互いの追い求める理想の違いから、別れを告げた男。
そして彼こそが、アラハバキ一派の中でも最強と名高い、闇の戦士"不死身のアポピス"だったのだ。
彼はなおも言葉を続ける。
「どんなに有能でも、自分より弱き者は、全て自らの下僕にする。それこそが、我ら爬虫類族の生き方ではないのか?なのにキサマのやっている、他種族との仲良しごっこは何だ?見ているだけで反吐が出るわ!」
ウアジェト女王も、言葉を返した。
「だから貴方は、頭足類族を手下として使っているのね?彼等は私たちよりも、遥かに思慮深いというのに……。」
「何だ?その博愛主義者的な、ヤワな発言は?キサマ、いつからそれほど腑抜けになったのだ?しかも、そこに居るニンゲンどもは、これまで我が一族を次々に葬って来た、サン・ジェルマンの仲間たちではないか!」
そこで、サン・ジェルマン伯爵が話に割って入った。
「お言葉ですが、アポピス殿とやら。我々人類は、そちらから侵略されたから、応戦したまでの事。その点に関して言えば、正義はコチラに有ると存じますが?」
「ほざけ!ハダカ猿族め。戦争では、最後に立っている者が正義なのだ。」
いきり立つアポピス。
「なるほど。よく分かりました。シンプルで実に分かりやすい。今のは貴方自身が口にしたお言葉です。夢々お忘れ無きように願いたいですな。」
伯爵はそう言うと、ニヤリと笑って見せた。
横で見ていた雪子は、これまでの長い付き合いが有ればこそ、彼が本気で怒っているのが良く分かった。




