⑲ 新体制
森のポータルと池のポータルの双方で、怪しげな存在の動きが確認されたという報告を受けて、二週目の火曜日からは、新しい体制でパトロールに臨む事になった。
つまり元々の担当者プラス、場合によっては助っ人を呼ぶ事になったのだ。そして、助っ人のメンバーは、バステトまたはアヌビスまたはサン・ジェルマンが、現場に運ぶ事になった。
侵略者は、この際、徹底的に叩こうという訳だ。
女王としては、当然の措置だろう。
チーム・サン・ジェルマンとしても、状況が一段落するまでは、付き合おうという事になった。
確かに虫たちもタコたちも気になるが、ひょっとすると、その背後に別の何者かが、暗躍していないとも限らないのだ。きっとその場合、大いに我々に関係がありますから。伯爵は皆にそう言って納得させたのだった。
そんな状況で迎えた、二週目の火曜日。
今日の担当者は、ウアジェト女王と部下一名だった。
二人とも、身長2mの北欧系金髪白人男性に擬装している。城の外では、ネアンデルタール人の成れの果てたちを脅かさないように、出来るだけそうしているようだった。
もちろん部下たちは、こんな仕事は自分たちに任せて下さいと、再三女王に申し立てたが、女王自身がどうしてもやりたいと言って、聞かなかったのである。
というのも、女王としては、現在の事態を引き起こした責任の一端は、自分にもある、という自覚があったからなのである。
そんな訳で、今日も彼女は部下と二人で、しかも乗り物も使わずに徒歩で、自らの領地の視察に訪れている。
やがて二人は、例の池のほとりに差し掛かった。
まあ正直な話、昨日の今日で、まさか追加の異変が起こる事も有るまいと、女王は高をくくっていたのだが……。
あろう事か目の前で、池の中央辺りの水面が盛り上がり始めた。ソレを見た部下がすぐに、城の衛兵部隊とサン・ジェルマンに連絡を取る。
昨日と同様に、水の中から、巨大な椎茸の傘のようなモノが現れた……しかし昨日と違って、ソレには脚がついていなかった。
何とソレは、空飛ぶ円盤と化していたのである。
"足は付いていないな" "あんなの飾りです。偉い人には、それが分からんのですよ"という、某アニメのセリフの遣り取りを、サン・ジェルマンなら、想起したところだろう。
次々に水中から現れる円盤群を見ながら、(いくら何でも、たった一日で、兵器の進化が早過ぎる。やはり、昨日の捕虜の記憶を分析した結果は、正しかったようね。)女王はそう思ったのだった。




